自給自足への道(序)
深夜に突然、ぬか漬けを作りたいと思い立つ。野菜不足をなんとかしたい。
スマホをベッドに持ち込んで調べていると、色々なことを思いついたり考える。そして寝ない。
ぬか漬けは乳酸菌が摂取できるので腸内環境に良さそうだ。なんでもいいから保存容器にぬかと塩とダシを入れ、1日1回かき混ぜれば良いらしい。しかし最初はくず野菜などを入れて2週間ほど、発酵の下地を作らないといけない。ぬか床を育てるってやつでしょうか。あと四角い入れ物だと隅の方まで良く混ぜないとカビが発生しやすい。失敗する自信がある。
というか野菜って作れるはず。プランターでも出来る野菜を探してみる。冬はかぶとにんじんが良さそうだ。まだ少し寒いだろうから、不織布で覆ってみよう。そういえば土が残っているけれど、相当古い土でカチカチだし栄養もなくなっているだろうな。古い土はふるいにかけ、元肥を混ぜ込み、新しい野菜用の土と混ぜればよいらしい・・・なるほど。
というか肥料って作れるのでは。どうやるんだろう・・・生ゴミを入れて堆肥にするコンポストを買うと行政が支援金をくれる。だがコンポストで分解するには何ヶ月もかかるし、臭いもするらしい。土の上に設置するタイプもあるけど、わざわざ生ごみを庭まで捨てに行かなくちゃならない。面倒なのはいやだな・・・。電動で生ごみを乾燥するタイプの機器は結構高く、電気代もかかりそう。調べていくと、生ごみを乾燥させてから、ぬかと一緒に牛乳パックに詰めて堆肥化する方法に辿り着いた。これなら気軽に始められ、失敗してもダメージが少ない。やってみよう。
朝起きてまず、むいたリンゴの皮と紅茶のティーバッグを放置して乾かしてみた。しばらくして見てみると、それらは家族に捨てられていた。生ゴミをゴミ箱から救出し、ちょっと和風で可愛い感じの使い捨て容器に入れてもう一度乾かした。またしばらくして見に行くと、容器ごと捨てられていた。ちょうど家族が台所に来たので「生ゴミを集めているから捨てないで」と言っておいたが、今思うと理不尽な要求である。
確かにゴミらしい見た目なのも原因の一つなので、100円ショップでザル入りタッパーを見つけて買った。これに入れておけばさすがに捨てづらいし、タッパーなので臭いもなく、1日の終わりにザルをベランダに放置すれば朝には生ゴミも乾くだろう。
次はぬか床探しである。冷蔵庫に程よく入りそうな密閉容器がなかったので、それはおいといてスーパーマーケットでぬかを探す。するとなんと、調味料も混ぜ込み済みで育ったぬか床が売っていた。しかも強度の高いビニールに入っていて、このまま野菜を入れて密閉すれば入れ物にもなるとのこと。手を突っ込まなくても外からモミモミすれば良いらしい。速攻で買った。
それからホームセンターに行き、植物の種や土や肥料や不織布を買った。合計で2500円くらいかかった。お気づきかと思うが、このお金で一体どれだけのかぶやにんじんが買えるでしょうか。しかし今回は、ステイホーム期間に少しでも自然を感じられることが重要なのです。
家に戻って古い土をふるいにかけ、肥料を混ぜ込み、新しい土と混ぜた。砂埃がものすごいが、楽しい。ついでに元気のない観葉植物も植え替えた。
植物の種は思ったよりも大量に入っていて、全部育てられたらにんじん150本くらい収穫できるんじゃないかと思う。にんじんの種が青いことを初めて知ったよ。
野菜が食べられるようになるのは1ヶ月以上先だし、それまではスーパーで野菜を買ってきてはぬか漬けにするんだろうけど、今回やってみてわかったのは、自分で食べ物を作れるかもしれない可能性を感じると、これから先なにがあってもなんとか生きていけるような安心感につながるんだなということ。炭水化物やタンパク質も獲得できるようになると、無敵なんじゃないかと思います。
また報告します。
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