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言葉の壁を作っているのは日本人?

外国人雇用サービスのフローラ・アミの前田です。

・日経新聞より

先日、日経新聞で9月の全国の平均時給が、初めて1000円の大台を超えた記事がありました。
同月の社会保険適用拡大も人手不足に拍車をかけていて、年末を控えた採用競争が激しさを増しています。

社会保険拡大の適用により、加入対象が130万円から106万円以上となり、
これにより25万人のパートが保険料の負担を求められます。

また、時給の上昇は年収上限を意識しての就業調整にもつながり、
全国のパートの人達の就業時間が全体として減少することにつながります。

少子高齢化という人口問題に加えて、この制度による影響と、季節要因により、
企業にとっての労働市場が、厳しくなっております。

・あるクライアントより


このような中、現在、ベトナムより入国してくる人が、増えており、日本語学校の入学時期である、
この7月~10月にかけて日本語を学ぶ学生が一気に入国してきました。

先日、ある弊社のクライアントが、この入国したての学生の一人を、採用しました。
ほとんど、日本語も話せない状態でしたが、言葉の壁を超える、労働環境を作り、
日本の労働市場に依存しない体制を準備していきたい、との事でした。

数日後、そのクライアントの人と話したところ、「本人以上にこちらに学習機会が生まれている」との事でした。


・即戦力となるために


ベトナムの現地に行って、感じるのは、記号や平易な日本語で伝えると、
想定よりも理解する反面、<日本人的な日本語>で伝えると、想定よりも伝わらないという面があります。


まず、外国人を即戦力として考えるのであれば、雇用する側としての、記号力と言語力も必要となります。

例えば、<近くにある皿を、棚に、縦に立てて、おいてほしい場合>、以下のような指示が現場で想定できます。

1)あそこに、あんな感じで頼むね

2)この皿を、あの棚に、縦に立てておいて

3)Aを、1に、xのやり方で、おいてください。


1)は主語や動詞を省略した、典型的な日本人的な日本語です。日本人はこれが通用するから、楽なのです。

2)は主語や動詞はあるので、ある程度、明確ですが、本人の語学力によって伝わり方が変わります。

3)は記号を用いた伝達です。あらかじめ、物や場所に記号をつけておき、記号で伝えます。

日本企業は1)が非常に発達していることが多いのですが、2)と3)が発達している業界や企業が、
外国人でも即戦力となるケースが多いです。


・潜在力


外国人は、異国に来ているので、日本人よりも鋭敏な感覚を持っていたり、
違いや異変に気が付く事も多いです。

遠慮したり、言語力の問題で、それを引き出せない事が多く、残念ですが、実は、この力を引き出すと、
企業としても助かることがあります。

なので、最初は指示しながら、本人達が、少し工夫をする余地を残しておくと、可能性が広がります。

どうしても、言葉が話せない人を、見下ろしがちですが、たまには、本人の意見を聞いたり、
相談をしてみる、など、対等に考えている姿勢を示すと、やる気が出たりするものですし、
そのようなやる気は、いずれ、何かを気づいてくれることにもつながります。


・ベトナム人学生の一言


この写真は、現地の日本語の私塾です。
ベトナムの大手放送局の日本への特派員の人達がやっているもので、特定のスキルを持っている人に、
日本語を教えて、個人を通じて、もっと日本とのつながりを広げようというユニークな塾です。

そこで、話した学生の言葉が印象に残っているので、ご紹介します。

「日本語は少しわかるけど、日本人がいっている事がわからないのです」

日本語は、日本人だけで使われる言葉なので、このようなことが起きるのでしょう。

その点、英語には、一日の長があると思います。

<外国人がわかる日本語>、という事も意識すると、
日本の企業や、外国人の可能性が広がると思います。

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