【4】 闇市

    アジト跡地はMUTOYS島の南東に位置する小さな島だ。
    いや、かつては小さな島だった場所だと言うべきか。
    一説によると海賊たちのアジトだったとも言われている。
    しかし、いつからか多くの人がここに住み、土地を変え、街ではないこの場所は資源豊かな地域へと発展した。
    潮風が駆け抜け、太陽の光が燦々と降り注ぐ商店街。
    アジト跡地と呼ばれ、憩いの場も寄り合える場所もないこの跡地は、かつてのイメージを払拭した。かのように見えたが……

「本当にあるのかよ、こんな所に」
    男はキューに説明された通り、アジト跡地のとある場所を歩いていた。
    両側に高くそびえ立った岩場は、まるで外界との繋がりを遮断しているようだ。
ザァー……ザァー……
時折波の音が聞こえる。

    更に進んで行くと奥のほうから人の声や楽器の音がする。
「本当にあった……」

    そこは円のように大きく開けた場所で、笛や太鼓が鳴り響いていた。
そして、店、店、店。
奥には船着き場も見える。

    息を呑み、高鳴る鼓動を抑え、歩を進めようとした瞬間
『おい、見せな』
    振り向くと、黒いドレスをまとった、可愛いお手伝い妖精がいた。
『お前、初めてか?』
    妖精は僅かに高度を上げ、見下ろすように言った。
「あ、はい。でもちゃんとこれは持ってます」
【闇市への招待状】を見せた。
『よし、通りな』
    そう言うと彼女はどこかへ飛んでいった。

(本当にこんな場所があったんだ)

    彼の心のつぶやきを聞いたらキューは「いいね」と言ってくれただろう。

    アジト跡地のとある場所の昼下がり、その男の鼓動は楽器の音をバックコーラスにしダンスを踊っていた。

店主 シーカー
創業336日目
老舗武器屋で孤高の鍛治屋

闇市編最終話

読んで頂きありがとうございました!
【闇市への招待状】を除き、登場した人物、レシピ品全てフィクションです。
気になるレシピがあれば実際に作って頂いても構いません(作ってもらえたら飛んで喜びます)

作中に出ても良い店主募集中。
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をTwitterでDM下さい。
普段のプレイスタイル等入れてもらえたらなるべくそれに沿って書かせて頂きます。
登場する話は事前にDMで確認して頂いた後掲載させて頂きます。


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