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つつがむし病のリスクファクター

みなさんはつつがむし病のリスクファクターとして何が最初に思い浮かびますか?

今日は千葉県内でもつつがむし病の濃厚汚染地域(という言葉が正しいかわかりませんが)の猫の手術でした。マダニも研究者が採集にくるほど高密度生息地域&日本紅斑熱の濃厚汚染地域でもあります。

(IASR:つつが虫病・日本紅斑熱2006~2009,2010;31(5):120-2.より引用)

つつがむし病と日本紅斑熱

当然わたしたちも日頃から感染対策は気をつけています。

今日手術した当該地域の猫たちにはツツガムシが多く寄生していました。

猫に寄生するツツガムシ


お腹の毛刈り後、寄生に気づくことが多い
寄生部位のアップ

オレンジのつぶつぶは全部ツツガムシです。毛を刈らないとなかなか気づくことができません。

手術後、ツツガムシが寄生している子が多かったこと、つつがむし病の予防についてインフォームしたところ衝撃の返事が。

…え??

『わたし、2回感染しました』

そんな人初めて聞きました。やはり濃厚地域は伊達じゃない。
高熱を出し、リンパ節は腫れあがり、とにかく辛かったと。さすがに飼い主さんも懲りているようです。もう二度と感染したくないから気を付けているとのことでした。

3回目はないか?

山や藪でツツガムシに咬まれてしまうことは、医師のインフォームもあり、理解していました。藪に近づくときは長靴や長袖長ズボン着用など、気を付けていました。確かにこれは重要な予防法です。

しかし、外猫が多く、予防薬を徹底できでいない今の状況では、再感染するリスクは高いままです。自分の服装による防護だけでは、予防は片手落ちと言わざるを得ません。これに加えて周囲環境の清浄化、つまり猫のツツガムシ予防が同じくらい重要です。

ワンヘルスの重要性


環境×人×動物

医師はつつがむし病を診断すると、山に入りましたか?そういう時はツツガムシやマダニを防護できる服を着るようにしてくださいと伝えます。
一方、獣医師がつつがむし病について言及するときは、猫や犬があなたの付近まで運ぶことを伝えます。なにがいいたいかというと、

医師目線:「山に入ること」がリスクファクター
獣医師目線:「犬猫の予防不足」がリスクファクター

異なるリスクファクターに注視しがちなのです。どちらも正解なのですが、どちらかだけでは片手落ちになってしまいます。これを仕方ないと片づけない。これこそがワンヘルスの考え方です。身近でとても必要とされていることを再認識しました。

ツツガムシの予防

ちなみにツツガムシはノミマダニの予防薬で予防可能です。この旨をしっかり伝え、通年のノミマダニ予防を約束してもらいました。

ツツガムシは秋から冬が最盛期です。ノミダニ予防は夏だけという一辺倒の認識は危ないですね。

ノミ・マダニと媒介感染症は下のブログ記事にまとめてありますので、よかったらどうぞ。


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