2018年に遊んだ印象深いSteamゲーム8選

今年ももう終わりですね!
私は今年も多くのゲームをプレイしました。で、せっかくなので今年プレイしたゲームの中で楽しかったもの、心に残ったものをざっくり紹介&語って行こうと思います。

Close Me

「もう一度、私を開きますか?」

Close Meは恐怖のうつくしさ、かなしさをぎゅう、と詰めたホラーゲームです。
どこか陰鬱で不気味なグラフィック。最初に流れる叙情的なメロディ。
少しずつ、なにかがずれていく、のか。それともそれはそこにあったのか。

このゲームは、しばらく進めると「それ以上進まない」状態になります。
そうなったら、このゲームを閉じるのです。
そうしてまたゲームを開くと、変化が起こっています。
この、「閉じて、開く」というプロセスがプレイヤーの心にひとつの負荷をかけます。始めたものを進めることは難しくない。しかし、始まっていないものを始めるには、踏ん切りが必要です。
プレイヤーは、決意のように、ひとつの覚悟をすることを節目節目で要求されるのです。開かなければ、その先もないし、恐ろしいこともないけれど。それでも、開きますか?という、問い。
勿論作業的に、閉じてすぐ開く、ということもできます。心が止まらないうちに。それでも、強制的に区切りを与えられる、というのは体験として特異だと思うのです。

Close Meは、とても静かな恐怖をプレイヤーに与えてくれます。
じわじわと、心に沁み入ってくる恐怖。
その恐怖の中にあるものをみつめたあと、しばらくこの物語のことが頭から離れませんでした。

短時間で、良質な体験ができた、良いゲームでした。

Card Quest

チープにも見えるグラフィックながら骨太なゲーム性を持ち合わせるカードゲーム+ローグライク。それがCard Questです。

買ってすぐにハマりこんで、「これ寝転がりながらやりたいなー!」とか思ってたらiOSで出たのもいい思い出。アンロックとかやり直したくなかったのでそのままSteamので遊んでいますが。

カードとローグライク(ローグライクってなんぞや?ってのは私も実は正確には理解していません。Rogueを元にしたゲームジャンルで代表的なのが不思議のダンジョンということ、死んだらそこでゲームオーバーということ、そういう要素要素でぼんやり感覚的に捉えています)を足したゲームは少なくありません。走りであるDream Quest、後述のSlay the Spire。大まかに見ればこの二つの「デッキビルドローグライク」をアーキタイプとしているように思えます。
しかし、Card Questはそのどちらにも似ていません。何故か?
それは、このゲームが「デッキビルドローグライク」ではないからです。

このゲームは1回のランの間でデッキにカードを追加することはありません。あるとしたら、新たな装備…カードセットを見つけた時、それを既存のものと入れ替えるかどうかくらい。既に発見済みの装備はスルーされるので、基本的には最初から最後まで決まったデッキで踏破することになります。

「既に出来上がってるデッキなら、最初から安定して進めるのでは?」
……そう、デッキビルド系は初期状態ではデッキが弱く、少しずつカードを足し、引いてデッキの完成度を上げていきます。完成したデッキはちょっとやそっとでは負けません。
ですが、Card Questはだからと言って甘くない。
このゲームでは相手の攻撃を「被弾しない」ことが基本となります。
一旦被弾し始めたら一気に死ぬ。HPを1たりとも減らさないつもりで行け。
そんなゲームなのです。
チュートリアルではクラスごとに戦い方と相手の攻撃を捌く方法を教えられます。

・攻撃される前に倒す
・距離をとって戦う
・防御カードで防御力を上げる
・防御カードで回避する

ざっとこんな感じでしょうか。
そして、攻撃と防御に使うためのコストは共通。ここに強い戦略性が生まれるわけです。
これがまた癖になる。
うっかりコンボをぶん回して相手を蹂躙して得意になっていると、隠れてた相手に攻撃されて死ぬ、なんてのがよくあります。
このバランスがたまらない。

