見出し画像

口述試験その他あれこれ

筆記試験の成績通知は既に届いており、択一のマークミスが無かったことはわかりました。
記述に関しては点数(合計46.0)だけではつまらないので、実際に自分が書いた答案が本当はどうだったのか、内容がわかり次第こちらで共有したいので、開示請求の結果を待ちたいと思います。
近日中に届くはず。

そういうわけで、先後が逆になりますが筆記試験の合格発表から最終合格発表待ちの間の出来事を少し記しておきます。


来年、合格するあなたのために。
少し先の未来がだいたいどんな感じなのか、ちょっと先回りして覗いておきますね。


合格発表後の視界

前々回、筆記合格しても世界は変わらないと書いた。
確かに、地球レベルでは自分が試験に受かったぐらいじゃ何の変化もない。あるワケない。

しかし、半径50メートルくらいの景色はガラリと変わり始めた。
端的に言うと、毎日が誕生日かクリスマスみたいな感じだ。いろんな人からおめでとうと言ってもらえる。
もっとも、向こうから勝手に寄って来て祝ってくれるわけではなく受験時代から長らく自分がこんな勉強していると周囲に宣伝していたので、そのフラグを回収した結果の産物だ。

田舎では、一人に喋ると瞬時に十人に伝わる。開業してから個々に営業に回るより効率がいい。どうせまともな就職先は近場に無さそうだし、年齢も年齢なのでいわゆる即独を視野に入れている。
もとより細々とやっていければいいと考えているので、始期付の営業活動としての概括的申込の誘引、的な感じで法や規範には抵触しないように、ふんわりしたスタンスで引き続き周辺に種を蒔いていこう。

そうした「営業」活動をする中で、この資格について世間にはまだまだ周知が足りてないことにも気付かされた。
試験に合格したことに対しては一律喜んでもらえるが、「それで?司法書士って何をする仕事?」とあらためて尋ねられてしまうのだ。
昨日も、久しぶりに会った知人から、その資格を取ったあなたから私がやってもらえそうなことって何がありそう?との問いかけをされてドキリとした。

受験界にどっぷり浸かっていた身としては、抜け出した途端に思わぬ冷水をぶっ掛けられるようにも感じるが、それは同時に、潜在的なニーズは大いにあるという希望と、これからどうアプローチしていくかという宿題でもある。
司法書士という職業と、司法書士がお手伝いできる領域の中での人々の困りごとをつなげること。おそらく、そういう部分が、今のところは人工知能ではなく人間たる資格者の面目躍如の一部といえるのではと考えたりする。

そうしたマクロな課題は少し先へ置くとしても、目先の細々した「やることリスト」も急に増えた。
予備校のイベント等への参加や対応、合格後の研修などのスケジューリング、読んでみたい、読むべき書籍のリストアップ。受験用の参考書から実務書へ徐々に本棚を入れ替え。
受験時代に背伸びして少しずつ買って積ん読してあった本たちがようやく日の目を見るのだ。

ほぼSNS上でのつながりしかなかった受験生たちに「同期」として何となくぬるっと挨拶。
X(Twitter)上には既にベテランの補助者や士業や元銀行員、歩くデータベースや資格情報屋みたいな凄い人たちがワンサカ居るので、そうした自分より遥かに優秀な同期の面々の頭脳を自分の押し入れ代わりに拝借しようとの魂胆もある。有難きかな同期。
合格したらアカウントを消すつもりが撤回せねばなるまいか。

もちろん先輩方のアカウントもちょっとずつフォローさせていただく。いろんな方々にリアルでお目にかかる機会も増えるだろうから名刺も作った方が良さそうだ。

しかし何よりまず、筆記の合格発表から2週間も経たずして口述試験が待っている。筆記と同じく県外で実施されるし、遅刻は許されないので前泊の宿探し。スーツも用意しなければならない。

服装もだが、精神的にも丸腰で受けるわけにはいかない。「落とす試験」ではないと言われているにしても。


口述試験体験記

既にいろんな先輩方がいろんなツールで体験記を発信されているし、予備校を使っていればアンケートなどで講座などをちょっとヨイショして回答すれば口述対策用のアイテムがもらえるので、どんな質問をされるのかなどについてはその時期が来てから調べれば良し。

未来の合格者に、と言うよりは、二週間前の自分に言ってあげたいことは

・電話形式でも模試を受けておいて正解
・でも練習したところでどうせ本番では満足に喋れんから気にすんな
・面接の時の動きの確認しとけばOK
・前乗りのホテルは階下に炭火焼鳥の店がない所にしろ
・試験官は助け舟なんか出さんぞ

部屋は快適だが深夜の炭火焼の匂いに辟易


これまでの繰り返しにはなるけれど、私の体験は、都市部で日常的に予備校に通える環境に居る受験生にはあまりピンと来ないであろうことはおことわりしておきます。

事前に予備校(2校)の口述対策用のレジュメ類と、不登法と商登法の総論部分のテキスト、司法書士法の条文をそれなりに再確認して知識の抜けをできるだけ補い、実際に喋る訓練をした。
丸暗記ではなく、可能な限り自分の言葉で話したいと思ったので家事の合間などに自問自答を繰り返した。

