【ご報告】労働基準行政功労者として茨城労働局から表彰頂きました

 私が地方労災員(精神障害担当)として、メンタルヘルス不調に対する業務上外についての意見書作成に携わっていることは別記事で紹介しました。

 この仕事には2009年から従事しているのですが、今年度、労働基準行政功労者ということで、茨城労働局長から表彰頂きました。この仕事は、被災者(メンタルヘルス不調を発症した労働者)やその家族からの労働基準監督署への申請を切っ掛けとして、メンタルヘルス不調が業務上か、業務外かの判断がなされていく仕組みです。私が関わっている部分は、労働基準監督官が被災者、家族、職場、医療機関等、幅広く関係者に聴き取り調査をした結果を伺い、医学的な意見を述べるというごく限られたもので、言ってみれば「私の経験や考え方を行政に生かしてもらっている」わけですから、まずは労働基準行政に携わっている方に改めて謝意を表します。上記記事でも記載したように、この仕事の背景にはメンタルヘルス不調となった方やその家族、聞き取り調査などで大きな負担を抱えている労働基準監督官がいます。加えて、私自身が産業医先や精神科医療機関、そして普段から色々な方と交流を持つことで多くの経験をさせてもらっているが故に役割を務めることが出来ているわけですから、皆様にもお礼申し上げます。

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 と、ちょっと固くなってしまいましたが、本当に地道で苦悩を抱えながらの仕事で、一つひとつの事案は意見書を作成すれば区切りはつくものの、次々と新しい事案の依頼があって終わりがないものですので、今回の表彰はとてもうれしく感じるとともに、引き続き、役割を果たしていこうと前向きになることも出来ました。

 もちろん表彰自体がうれしいこともありますが、長年続けることで、労働基準監督署との信頼関係も築くことが出来ました。労働基準監督官も頻繁に異動があるようですが、多くの監督官は県内での異動が主(中央から出向の監督官もいるかもしれませんし、人事制度は把握していないのですが)で、産業医として労働基準監督署に関わる際にも、お互いの心理的な抵抗感が下がります。また、事業場にとっても、労働基準監督署が当該事業場の産業医を知っていることで、事業場の安心感(労働基準監督署として産業医をポジティブな意味で認知している)に繋がるだけでなく、事業場の至らない点が産業医と労働基準監督署のコミュニケーション(守秘義務に反するような行動ではありません)から指導対象として浮かび上がって来ないように、よい意味でのプレッシャーにもなればいいな、と願っています。

 自分としては、産業医として関われる事業場は限られていますし、「産業医を依頼したい!」といった気持ちがある事業場ですから、産業保健活動に一定の理解や意欲がある事業場とも考えられます。なので、この仕事に携わることで、県内の産業保健活動のレベルを推し量ることができ、とても貴重な経験が出来ていると感じます。またとても一生懸命やっていたとしても、ほんの僅かな落ち度で労災認定に至る(労災認定=悪いことではありませんが)ケースもあるわけですから、普段、働く人からお話を伺う際、上司や人事労務担当者から相談を受ける際などにも、気を付けておくべきポイントを抑えることができ、活動の質も上がるのかな、と感じています。

 月並みではありますが、今回の表彰によって仕事のスタンスは変わりませんので、引き続き、一つひとつのケースに地道に取り組んでいきます。

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