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第1部

22
第1回~22回
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2021年8月の記事一覧

【9】美人を決めるのは文化か本能か(前編)

美は文化に左右される? 人は誰もが異性(同性の場合もある)の顔や体形に対して、自分なりの好みを持っている。よく「見た目の好みは人それぞれ」とは言われるものの、世の中には人気のある容姿と人気のない容姿があることは誰にも否定できないだろう。もし容姿の好みが人によって完全にランダムであるのなら、モデルやアイドルといった職業は成立していないはずである。    こうした人気の偏りは文化によるものなのだろうか、それとも生き物としての生まれつきの感性によるものなのだろうか。進化心理学では(

【10】美人を決めるのは文化か本能か(後編)

なかなか反例が見当たらない〔前回の続き〕   たしかに世界中どこの国でも、役者やモデルなど、それぞれの人種や民族ごとの美しさ・格好良さを代表している人たちの顔は、輪郭も、目や鼻や口の形・大きさや位置関係も、だいたいその集団内での平均的な範囲におさまっているように思える(各パーツが大き過ぎず小さ過ぎず、位置が離れ過ぎず近過ぎずというように)。その上で完全な平均値からはわずかに外れていることが、彼らの顔に個性をもたらしているように思える。 以下のサイトを見ていただきたい。  

【11】進化心理学で考える性差(3)男が惹かれる女とは(前編)

意外性ゼロの結論 第7回以降中断していた「進化心理学で考える性差」シリーズの(3)である。この間、人類の進化史や美的感覚の普遍性についての記事をはさんだ。変な流れに見えるかもしれないが、これには一応構成上の理由がある。  今回から数回にわたって、男性と女性それぞれの配偶者選好の違いについて考えていきたいのだが、その前段階としてヒトが進化の過程で発達させてきたとされる審美感覚についての話が必要だと思ったのだ。  さて、今回の副題を見てモテ論の話だと思って読みにきた女性がいると