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身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(3/4)

つまり、ベンゾジアゼピンの離脱症状そのものだけではなく、その「純度」にも大きな個人差があるのかもしれない。

例えば、離脱症状の存在すら知らずに長年マイスリーを服用していた患者さんがマイスリーを持参し忘れて旅行に行って旅先で眠れぬ夜を過ごし、3日目に強直間代発作(benzodiazepine withdrawal seizure)を起こして救急搬送されたといったケースでは心理社会的要因の介在は皆無だと見積もることができます(ケースA)。この方に認知行動療法を行っても痙攣発作は改善しないでしょう。

逆に、内科から睡眠薬として処方され、数ヶ月服用していたデパスが「怖い」薬であると偶さか知り、ネット検索を繰り返してネガティブな情報ばかりを拾ってしまい、にわかに体調が悪いような気がしてきて「これは『常用量離脱』に違いない。人生詰んだ」と5ちゃんねるやTwitterでつぶやき出すような方は身体症状症が主診断になるかもしれません(ケースX)。この方は服用しているデパスの水溶液タイトレーションを開始するかもしれませんが、それで事態が改善しそうなイメージは浮かびません。

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