デッキビルド系は苦手だけどカードゲームやローグライクが好き、という人も、新しい味のゲームを求めてる人も、きっと楽しめるゲームだと思います。たのしいよ。

Fran Bow

これはかなり前に出たゲームなんですが、プレイしたのがほぼ今年なので書きます。
オーソドックスなポイント&クリックアドベンチャー。(ホラー)
ですが、このジャンルでシステム的な新しさ、というのはそこまで重要じゃない…と、私個人は感じています。このジャンルの面白いところは、システムのシンプルさによるビジュアル表現の自由さではないかと。
そう感じるのはRusty Lakeシリーズもそうですね。
つまり、このゲームもめっちゃビジュアルをメインとした雰囲気が良いのです。

このゲームはFran Bowという少女の物語です。
彼女はある出来事からトラウマを負い、精神病院に入院しています。
そして、彼女に与えられる薬は恐ろしい幻影を見せる。
この薬がポイントで、幻影の中でしか見えないもの、手に入らないものが存在し、二つの世界を行き来しながら進んでいくわけです。
また幻影世界は恐ろしくもおぞましい、血に塗れたような世界なのですが…
Franのコメントが、あまりに能天気。白骨に挨拶するような余裕ぶり。
そういうこともあって、ヒエッとなりながらもすごい怖いわけでもないのですね。

そしてこのお話は実はとても幻想的、ファンタジックなお話なのです。
物語の世界、心の世界。そんな世界の豊かさが描かれている。
作中、とても「はてしない物語」を彷彿とさせる台詞があって、きっとその辺りにルーツがあるんだろうな…と思っています。

テキストは全編英語。ですが、複雑な構文もほぼなく、大体辞書を引けば(時には引かなくても)大意は掴めるようになっています。

同じ開発による新作の情報などもあり、とても楽しみです。

DELETE

パズルゲームも好きで結構積み上げています。
その中でもとても心地よく楽しく一気に全部解いてしまったこちらを。

このゲームは言ってしまえばマインスイーパ亜種です。
ただ、パネルを開いていくとそれに応じてヒントの数字も減っていき、その演出がとても心地よい。さらに進めるごとに、パネルを回転させたり移動させたりするギミックも登場して飽きさせません。

めちゃくちゃ気合いを入れて頭をフル回転させるほどではなく、しかしほんの少し頭をひねるところがある。そんな、程よい刺激を与えてくれるパズルです。

※文量が少ないとは言え、もうあとは触ればわかる、みたいなやつであり、すごいお気に入りであることに代わりはありません。

返校 Detention

トレーラーがあまりにかっこよくて気になって英語の時からプレイしてたものの、日本語化が来たのでそれを機にプレイ。
途中までは本当に敵とかそういうのが怖くって20分進めてセーブ、また明日…みたいな進め方をしていたのですが、中盤から加速度的に物語に引き込まれていき、演出の美しさもあいまって一気にクリアしてしまいました。

このゲームは…本当に、色々語るより、トレーラーを見ていただくのがきっと早い。

この映像の雰囲気が好きなら、このゲームはその期待を裏切りません。

このゲームはホラーゲームですが、「台湾の歴史を語る」ゲームでもあります。是非、プレイ前でもプレイ後でもいいので、「白色恐怖」について調べて見てください。

ホラーが苦手な人にはきついところも多々ありますが、とてもユーザーフレンドリーに作られたゲームでもあります。敵に倒されても、攻略のヒントと背景を知ることができるちょっとしたおまけ的なシーンを挟んでチェックポイントからやり直すことができたり。長い道程を踏破したあとはショートカットが用意されていたり。
真エンディング到達条件がややわかりにくい?かもしれませんが、そこも理不尽なほどではありません。バッドエンドも必見ですしね。

