早期離職を防ぐ就職後の支援

週末のテレビ(私はほとんどテレビを見ませんが)でこんなニュースを見ました。

上記は、コロナ禍で高校生の早期離職を防ぐ就職後の支援として、「ジンジブ」という会社のサービスについて取り上げていました。内容としては、就活を支援する会社が、離職を防ぐために就職後も相談窓口として支援している、といったものです。

 私自身も就職後、早期に離職する人がいるのは目の当たりにしていますが、その事情(全てを把握できているわけではないですが)は千差万別だと感じています。産業医が関わるケースとしては、メンタルヘルス不調を始めとした健康問題の場合もありますし、メンタルヘルス不調の入口になり得る人間関係、業務への適性、理想と現実のギャップでの悩みの場合もあります。もちろん、あっという間に違った仕事を見つけて前向きに辞めていく方もいます。

 会社のスタンスも様々ですが、短い期間であってもある程度はその人のことを理解している部分があり、引き止めたい、辞めてもらって構わない、は分かれるような印象もあります。その辺りの判断材料として、産業医面談を実施していれば、意見を求められることもあります。

 産業医としては、その職場の在籍期間の長短に関わらず、健康管理の観点から就業について意見をするのですが、もう一つの役割(今回の主題に限らず)として、本人(会社を含む)が主体的に判断できるような機会を提供することが重要なのかな、と考えています。当然ながら、その役割は産業医だけが担っているわけではないので、上記のニュースにあるような「ジンジブ」といった第3者的なサービス活用も一つの選択肢になった時代なのかな、と感じました。

 というのも、会社側の事情として、人事労務に求められる役割が多様化していますから、一つひとつの仕事をどこまで丁寧にやるか、といった判断も求められているような印象です。というのも、人事労務的な措置については、やることは同じでも、本人への伝え方などでその後の本人の気持ちや行動が良い方向にも悪い方向にも大きく変わることがありますが、そこに誰がどれくらいの時間を掛ければいいか、には正解はありません。

 一方で個人の側としても、就職前から関わりのある場所が、引き続き、相談窓口として対応してくれるのはありがたいことです。やはり、悩んだときに何も経緯を知らない人に話をするのはハードルが高いですし、聴いた側も対応に悩む部分もあるかもしれません。また、可能であれば、その相談窓口が職場側とも繋がりがあると、よりよい関わりが出来るのかな、と考えています。

 「キャリア形成」は現時点では産業保健の本質とは捉えられていない部分もあるのかもしれないですが、上記のように本人、職場から相談を受ければ関わらざるを得ないところがありますし、第3者機関ではありませんが、会社、本人が主体的に判断できるための支援はできるのかな、と考えています。

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