今日の読書メモ:坪内祐三『『別れる理由』が気になって』講談社、2005年
坪内祐三の文庫本紹介が面白かったので購入していた。読み始めたところだが、最初から江藤淳の『成熟と喪失』における小島信夫の解釈が行き過ぎているとの文章は面白いと思った。
この本でも『一九七二』のような、1968年10月の出来事を時代の画期として記述しているところは、そんなに日本の出来事の意味が連関しているとは思えないのだけど、「学究的というか、マニアック的な読み方」と反省的に書かれる、小島信夫の「別れる理由」連載時の『群像』もいくつか参照して、その時期の雑誌の紙面空間にはどういう物語が生産されていたのかということも参照しているのは、自分も雑誌研究において用いるやり方なので親近感を持った。
江藤はエリクソンの社会心理学も援用していたが、坪内も社会学的な分析であると言えなくもない。
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