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処遇改善加算がもたらした障害福祉業界への弊害 〜障害福祉業界が砂時計組織→逆三角形組織へ〜

処遇改善加算の取得を目指す障害福祉サービス事業者が急増

障害福祉サービス事業者は処遇改善加算を取得することで従業員が辞めずにずっと続けていくと思っていませんか?

以前こんなツイートをしました。

処遇改善加算を取得した障害福祉サービス事業者は取得した加算を従業員に付与しなければならないため、給料の上がる従業員はいますが、上がらない従業員もいることを頭に入れておく必要があります。

要件に踊らせられる障害福祉サービス事業者が多い

処遇改善加算を取得するためには各障害福祉サービス事業者は従業員のキャリア向上のための要件を満たすことが必要になりました。

少し考えてみましょう。

キャリア向上のための研修や人事体系、昇給の仕組みを取り入れることは大切ですが、処遇改善加算を取得するための導入になっていませんか

研修の取り組みを例に挙げると、外部研修に従業員が行く場合、現場の人員が1人欠員しますし、基本平日では研修の時間が取れない場合は時間外で勤務終了後に研修を導入するか、土日のどちらかを削って研修に充てているケースもあります。

僕も前職で時間外と休日を利用した研修を受講しましたが、自発的に受講しようと思う研修でなければ、その研修はただの苦痛な時間です。

人事体系についても指定基準に関係のないポジションを増やすことに繋がらないでしょうか?

例えば、主任や課長といったポジション。一般企業や公務員であれば当たり前のように存在するポジションですが、主任や課長は基準上のサービス管理責任者や生活支援員等と兼務することが大半です。

つまり、指定基準上こなさなければならない業務に加えて、主任や課長としての職務までこなさなければならなくなるのです。

僕は前職で慕っていた主任ポジションの方々とよく話をしていましたが、口々に揃えて皆こう話していました。

「仕事が終わらない❗️」と。

処遇改善加算を取得するためにキャリアパス要件を満たすことは従業員の給料も上がりますが、同時に従業員の業務を増やすことにも繋がります

彼らの仕事を見ている新人職員たちは自分の将来を重ねてみることにも繋がるので、処遇改善加算目的のキャリアパス要件を満たす取り組みでは従業員の定着もしづらいでしょう。

処遇改善加算の目的は利益の向上ではなく、従業員満足度の向上

処遇改善加算の目的を振り返ってみましょう。

従業員の賃金改善に目が行きがちですが、労働環境の整備や従業員の資質向上も同時に求められています

特定処遇改善加算が令和元年10月からスタートしたことにより、10年以上働いているサービス管理責任者等へ月8万円以上又は年間440万円以上の給料の向上を目指す事業者も増えていますが、10年以上働いている従業員よりも経験年数が10年未満の従業員の資質向上を目指していくための労働環境の整備の方が大切になってきますね。

僕自身障害福祉現場を10年以上経験しましたが、何度も辞めたいと思いました。

上司の姿を見て自分の将来像を重ねてしまったことと中堅ポジションが一番貧乏くじを引きがちだと感じ取ってしまったからです。

このままでは自分より下の現場の従業員は増えていかないし、中堅ポジションの自分の業務が増えていくことで年々神経が擦り減っていくことが容易に予想できました

おそらく僕と同様の経験をした中堅ポジションの障害福祉業界の従業員は多いのではないでしょうか?

勿論障害福祉業界を10年以上経験している従業員が業界からドロップアウトすることは避けた方が良い状況ではありますが、このままの仕組みで続けていくと、これから障害福祉業界で働きたい従業員が増えずに定着しない状況も続いてしまうことを危惧します。

これからの障害福祉サービスは親亡き後を迎える利用者を受け入れることも増えていくことでしょう。

つまり、必然的に従業員の質が上がっていくことを見越していかなければ本人たちが行き場を失うことにも繋がりかねません。

家族の思いに関するnoteも書きましたので、読んでみて下さい。

このことを強く意識した上で障害福祉サービス事業者の方々へはこれから運営に取り組んで頂きたいです。

僕はそんな障害福祉サービス事業者の力になるためにいます。

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