"紙不足"VS"国民生活安定緊急措置法"

"紙不足"の中身と原因

2020年2月、コロナウイルスへの不安感からマスク品薄が起きていた。

さらに2月28日頃にはトイレットペーパーやティッシュペーパーまで店舗から消えるという事態に。

マスクは中国からの輸入が一気に減少した上で買い占めが起きているため。実際に2月頭から約1ヶ月が経つ今もマスクを求めてドラッグストアに長蛇の列ができる。

しかしながら、"紙不足"の要因は完全なるデマと思われる。なぜなら中国からの輸入量は約2.3%であり、国内には相当数の在庫が眠っているというメーカー側の声もあるためだ。

それでも店頭からは紙製品が消え、生理用品までなくなる状態に。これは不安に感じた一般消費者と高額転売を目的とした"転売ヤー"によるものだと推測される。

メルカリ等の転売状況

さっと見る限りでは、単価250円程度のボックスティッシュが2つで2000円前後にて販売されている。しかも着払いでの出品が目立つため、利ざやは1300円程度と考えられる。

メルカリ有志のコメント

転売ヤーに対し、憤りを感じてコメント・運営への通報をしているのが"メルカリ有志"達だ。

その中でも目立つコメントは「国民生活安定緊急措置法に違反するため違法だ」というものだ。

では、この法律は運用されるのか。

そもそもどのような法律なのだろうか?

国民生活安定緊急措置法の内容

とても簡略的に書くと「国民生活における必需品の値段を買い占めや売り惜しみで高額にしちゃいけませんよ。破ったら罰金と禁固刑ね。」という旨の法律になっている。

実例としては、オイルショック時のティッシュペーパー、トイレットペーパー等が挙げられる。

これを論拠にメルカリ有志達はコメント・通報をしており、 ついったー

国民生活安定緊急措置法の有効性

それでは、国民生活安定緊急措置法によって転売ヤー達は駆逐されるのか。

実は、そう簡単にはいかない。

なぜなら、"緊急措置"とあるように法律で指定される内容は一時的なものだからだ。

例えばトイレットペーパーに対する本法律の効力は1976年頃に失効している。これはオイルショックの影響が収まってきたためだと思われる。

2020年2月28日時点で改めてトイレットペーパー・ティッシュペーパーを対象として指定しないと効力は発揮されない。つまり、現時点で有効な法律ではないと考えられる。

国民生活安定緊急措置法はデマ

結論、「国民生活安定緊急措置法が転売に有効であり、転売ヤーは処罰される」というのはデマなのである。

しかしながら、世の中では「国民生活安定緊急措置法は効力がある」と(おそらく)思われてメルカリ有志達が行動していると思われる。

つまり、メルカリ有志達もまた正義感によってデマに踊らされてしまっている可能性が高い。

デマに踊らされているのか口実か 

ただし、皆が国民生活安定緊急措置法のデマに踊らされている訳でないとも考えている。

なぜなら、転売ヤーへの抑止として「法による処罰の怖さ」を伝えることは有効と思われ、それを目的にデマとわかっていながら伝える有志も存在していると思うためだ。

情報の正誤を確かめるために要する時間は短い。私自身、国民生活安定緊急措置法の文面を見てから法の実行例や法規定、マスクへの適応申請に対する答弁書を見るまで約20分程度で済んだ。

だから私が気になっているのは、国民生活安定緊急措置法の適用を"デマと知っていてコメントする人"と"デマと知らずにコメントする人"の割合とその要因の差だ。

これを調べたら、他のデマが発生した時にも推測に使える可能性がある。単純な興味本意だが。


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