人と出会う、ということ(2)

それから数日後、こんな記事がwebに掲載された。

『燃えろ!プロ野球ホームラン競争SP』帯広さやかがTAPPLI編集部に乱入!ガチンコ勝負だ!

ここで初めて、互いの姿も知らず、寝る間も惜しみ、ホームランを打ち続けたライバルの姿を目にすることになった。

長い黒髪、左側面に赤い炎をあしらった、ブルーのラメが眩しいコスチューム、そしてライターとのガチンコ対戦仕立てになっている記事の各シーンで見せる、豊かな表情。

その表情を見て真っ先に思ったのが「一緒に酒を飲みたくなるタイプ」という感情だった。
きっと、いや!絶対ノリがいい人に違いない!!
そうか、自分はあの夜、この人と戦っていたのか。よし、もっと打ったろうやないかぃ!

その後、「帯広さやか杯」が終了し、トップ10入りを目指していた「累計ホームラン部門」では、惜しくも12位という結果に終わった。
しかし、このイベントがきっかけで、帯広選手のことが気になり、Twitterのアカウントをフォローさせていただいた。

中学生の頃、土曜日の夕方に放送されていた「ワールドプロレスリング」で、獣神ライガー選手(現:獣神ランダー・ライガー選手)を通してプロレスの魅力にのめり込み、以降、新日本では闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)、全日本では四天王(三沢光晴、川田利明、小橋建太、田上明)が活躍する時代へと突入。

気がつけば「週刊ゴング(ターザン山本氏のノリが苦手だったので「週プロ」は買わなかった)」を毎週買い、土曜の夕方は「ワープロ」、日曜の深夜は眠いのを我慢しながら「全日本プロレス中継」を観る習慣が身に付いていた。

しかし自分の眼中に「女子プロレス」の存在はなかった。
女性同士が甲高い声を上げて戦っている姿が、どうにも苦手だったのだ。
あとは、年齢的なものだろうが、「恥ずかしかった」というのもある。

水着のような姿で戦っている女子プロレスラーを、中高生男子が凝視しているのもどうかと思うので、その感覚はやむなし、とご理解いただきたい。

その後、「ファイヤープロレスリング」シリーズで、往年の名レスラーをエディットしていくことにのめり込み、プロレスの知識をひたすら吸収、その流れで女子プロレスの歴史や選手、団体のことなども知っていった。

…とはいえ、試合をリアルタイムで追うことはなかった。

ご多分に漏れず、自分も総合格闘技ブームの影響で、プロレスから距離を置いてしまったクチだ。
女子プロレスどころか、プロレスそのものを、ほとんど追わなくなった。

ただ、しばらく間は空いたものの、ふとしたタイミングで、新日本とDDTに興味を持ち、ふたたびプロレスを追うようになった。
また、「G-spirits」をはじめとする、過去のプロレスシーンに焦点をあてたムックなども購入して読むようになった。

そんな自分が、スマホアプリを介して、女子プロレスに興味を抱くことになろうとは。昔の自分に話したら「嘘だぁ!」とひっくり返るに違いない。

(つづく)

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