稽留流産した話

もっと面白い、明るい話から書きたかったところだけど、自分のためにも誰かのためにもこのことは書いておこうかと思う。長いです。

3月初旬、第二子の妊娠が判明した。
長男妊娠時から約4年振りのこと。32歳。
2人欲しいなと思っていたところだったので、もちろん嬉しかった。長男はわかっているのかいないのか、なんとなくお腹に赤ちゃんがいるらしいということはわかってくれた。

ちなみに、長男妊娠時は何のトラブルもなかった。つわりがめちゃくちゃしんどいこと以外は。
吐き気が酷くて何も食べられなくて、水分すら取れない日が2ヶ月近く続いた。あの時はもう二度と美味しくごはんを食べられないんじゃないかと絶望するレベルだった。(ちなみに安定期に入ったらスッパリおさまった)
でも胎内の長男は健康そのもので、今ではやんちゃでワガママで負けず嫌いの3歳児。

そんなんだったから、第二子が出来たときも長男のように生まれてきてくれるだろう、と思っていた。
甘かった。

5週目後半で胎嚢確認後、じゃあ4週後にね、と言われて行った9週目の健診。
「あれ、赤ちゃん見えないねえ」
エコーで先生と一緒に見てたからわかる。いないのだ。胎嚢の中は空っぽだった。

実は予感はしていた。つわりがちっとも酷くなかったから。いや、あんなのもう二度とゴメンだと思っていたし、ないに越したことはないんだけど。初産に比べて慣れたのかなと思っていたけど、いやそれにしても何ともないな、大丈夫かなと思っていた。
つわりがなかったという友人が、いるのかいないのかよくわからんと言ってたけどまさしくそれ。つわりが無ければ無いで不安になる。

念のため1週間後にもう一度診ましょう、となったけどかなり絶望的な気分だった。長男の時のエコーが残っていたので比較してみたら、全く違うのだ。この時点で長男の時は頭としっぽみたいな小さな影が見えていたのに。
帰りは泣きながら車を運転して帰った。本当なら、この日は赤ちゃんを確認して、予定日が決まるはずだった。
家で2人で遊んで待ってた夫と息子は、ぼろぼろ泣きながら帰ってきた私を見て驚いた。そりゃそうだ。そんなはずじゃなかったから。
黙って2人ともぎゅっとしてくれて、ぼろぼろ泣いた。

1週間後の再診でも、やはりエコーには何も映らなかった。胎嚢は大きくなっているが、中は空っぽ。ついに赤ちゃんの姿は確認できなかった。
3日後に手術が決まった。

手術前日、神社にお詣りに行った。安産祈願でも有名な神社で、息子のお宮参りもここでお世話になった。
お詣りは夫が提案してくれた。信心深い訳でもなんでもないけど、お腹の子にお礼と供養をしよう、と言ってくれた。3人で、お礼とお別れを告げ、手術の無事を祈った。

手術当日。朝は大雨。
朝イチ外来が始まる前に行き、術前の処置と点滴を受けた。術前の処置、痛い。経産婦でもそこそこ痛い。あの検査台、何回乗っても苦手。
その後は点滴を受けてしばらく待機。スマホいじったり本を読んだりゴロゴロ。

ちなみに最近ずっとスマホ版のどうぶつの森(ポケットキャンプ)に生息している。これがないと精神の安定を図れなかった気がする。いやマジで。エコーに何も映らなかったあの日も、どうぶつたちに会いに行ってひたすら釣りしてることで、院内で泣くことは避けられた。何か他にやることがないと良くないことばかり考えてしまうので、これはホントにちょうどよかった。どうぶつマジ癒し。現実世界の白魔法使い。任天堂には何かお礼をしたいくらい。黙ってリーフチケットでも買うべきか。

お昼前くらいに呼ばれ、手術の準備。
静脈麻酔で寝ちゃうから、その間に終わるよ、とは言われていたけど、本当だった。
点滴に麻酔を追加されて5秒後くらいにはもう意識がなかった。最後に見たのは、ベルトを止められる自分の腕かな。

手術が終わってベッドに戻されたあたりで、脳みそがぐわんぐわんしているのに気がついた。たぶん運ばれたときに揺れたからか。夢かと思ったけど、たぶん夢じゃない。あと呼吸しにくい。そういえば朝から何も飲んでないから喉がカラカラだった。
目だけ動くけど他は何も動かない。目も動かすのしんどい。手足が辛うじて動く。なんとなくお腹が痛い。
とりあえず動くのも面倒なので寝たいけど、何故かどんどん頭だけ冴えていって他は何も動けない。最悪だ。心拍を測る機械がピーピー耳元で鳴り続けてうるさい。寝れない。頭痛い。

ああ、もう妊婦ではないな、という実感がようやく湧いた。流産について調べていた時に、「出産を大産、流産を小産という」という言葉を見かけた。その通りだと思う。どちらも経験した身からすれば、流産もお産のひとつ。それくらい体にはダメージがあると思う。痛いし。

その後1時間くらいしてようやく体が動くようになり、フラフラしながら歩けるようになった。
術後にもう一度診察があった。勘弁してほしかった。そうは言えないけど。もう終わりかと思ってたから。やっぱり痛い。結局一番痛くなかったのは手術本番だった。当たり前だけど、麻酔ってすごい。現代の医学すごい。

お会計は15000円くらいだった。
手術が終わったころには綺麗な夕焼けが見えた。まだ眠かったので少し眠らせてもらった。息子は相変わらず元気で、アホで、自分でうんこを連呼しながら爆笑している。これ何歳までやるのか。

そしたら今眠れなくなり、つらつら文章を書いている。ROM専だったnoteに初めて書くなら、もっと自分の好きなものとか楽しい話とかしたかったけど、早めに書かないと忘れそうだったので。仕事や家事育児に追われ、日々がどんどん流れていってしまう中でも、空に還ったこの子のことは私が覚えてないといけない。もう少し長男が大きくなったら、この子の話をしようと思う。そして縁があったら、元気に私たちのところにまた来てくれますように。

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