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ベンゾジアゼピンの減薬・断薬

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#診断基準

ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (4/4)

ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (4/4)

それではDSMの「鎮静薬、睡眠薬、または抗不安薬離脱」の項目を精神科医に啓蒙し、暗唱させられるようにすればベンゾジアゼピン依存症や離脱症状の正診率が上がるかと言えば、恐らくそうはなりません。
それは操作的診断基準の用い方としても間違っています。

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ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (3/4)

ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (3/4)

精神科の(研究ではなく)臨床において操作的診断基準を用いる場合、それは問題集の解答編のように用いられることが多い。

診断を下すために、「DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル」を片手にそこに記載されている症状の有無を患者さんに1つ1つ確認する精神科医はいません。
例えばうつ病に関しては多くの精神科医が症状や経過、状態像についての知識やイメージを持っています。それに照らして問診を進め、目

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ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (2/4)

ベンゾジアゼピン減断薬 - 操作的診断基準はなぜ無力なのか (2/4)

ネット上で議論されるベンゾジアゼピン依存症・離脱症状に当てはまる基準は、操作的診断基準のゴールデンスタンダードとも言えるDSMにもちゃんと採用されています。「鎮静薬、睡眠薬、または抗不安薬離脱」がそれに相当します。シンプルで(それゆえに評価者間で解釈の差異が生じにくい)、そしてベンゾジアゼピンの代表的な離脱症状を的確に捉えた診断基準だと僕は思っています。

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