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2021年の観てよかったな~映画

2021年に鑑賞した映画の中で,観てよかったな~と思ったものをピックアップしました。旧作もありますし,必ずしも「面白い」ものだけじゃないです。短評つき。


『悪い奴ほどよく眠る』(黒澤明/1960)

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元日,間違いのない映画を観ようと思い,池袋新文芸坐に出向きました。嫌~な結婚式のオープニングは最高。嫌な結婚式の場面から始まる映画は大抵面白いという法則があるのかもしれない(『最高殊勲夫人』,『来る』など)。三船敏郎はやはり存在感が突出した人で,何というか演技のスピードがすごい。

『ロード・オブ・カオス』(ヨナス・アカーランド/2019)

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ノンフィクション『ブラック・メタルの血塗られた歴史』を映画化。監督はメタリカやラムシュタインなど数々のMVを手掛けているヨナス・アカーランド。音楽はシガー・ロス。これも間違いのない映画である。実話をもとにしているものの,そこに至るまでの人物たちの内面の変化の見せ方は作劇に依るところが多く,ひとつの青春映画として成立している。

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(オリヴィア・ワイルド/2019)

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こちらも青春映画の傑作。がり勉女子高生バディが,卒業パーティーではっちゃけるために会場を目指すロードムービーでもある。イケイケ陽キャたちに一矢報いるというわけでもなく,最終的には主人公たちも陽キャたちを見下していることに気づく。そこのバランス感覚が素晴らしいと思った。あと車でフェンスを突き破るシーンがあったので100点です。

『8 1/2』(フェデリコ・フェリーニ/1963)

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4K修復版を観にシネマブルースタジオに行った。人生のどうしようもなさ,自分がクズであることを受容する(開き直るのとはちょっとだけニュアンスが異なる)過程を見事に描く。10代の時に観て挫折したが,今回はとても面白く感じた。映画に限らず,創作物はそれに触れる年齢によって受け取り方が大きく変わることを再認識した。名言「人生は祭りだ」があるので100点です。

『Arc』(石川慶/2021)

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国産SF。同時期に『夏への扉』が公開されていたが,そちらはスルーして『Arc』へ。ケン・リュウの小説を近未来の日本へ翻案した手腕が素晴らしい。また,未来的なガジェットをなるべく排し,日本映画の予算的な厳しさに対応したことも奏功している。逆に,SF映画にルックの斬新さやガジェットのかっこよさを求める人には不向きかもしれない。

『イカリエ-XB-1』(インドゥジヒ・ポラーク/1963)

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チェコスロバキア映画の古典SF。スタートレックシリーズ,『2001年宇宙の旅』などに与えた影響がつとに指摘されているが,個人的には ポール・W・S・アンダーソンの『イベント・ホライゾン』への影響も大きいと感じた。ジムで身体を鍛えるシーンはいかにも旧共産圏。ポンコツロボットと液体のビタミン剤をガブガブ飲む犬が出てくるので100点です。

『最後の決闘裁判』(リドリー・スコット/2021)

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巨匠リドリー・スコットが黒澤明『羅生門』のスタイルに則って『羅生門』の批評を提示して見せた労作。リドスコ作品ならではの重厚な画面,俳優陣の演技,テーマの鋭さなど,まだまだこのレベルのものを(かなりのペースで)作れるのか!と驚いた。2021年の初めに早くも新作『ハウス・オブ・グッチ』が公開されるのでこちらも楽しみ。

『プロメテウス』(リドリー・スコット/2012)

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エイリアンのプリクエルシリーズ1作目。作劇自体は正直大した見どころがないものの,とにかく画の力で引っ張る作品。やはりエンジニアの見た目がオモシロに振り切ってしまっているのがノイズになっていると思う(人類とDNAが完全一致するくだりで,そんなわけねえだろ!って声に出しちゃった)。エイリアンみは次作『コヴェナント』のほうが強いので,そちらを推すむきもあるが,僕はあえてのこちらで。

『MONOS 猿と呼ばれし者たち』(アレハンドロ・ランデス/2019)

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アレハンドロ・ランディスがコロンビアのゲリラ組織に属する少年兵たちの「ユートピア」を描いた傑作。劇映画で,意図的にぼかしているが,コロンビアの内情を鋭く抉った作品である。過酷な現実を活写しながらも,登場人物の少年兵らは基本的に陽気で,彼らが暮らす集落の周りの景色は非常に美しい。その対比が見事。

『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー/1974)

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言わずと知れたホラー映画史に残る傑作。『食人族』と2本立てで劇場で観た(どちらも以前に観ていたが,劇場での鑑賞は初めてだった)。とにかく残酷で,楽しく,美しい。ラストシーンのカットアウトはまさに完璧という言葉に尽きる。あと,車で遠出したときに寄るガソリンスタンドのオヤジは信用してはならない。これは映画あるあるです(2021年に観た映画の中では『ブードゥーマン』がそう)。年末にふさわしい映画だった。みんなも年末は『悪魔のいけにえ』を劇場で観よう。

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