プレイ時間は5時間程度。
心に爪痕をそっと残す、そんな素敵なゲームです。

The Red Strings Club

カクテルで人の心を変え、運命の糸を操る−−
それがこのゲーム、The Red Strings Clubです。
サイバーパンク+バーというと、VA-11 HALL-Aがありますが、あちらが街に住む人たちとの何気ない会話といった、淡々とその世界での生き方を語っていく作品であるのに対してこちらはかなりドラマティックさに振った作品です。

バーに現れたアンドロイドの記憶にダイブすることでキナくさい臭いを嗅ぎつけたハッカーでピアニストのブランダイス。その相棒でバーのマスターでもあるドノヴァン。二人はそれぞれの方法で今から起ころうとしていることが本当に起こるのか、それは阻止しなければならないことなのか…?を探っていきます。

その過程で、ドノヴァンは情報を得るために人の感情を操るカクテルを作っていきます。
ですが、このゲームにおいてカクテルを作ることは一つの手段であり、ゲームの全てではありません。真実を求めるために、プレイヤーは様々な選択をすることになります。
そして、このゲームにおいて選択は基本的に不可逆です。進行はオートセーブされ、後戻りすることを封じます。人生にやり直しがきかないように。運命の選び直しができないように。

このゲームは、非常に多くの問題をプレイヤーに突きつけます。そして正解のない問題を、プレイヤー自身が考え、答えを出していく。プレイヤーに受動的な存在のままでいることを許さないのです。

前述のオートセーブのこともあり、隠し要素の発見はやや煩雑(一回でも失敗すると最初からやり直さなければならない)ですが、それを上回る魅力がこの作品にはあります。
あと、ブランダイスとドノヴァンの関係性がすっごいいい。

好きな飲み物を傾けながら、赤い糸の行く末を見届ける。
そんなゲームです。

Doki Doki Literature Club!

無茶苦茶話題になっていたので知ってる人も多いであろう、DDLC。和訳、ドキドキ文芸部。

その不穏な注意書きとタグは「ギャルゲーの皮を被ったなにか」であることを容易に想像させますが、それで終わるのであればおそらくここまでの評価は得ていないでしょう。

私はまだ日本語化パッチが出ていない時に必死で英語を読みながらプレイしました。
多分ボリュームとしては3〜5時間程度だと思うのですが、実に14時間かかりました。
しかし、そこから見えてきた詩、物語といった文章表現に対する真摯な愛が私を強く惹きつけました。その真摯さが下敷きにあるからこそ、この作品はセンセーショナルなだけでは終わらないのです。

Slay the Spire

多分今年一番遊んだゲーム。

未だ早期アクセスながら、デッキビルドローグライクに新たな光を与え、多くの人を熱狂させている(とおもう)Slay the Spireはひとつのランドマークなのでしょう。

私は早期アクセスのそこそこ始めの方にディスカバリーキューで見つけ、ほとんど勘でその場で購入したのですが、大当たりでした。
そしてゲームがどんどん変わっていく過程というか、完成していく過程をこの目で見ることができました。これは確かに早期アクセスの大きな魅力だ…などと思いながら。

最初は到達するまでわからなかったステージボスがイラストによってわかるようになったり、アニメーションしなかった敵がアニメーションするようになったり、挿絵のないイベントに挿絵が増えたり、イベント自体が増えたり。勿論カード効果などの調整もあり。

そういう意味で、私の一年はこのゲームとともにあったとも言えます。

このゲームがどのように新しいのか、とか、そういう話もできなくはないですが、それはまたいつか、別の機会にしましょう。

間違いなく、たくさんの楽しみをくれ、私を支えてくれたゲームの一つです。


以上、今年遊んだ印象深いSteamゲーム8選でした。

もし、新たな出会いがあなたにあれば嬉しいです。
そうでなくとも、私の好きな作品について、読んでいただければそれは私にとっての喜びです。

では、良いお年を!

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