模試については、電話で受けられる口述模試を伊藤塾が唯一実施してくれて大いに助かった。
しかも、試験官役としてご対応くださったのがあのS先生だったので、何か質問ありますかと訊かれて先生が作問担当される記述答練をかつて受講していたことを一方的に喋り倒し、卒業式で先輩に告る女子学生みたいになってしまった。

本番の試験では、驚くことに試験官が質問を2回繰り返して読み上げるという丁寧さで、そのせいか質問項目は10個だけで、内容も模試より断然易しかった。何を問われているのかわからなくて聞き返す必要もなく、答えが正しいかどうかはともかく概ねスムーズに受け答えができ、答えられなくて早々に諦めた質問は一つだけだった。

けれど他の会場では事情が違った(問われる内容が仮登記とオンライン申請に偏っていたことは他も似た感じ)ようなので、あまり参考にならないかも。

助け舟云々に関しても、試験官がAI化されない限りは会場によって違うので、一人の先達の言ってることだけを鵜呑みにしない方が良いでしょう。

私が受験した会場の試験官の人はAIじゃないにしても完全に面接マシーンだった。こちらの回答に終始うつむいたまま気怠そうに「それでいいですか」を繰り返すだけなので、試験官と会話するつもりで乗り込んだが暖簾に腕押しの15分弱だった。

午後組のかなり後の方(くじ引きで順番が決められた)だったので、何度も何度も同じことを繰り返さないといけない試験官も大変だろうなとむしろ同情。
受験の説明や誘導などしていただいた総務課の職員さんにも、司法書士試験業界のお祭りのために一日、いやおそらく何やかやの準備や片付けで何日か潰れただろうから、お手数かけましたの意味を込めてありがとうございましたと挨拶しておきました。

繰り返しになるけれど、当日、遅刻だけは絶対しないように。口述試験の受験票も、持参しなかった場合に筆記試験の時のような救済措置があるかどうかは不明なので必ず持って行くべきかと。

遅れたら「受験することができません」


私はかなり余裕あるつもりで動いていたけれど、移動手段の関係で履き替え用の靴を入れる黒いバッグを途中の百均で買おうと呑気に考えてたら思ったより長い距離を歩く羽目になり、さらに方向音痴も手伝って大いに焦ることに。
試験日は天気が良かったから幸いだったものの、当日どんな天候かわかりませんのでその辺りもご留意を。

靴もカバンも、自分が受験した会場ではスーツに合わせて皆さん色は黒でだいたい統一していたけれど、Xを見ると普段着?で行った人さえ居たようなので、別に小物なんかフォーマル武装でなくても全然問題なさそう。
ただ、いろんな人が言ってるけれど、余程豪胆な性格じゃない限りは無難にそれっぽい格好して行く方が何よりご自身が精神的に楽でしょうね。


動く歩道式に…

自分からほんの少しアクションを起こすと、あれよあれよという間に足元が自動的に動き出し、動く歩道のように勝手に周囲の景色が変わっていくというのが、筆記合格以降の体感だ。

口述試験当日、青年司法書士会のフォーラムに行くことにしており、前泊した理由の一つもそれだった。
フォーラムの開催自体も、Xでの告知で知ったのでやはりSNSでの情報収集は欠かせない。

時期はそれぞれ違うが全国各ブロックで開催されるこのフォーラムは、四国会場では朝から開場されていたので、試験が午後組だった私は朝イチで少し顔を出した。

口述試験前夜に下見したフォーラム会場周辺


そこでお目にかかった若手の(と言っても既にバリバリ実務をされてる)先生方から、こちらの地元で開業されている先生へ繋いでくださり、いつの間にか近日中に開かれる勉強会に図々しくも参加させていただけることになっていた。
対面での会合などがコロナ禍以前に近い形で開催されるようになった今のタイミングでの合格で良かったと思える出来事の一つだ。

また、昨年の高松受験組の合格者の方とも知り合うことができた。フォーラム後もやり取りさせていただき、全体像が何だかよくわからなかった新人研修について詳しくおしえてもらえたし、新型コロナの期間を除けば合格証書の授与式なるものが例年開かれていることも知ることができた(地域にもよるかも知れず、当地でも今年どうなるかは不明)。

そんなふうに、新しい世界への扉が確実に開き始めているようで、これまでの道のりがようやく報われつつあるという喜びを、毎日少しずつ、ご褒美のように味わっている。
9月に県外から遊びに来てくれた受験生仲間(お互い無事に筆記合格)と会った時もだったが、司法書士試験について話せる、あの苦労をわかってくれる人と直接話せる機会があるというだけで、山奥の隠れ湯に身を浸すが如く、古い傷が癒やされていく思いだ。


しかし同時に、受験生だった時の記憶を自分でも驚くほど急速に忘れつつある。ゾンビに噛まれた人が、人間だった記憶をみるみるうちに忘れていくように。

勉強する習慣を再構築しなければならない。ひとまず、認定考査対策と来月参加させてもらえる勉強会にも備えるため「道」の入門編を少しずつ読んではいる。

そうなのだ。来年を目指して走り出している受験生たちに負けてはいけない。
この戦い、自分との戦いはこれからも一生続くのだ。


と、ここまで書いたあたりでやっと開示請求ラブレターへの返歌が届いたので、次回はその内容と、これまでお世話になった方々へのお礼で筆記試験の総まとめとします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?