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村谷由香里
2016年2月17日 22:52
夜空の夢から目が冷めた。 空はまだ明るい。しとしとと雨が降っている。僕はベッドに横たわって、ぼんやりとかすむ視界で窓の外を見た。熱で朦朧とする世界が雨に溶け消えるようだ。僕は目を閉じ、息を吐いた。「ねえ、大丈夫?」 ふわふわと覚束ない意識に、入り込む声があった。僕はゆっくりと目を開ける。ベッドの脇には彼女が座りこんでいて、僕の顔を心配そうに覗いていた。「あれ……鍵、開いてた?」