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彫刻家である父について書きはじめます

私の父、安田侃は彫刻家です。

父は1970年に25歳でイタリアに渡り、ローマのアカデミア美術学校に留学、ほどなくしてピエトラサンタにアトリエを構え、そこで大理石とブロンズの彫刻を制作しつづけています。

ピエトラサンタはフィレンツェと同じトスカーナ州にある、人口2万4千人の町です。山で切り出される白大理石と、ミケランジェロの時代から引き継がれている職人の加工技術を求め、世界中からアーティストが集まっています。町の名前からしてイタリア語で「聖なる(サンタ)石(ピエトラ)」、石の聖地です。

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私も12歳までイタリアで過ごしました。ローマでは現地校に通い、長い夏休みはピエトラサンタの近くの海で過ごしました。海から山を見上げると、白大理石が雪のように見えていました。

今は日本で父のマネジメントをしています。そんな父・安田侃のことを書こうと思いました。

きっかけはコロナ下。2020年春のステイホーム期間中、時間があったので、古い写真の整理整頓をしていました。今はiPhoneに便利なアプリがあり、接写で簡単にスキャンができます。過去の写真を多くデジタル化しました。

もうひとつ、私が理事として関わっている北海道日伊協会から、寄稿の依頼がありました。コロナ下で人が集まるイベントが開催できないかわりに、会員交流のためにニュースレターを立ち上げるというのです。

そこで思いついたのが、整理した安田侃の写真を紹介するコラムです。おかげで今まで6回分のコラムを、北海道日伊協会のニュースレター「La notizia」に掲載してもらいました。

その文章を別の場所にも書き残そうと思い、noteをはじめました。

今までの安田侃の活動は書籍や図録で紹介されていますが、全てを網羅しているわけではありません。今年76歳になった父のためにも、また自分の仕事のためにも、今から記録していくことに意味があると思いました。

各地で開いた展覧会、彫刻設置にまつわるエピソードのほか、私が仕事で見てきたことを書くことによって、安田侃の彫刻をより多くの人に知ってもらえると幸いです。