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関心領域

私が映画館で、映画を観終わる前に途中退出したのは、3歳の頃家族に連れられて観た『千と千尋の神隠し』だ。
お父さんとお母さんが豚になってしまうシーンで泣き出して、映画館を後にしたらしい。
その当時の記憶はなく、(記憶があったらトラウマで、今頃映画が嫌いだったかもしれない笑)今では何度も観るほど、とても大好きな作品になっている。

関心領域を観た時、その時と同じように、今すぐ映画館を飛び出したいという気持ちに駆られた。
おそらく、私が今まで観てきた映画の中で、一番恐怖を感じたからかもしれない。


映画のストーリーは、アウシュビッツ強制収容所の隣に暮らす家族の物語。
一見幸せそうな家族に見えるが、所々でその異常さを、映画を観ている私達に突きつけてくる。

例えば、収容所から盗んだ物を身につけたり、戦争遊びをしたり、遊び半分で閉じ込めてみたり。
その異常に気がつくのは、
映画内で、突然姿を消すおばあちゃんと、常に泣いているように感じた赤ちゃん、同じく鳴きやまない犬だ。

収容所の隣に住んでいるから当然、叫び苦しむ人々の声が聞こえる。
しかし、おばあちゃん、赤ちゃん、犬以外の家族は、何事もないかのように日々を送るのだ。
家の敷地内にしか関心はなく、外には全く興味を示さない。見ようともしない。

そのことにもすごく恐怖を感じたが、もっと恐ろしいと感じたのは、声や音だけで情景が想像できてしまったことだ。
この映画では、アウシュビッツ強制収容所の隣に暮らす家族に焦点が当てられている。
そのため、収容所の人々の殺害シーンなどは全く出てこない。
しかし、度々泣き叫ぶ声が様々な場面で出てきて、その度胸が苦しくなった。(そういった場面でも、そこに暮らす家族は何の反応も示さない)

他にも気になったシーンはいくつかあり、
もう一度観たくないけど観たい、映画館で観た方がいい、観れてよかった作品だった。
最初から最後まで怖いけれど、決して耳を塞いだり目を背けてはいけない、そんな風にも感じた。

関心領域は、現代の私たちにも問題を突きつけてくる。
興味があるものだけに目を向け、視野を狭めていないだろうか。今一度、自分自身を見つめ直す機会になった。

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