国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスについて(地図の閲覧)

 国土地理院は、国土の測量を行う機関として国の基本図(地形図など)を作成、公開している。日本の基本図は明治から当時の陸軍(陸地測量部)により作成・刊行されており、希望すれば国土地理院で陸地測量部時代に刊行された地図(旧版地図という)も含め閲覧が可能である。(複製の入手も可能)

 過去の地図・空中写真の情報は、国土地理院のwebサイトの「地図•空中写真閲覧サービス」で閲覧することができ、サービスで公開されている画像について定められた利用規約により出典を明示すれば自由に利用できる。

地図・空中写真閲覧サービス 利用規約

地図空中写真閲覧サービス
地図・空中写真閲覧サービス

 日本全国をカバーする数千以上ある図面について図名や更新のタイミングなど調べるため、閲覧サービスの右上に「地形図・地勢図図歴」のリンクがあり地図の図郭を表示して調べることもできる。

図歴のページ
地形図・地勢図図歴

 図歴のページでは調べたい図名の箇所をクリックすると図歴のリストが表示される。以下は2万5千分地形図「東京首部」を選択して表示したもの。

東京首部図歴リスト
地形図の図歴の表示

リスト番号のリンクから地図の検索画面が表示される。

旧版地図画像の表示

 サービスで表示される成果物(空中写真・地図)の画像は、空中写真画像についてはそのまま資料として十分に利用できるものであるが(販売されている空中写真の本成果は画像のサイズが大きく、測量に使うのでもなけれダウンロードできる高解像度版の画像でも十分と思う)、残念だが地図の画像については全く地図の内容が確認できる解像度ではない。(2024.8.6 修正追記)地図については解像度は低いので内容の確認には十分ではない。地図の内容を確認したい場合は、「オンライン閲覧の申込」のリンクより国土地理院の共通ログインIDでログインすることにより詳細な地図画像の閲覧が可能となっている。
 補足)地理院IDについて

オンライン閲覧ログイン画面

 空中写真画像と異なり地図画像については閲覧のみが条件とされており資料として用いたい場合は旧版地図の謄抄本交付の手続きにより複製を入手する必要がある。謄抄本交付の手続きはつくば市にある国土地理院本院の情報サービス館か各地方測量部沖縄支所の閲覧スペースで可能である。どの閲覧所でも全国の地図の閲覧が可能で地図の複製(謄本交付)も申し込むこともできる。(例えば札幌市にある北海道地方測量部でも九州の過去の地形図の閲覧複製の入手の申し込みがが可能)
 手続きの詳細は以下のリンク先を確認してください。

閲覧・謄抄本交付受付窓口

 国土地理院のWebページ以外にも過去の地形図を閲覧できるサイトがいくつかあるので参考として紹介する。

今昔マップ

 埼玉大学の谷先生が国土地理院の旧版地図を入手加工し「今昔マップ」として公開している。全ての地域・作成年をカバーしていないが国内の主要な地域について見ることができる。また、今昔マップの旧版地図は「ひなたGIS」でも古地図のレイヤとしてみることができる。「ひなたGIS」の古地図レイヤでは成果品となっていない陸軍作成の迅速地図なども見ることができる。

今昔マップontheweb
今昔マップ

リンク 今昔マップon the web

リンク ひなたGIS 背景の古地図フォルダから選択

公文書館・図書館

 地域の公文書館や図書館では、そこの土地の過去の資料として国の基本図である地形図を所蔵している場合が多い。自分の住む地域の旧版地図を見たい場合は地元の公文書館や図書館に照会してみるものよいと思う(あわせて地域の史料として地理院以外が作成した過去の地図があるかも確認すると良いと思う)。

スタンフォード大学のデジタル地図コレクション

 スタンフォード大学図書館のデジタル化した地図コレクションで陸軍の作成した地形図が閲覧できる。陸軍が作成した台湾など戦前日本の統治下の地域の地形図(外邦図といわれる)なども閲覧可能である。

リンク Japanese Imperial Maps

リンク Japan 1:50,000

おまけ 台湾の外邦図

 台湾の地図サイトで日本が台湾を統治していた時に作成した地形図がレイヤとして公開されている。日本だけでなく米国が作成した地図なども公開してされている。「図階」タブで色々選択できる。(地図表示が対応していないブラウザがあるので注意)

臺灣百年歷史地圖

 地理院以外でも旧版地図を見ることができるがピンポイントで地理院が管理する「この年刊行」の「この地図」を見たいという場合は地理院で閲覧する必要がある。地図の複製はネットなどで地理院の出先まで行かなくても申し込めるので、せめて閲覧サービスで見ることのできる地図画像の解像度を購入の参考になる程度にはあげてほしいものだ。
(「オンライン閲覧の申込」により可能となった  2024.8)

※ 国土地理院の成果閲覧サービス他、文中の参考リンクは2024.8時点のものです。
※2024年8月オンライン閲覧が可能になったので文章を修正。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?