日記2024年8月⑧

8月27日
がんばらねばな、という気持ちになっているぶん不安がある。晴れ。歩ける気温である。
昨日試しにnoteに有料部分を作ってみた。開放されていないぶん好きなことを書きやすいので今後もやるかもしれない。気が向いたときだけでいいのでたまにご支援くださいませ。ご購入いただいた方々、本当にありがとうございます。
幼稚園の同じクラスによく先生から注意を受ける子がいるらしく、うちの子供がその子のことを悪く言うことがたまにあり、たしかにおもちゃをとられたりぶつかられたりしてはいるようなのだが、その子はとても素直でかわいい子であることも知っている(たまたま公園で会って一緒に遊んだことがある)ので、なんと言っていいか困ってしまう。親はあまり関与せず子供が自分で考えられるようにしようと思ったりする。
妻の出産予定日前後の外来を閉めた。

鳥羽和久さんの記事。試験で点数を取るための授業の中でまさにそのような勉強の仕方を批判する文章を読み、理解を深める中でその問題文をも批判的に読むことができ、ひいては今の己の試験勉強の中にも位相の異なる勉強があることを知る。試験勉強と試験勉強批判の双方に批判的な思考を向けることでどちらも棄却し、試験勉強にも試験勉強批判にも新たな解釈が可能になる。美しい止揚が生じている。
特定の目的のための功利的な行為(A)に対して、その功利性とは異なる価値に基づく行為(B)を対置し、しかしあくまでAにおいてBを批判的に検討することで、当初のAでもなく当初のBでもないCが生成する。
うつ病治療について考えてみる。
患者が元通り健康に働くことを目的として休養をする(A)のに対して、医者は復職の判断を先延ばしして休養そのものを目的とした休養(B)を提示する。患者はあくまで復職という目的(A)において「焦らないように」という言葉(B)を考え、これでいいのかと焦るが医者からはこれでいいと言われ続け、そのうちに、Aの中にもBが混ざっていることを発見する。医者はそのアウフヘーベンの契機を待っていた。医者はBを棄却してもよい。AとBが対立をやめて同じことの異なるアスペクトに見えてくる。より高次で社会的に機能した生活において休養と労働を考えることができるようになる。
このように、うつ病治療をひとつの授業、学び、レッスンと考えることができる。

しかしまだ胃が痛い。
病院食堂の日替わり定食が鯵と野菜の天麩羅という珍しい内容だった。おいしかった。天ぷらが他の揚げ物と違うのは香りがいいことで、素材の香りが口に入れる瞬間に立つ。それがなぜなのかよくわからないけれど、天ぷらは香りがいい。
ご飯は小盛りにしてもらった。

子供のお迎えの時に仲のいい子が私に手裏剣を投げてきた。

次年度働きたい病院(昔よくしてもらった病院)の先輩2人とご飯を食べた。来てほしいと言われた。給与等の条件もある程度見せてもらい、給料がいい病院とは言えないが、私には十分であった。やります！がんばります！と以前の私なら叫んだであろうけれど、今の私は前のように働けるか不安ですときちんと言った。不安は色々ある。ありますとも。嗚呼不安。

不安で夜までダラダラ聴いていた。

8月28日
曇り、小雨。遠くに来ている台風の影響なのかわからない。将来のことを考えなければならずとにかく不安である。来年度ちゃんと働けるだろうかという不安と歳をとっても生き延びていけるだろうかという不安がいっしょくたになって漠然とした不安感になっている。
今日も仕事である。
ベテラン精神科医が患者さんをみて「これはうつ病かもしらんね」と言う時に、その時点ではいやーどうかしらと思っても、1ヶ月後くらいにうつ病の中核症状が現れてしっかりうつ病だとわかることがある。こういう診断未満の印象診断のようなものは、良し悪しがあってあまり信をおきすぎたり理論化しようとしたりするとおかしなことになりがちなのだが(当然ハズレることもあるし)、しかし確実にこういうことはあるからある種の人間の印象察知能力はすごいものだと思う。精神科は人間の感覚を測定器として患者を測定していて、測定器のばらつきを補正するものとして言語的枠組みを用いていて、言語を介して他の精神科医とコミュニケートすることで測定器が変化したりもする。そのことを考えないとEBMとか生物学的精神医学のことはわからない。
幼稚園の夏休みが明けて2学期に入った。夏休みの預かり保育に来ていなかった子も揃って賑やかだった。

大学の同期と後輩と会った。後輩の一人が最近結婚したらしいのでとらやの羊羹を渡した。後輩のもう一人には赤ちゃんがいるのでおもちゃを渡した。同期は何もないので何も渡さなかった。みんながんばっているんだなというのと、その中でも楽しそうだなということを感じて健康的だった。色々な人の近況を知ることができた。みんなえらいなあと思う。
明日は妻も休みをとっているのでゆっくりできるといい。

以下有料にしました。
俳句
精神科雑感(悲嘆、せん妄、ASDと可能世界実在論)