東方にソシャゲは向いていないのか
先日、東方ダンマクカグラがサービスの終了を発表してしまった。
個人的に運営のアンノウンXは、東方のさらなる盛り上がりのため活動している集団で、どこよりも原作を尊重していた運営だと思っている。それだけに愛を多く持つ作品が終わってしまうのはとても悲しい。
現状残っている東方project公認ソシャゲは東方ロストワードだけになってしまった(東方ダンジョンダイブはソシャゲか?)。
二年前のキャノンボールだけならともかく、ダンマクカグラまで終わるとなると、やはり根本的な問題を考える必要がある。
東方projectは、ソシャゲに向いているのか?
私は東方の性質から、向いていないと考える
金銭と東方
まず、この動画などでも触れているように、東方に商業的な話は向いていないのだ。同じ同人作品から商業に移行した作品は「ひぐらしのなく頃に」「月姫」など色々あるが、東方は憑依華まで原作を商業作品に流していなかったのだ。
なぜなら、それは原作者や二次創作者が利益を得ることよりも、作品を作ることを目的としていたからだ(ひぐらしも最初はそれでやっていたが)。
東方と金の問題は別記事で取り扱うことにするが、東方がこの考え方に則っている以上、金銭目的によって何かをするということは東方に合っていないのだ。
弾幕アマノジャクおまけテキストから見るソシャゲ
これは2014年に発表された「弾幕アマノジャク」のおまけテキストにあった神主の言葉だ。
2014年はちょうどソシャゲの黎明期で、この言葉もそれを反映しているものだろう。神主の考えが今と昔で大きく変わっていることはあるだろうが、しかしながら東方というコンテンツにこの考え方があるのは間違いないだろう。
そもそもSTGというのは、繰り返し繰り返し練習して上手くなっていくというシステムを持っている。いわば努力が報われるような形になっている(初見でノーミスなどで行ける人は元々練習を積んでSTGがうまいというパターンが多い)。それに対してソシャゲは練習をせずとも、資金力にモノを言わせて強くなっていくパターンが多い。
東方は基本的にSTGであり、やはり前者のシステムである(後者のシステムをSTGに落とし込んだのが虹龍洞)。
その点からしてソシャゲと相反しているのだ。上のSTGがうまい人も、努力がやがて身につき、それが自分の実力となっている。しかし金で買ったものが、リスクに打ち勝ったことを自分の実力のように勘違いし、それが強さになってしまっている。
ゲームを金で買うことが問題なのではない。ただ買い切りのゲームだけを買うだけなら、「ゲームができる・できない」だけでそこに強さの差は発生せず、みんな条件が同じだ。 普通のゲームの武器などへの課金要素も、課金したものがバカに強くなければ似たようなものだろう。
ゲーム自体を買い切りにより、そのシステムに則って強くなるゲームではないソシャゲは根本から異なるのだ。
他のゲームならそれでもいいのかもしれない。しかしそれは東方の精神に反しているのだ。
その面から言えば、同じ音ゲーの「東方スペルバブル」は基本的に買い切りのゲームで、課金要素は一部のキャラクター(自分が使いたいキャラを買う)とやれるステージが増えるだけで、キャラクターの差はあまり生まれない(小傘はバカに強くスペルバブルが理論であることを崩壊させかねかったが)。その点ではスペルバブルは東方の精神に則りうまいと思う。
ところで新作が
この記事を書いている時に、新作「バレットフィリア達の闇市場」の情報がきた。
この記事で着目したいのは
という部分だ。繰り返し新しいカードやスキルを求めて攻略をする。つまりソシャゲにおける周回だ。
これを見る限り、雑魚と戦う wave というものがあり、最後にボスとバトルという流れのようだ。
私の記憶が正しければ、ロストワードもこのような形だったはずだ。
それに、右上に Speed や Atk.(アタック?)という表示があることから、やはりソシャゲに近いと思われる。
あくまでスクショなどからの推測であり、この作品が実際にソシャゲのような形態をとっているのかはわからないが、かなり近いと思う。
少なくとも2月以前からこの作品の構想はあった(ダーク=闇)ようだが、たまたまソシャゲのようなシステムがダンマクカグラにも被った。
私はこれを神主なりのソシャゲに対するアンチテーゼだと思っている。
ソシャゲの当たる確率(≒実力)のための過程、いわば作業を実際に経験によって実力が得られるという形に落とし込んでいる。
すなわち、ソシャゲのシステムに則って偽物の実力ではなく本当に実力が得られる(=成功体験)としているのではないか。
コミケで頒布されることを考えると、流石に課金要素はなく、買い切り製だろう。ソシャゲとしてのシステムはゲーム内で完結するはずだ。
今回の新作も、厳密にいえばソシャゲではない。実力が本当に得られる作りになっているからだ。
二軒目ラジオより(2022/8/1 追記)
やはり神主は泥臭さ、努力によって生まれる結果の面白さを大切にしているらしい。
製品版が出ないとなんともいえないが、逆にいえば、このような形でないと東方とソシャゲは向かないのではないか。
実際これも同人作品として頒布される。神主自身自分の作品を「自分の日記のようなもの」としており、売れることは目指していない。
直近の作品で言えば、「ナイトメアダイアリー」はインスタグラムなどのSNSを、「虹龍洞」はコミックマーケットとソシャゲを反映していた。「バレットフィリア」は虹龍洞の精神的続編なので、同じことを反映しているだろう。
このような点があるから、東方はソシャゲに向いていないのだと私は思う。現状を保てているロストワードが異常なのだ。
これ以降、東方ソシャゲがサービス終了するのを見たくない。企業にはソシャゲではない課金要素のある無料のゲームか、普通の買い切り型のゲームを作っていただきたい。
「バレットフィリア」に関しては別途考察記事を書く。
とりあえずいい考察をしているビートまりおの配信を置いておく。
以上。
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