ストレスチェックについて再考する〜集団分析・職場環境改善について〜

 前回に続いて、ストレスチェックのセミナーを担当する機会があったので、今回は集団分析・職場環境改善について振り返ってみます。

 4月13日(火) ストレスチェックの実施とその結果の具体的な活用例@土浦
(なお、1回目は3月2日に水戸で実施済み)

  ストレスチェックの主旨は一次予防(これ重要です!)なので職場環境改善はまさしくストレスチェックの要ですが、まだまだ手探りでやっている事業場も多いと聞いています。集団分析結果は、部署に所属しており、自記式質問紙であるストレスチェックに回答してくれた方の平均値が項目別に算出されるので、あくまで主観を客観的に表現したものでしかありません。従って、職場環境に課題があるのか、は集団分析の結果だけではわかりません。また平均的な結果(例えば10点満点の5点程度で、事業場内全体の平均点も5点)であっても、半分の方が1点、残りの半分の方が10点につけた結果であれば、何かしらの課題がありそうです。従って、集団分析の結果だけで解釈するのではなく、その職場のことを知っている方と一緒に考えることが重要です。

 私自身は、とある事業場において、産業医から上司に集団分析結果を説明しながら、上司の見ている職場環境を伺うとともに、何かできそうな職場環境改善があるかどうかを一緒に考える、といった取り組みをしています(日本産業衛生学会で発表済み!)。そこでは、
・個人面談など、風通しをよくする
・業務量平準化
・職場ミーティングの活性化
・定期的なノミニケーション
・メリハリつけた業務実施
・ストレスはなくせないので共感を
・現在進行中の業務改善の定着によるストレス低減、時間削減
・良好な結果なので方向性は変えない
といったような、言ってみれば「ありきたりな」対策が出てきましたが、集団分析結果や、お話しした上司の解釈を踏まえると、説得力のある対策だと感じるものが出てくることが多かったですが、職場が(当たり前かも知れませんが)色々なことを考えてアクションをしていることを知ることが出来ました。加えて、こういった機会に上司の方と話をする機会を持っておくと、信頼関係の構築に役立つので、例えばメンタルヘルス不調者の対応について相談する際も、コミュニケーションのハードルが下がり、スムーズな対応に繋がることも実感できました。

 ストレスチェック制度から考えると「集団分析の結果を活用して、職場環境改善をする」となるため「集団分析の結果をどうやって職場環境改善に繋げればよいのか」に悩んでいる職場(産業保健スタッフ?)も多いかもしれません。これを、職場のマネジメントの観点から、職場環境改善の一つのツールといして集団分析結果をどう活用するか、と考えてみるとどうでしょうか。つまり「職場環境改善」は、職場を任されている管理監督者の一つの役割なので、その役割を果たしてもらうために集団分析結果を活用する、といった視点を持つことで、日常の活動の中に自然に組み込めることも多いのではないかと考えます。おそらく、多くの職場では日常的に職場環境改善活動はやっているはずです。集団分析結果を出発点として、新しい活動をすることに抵抗を感じる上司もいるかも知れませんが、既に取り組んでいる職場環境改善活動の効果測定や方向修正の機会として集団分析結果を活用にしてもらってもいいのではないでしょうか。

 ということで、最後は産業保健スタッフとしてはやや引き気味になってしまいましたが、産業保健は支援者でもありますので、前のめりになり過ぎず、距離を取り過ぎず、適度な距離感で活動をしていければいいのかな、と考えています。


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