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2020年の観てよかったな~映画

2020年に鑑賞した映画の中で,観てよかったな~と思ったものをピックアップしました。旧作もありますし,必ずしも「面白い」ものだけじゃないです。短評つき。


『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ/2019)

2020年イチの話題作と言えばこれ。カンヌでパルムドール,アカデミー賞で作品賞含む4部門受賞(非英語圏映画での作品賞受賞は史上初)という快挙を成し遂げた。これまでのポン・ジュノ映画の中では割とコメディ寄りではあるが,しっかり苦味があってよかった。修士論文を提出した日の夜に観に行ったので,そういった点でも思い出深い。

『ミッドサマー』(アリ・アスター/2019)

彼氏と北欧にウキウキ旅行。アリ・アスター長編2作目で,前作とはルックをだいぶ変えてきたが,やってることは『ヘレディタリー』の変奏である。演出の妙こそ光るが,このまま進むと自己模倣の繰り返しに陥る気がする(それもホラー作家の宿命かもしれないが)。

『アナイアレイション -全滅領域-』(アレックス・ガーランド/2018)

謎の領域(ザ・シマー)で出会うモンスターの造形がとにかく新しく,グロくて最高。宮台真司も指摘していたが,バラード『結晶世界』によく似ている。

『26世紀青年』(マイク・ジャッジ/2006)

馬鹿だけになってしまった26世紀のアメリカが舞台。カマチョ大統領のキャラクターが非常によい。馬鹿だなあで済ませることができない,現代の危うさを突きつけられる。

『ウィンド・リバー』(テイラー・シェリダン/2017)

インディアン居留区ウィンド・リバーを舞台に,村社会の暴力性とアメリカの原罪を描いた作品。テイラー・シェリダンのいわゆるフロンティア三部作の中では最も地味だが,初監督作としてはこれからに期待が持てる作品。

『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(デヴィッド・ロウリー/2017)

低予算ながら見せ方のアイデアが素晴らしい作品。この作品のゴーストは日本人が持つ幽霊観に近いものがあり,なじみやすいのかもしれない。終盤,テーマとしては比較的壮大なところにたどり着くが,オチはとっても矮小。

『コリアタウン殺人事件』(不明/2020)

これほんとに絶対観たほうがいい。アマプラで観られます。詳しくは言わないし,言えない。

『透明人間』(リー・ワネル/2020)

ユニバーサルモンスターの中では比較的地味な透明人間を,現代のアクチュアルな問題と絡めて再構築した手腕は見事。久々に劇場で観た映画。

『トロピック・サンダー』(ベン・スティラー/2008)

ギョーカイ,プロデューサー,俳優,監督,みんな馬鹿!ベン・スティラーのアイロニー爆発の1本。でも,後半は戦争映画的な面白さでちゃんと作ってある。

『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン/2018)

イ・チャンドンは寡作ながら韓国映画界の到達点といえる人物。原作は村上春樹の短編「納屋を焼く」だが,原作の持つ素っ気なさを汲み取りつつも長編映画として相応しい仕上がりにしている。

『太陽を盗んだ男』(長谷川和彦/1979)

数々の無茶なゲリラ撮影により逮捕者を多数出した作品。日本もまだこういう無茶が通ったんだなあ,という感慨がある。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(ディーン・パリソット/2020)

ビルとテッドシリーズ29年ぶりの続編。正直,言いたいことは山ほどあるが,まあビルとテッドが元気そうならいいか,という気持ちになる映画。ただ,世界を救う音楽を映画で表現することの難しさは再認識した。そのへん上手くぼかすかなと思っていたけど,割と正面突破だったね(ただ,僕の大嫌いな映画『20世紀少年』と比べると,最低限必要なエクスキューズは描かれているので一応セーフということで)。

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