ブックレビュー:「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。

読み始めは誰かの日記を垣間見ている感覚。

しかし後半につれ「ほとんどない」とされていることがなんて多いことか、と筆者の鋭い主張に引き込まれた一冊だった。

本書はAmazonだと「女性問題」に分類されてはいるが、筆者の「ないことにされていないか?」という視点は、構造が見えづらく表沙汰されない、様々な分野の問題においても参考になるはずだ。

印象的だったフレーズや内容を断片的ではあるが、いくつか。

・性犯罪の加害者が語る必要性。性暴力の背景にある複雑な心の問題、対人関係の問題を世に知らしめ、類似事件を減らすことに繋げたい。
・加害性は誰の内にもあるものだ。そこから目をそらしてはいけない。

・自分らしく生きているとは?もう一度問う。知らず知らずに刷り込まれたものを自分と思って生きているのではないか?
・「みっともない」「美しい」とか「みんなの視線」。共通するのは「みんな」からどう見られるか。無言の圧力。


個人的にとても衝撃だったのは、レイプをセックスの1つのバリエーションと思い込む若者がいること、Twitter等で連絡を取り合い集団痴漢を電車で楽しむ大人たちについて触れた章。

インターネット検索結果の影響もあるが、何よりも「性」を正面から学び・語る機会がないこともあるだろう。

見ないふりする、何も言わずにその場をやり過ごす、そういう面は私にもある。
ただそれ以上に、言わないことで放置された結果、心を押し殺し傷ついた人が大勢いる。

見えないからこそ声を上げるのだと強く感じた。


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