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追憶のなかで その2

人が人を好きになるのに時間は必要ない。それを愛だと勘違いするのも必然なのか。

彼女と付き合い始めて、自分の性格がわかったのですが、かなり独占欲が強いみたい。劣等感のせいで、他の男に取られそうって思ってしまうのです。その為、朝は彼女の家の近くまで迎えに行き、仕事帰りにバイト先に寄って終わるのを待つというのをしばらく続けました。

彼女が言うには、その時まで男性と付き合ったことがなく、弟がふたりいる長女なので、年上の男とどう話したら良いのかわからないと言っていました。彼女の友達何人かに会いましたが、結構な姉御肌でした。すでに彼女に目が眩んでいる私が、その光景をみて可愛いって思ってしまうのも無理はないですよね?

その後、そんなストーカーのような付き合い方をしながらも、断られるのが怖くて人にものが頼めないという私の性格故、手も握らずに2ヶ月程たつたころ、鎌倉にデートに行きました。生憎の雨でしたが、1つ傘の下で身体を密着させているのが妙にドキドキして嬉しかったのを覚えています。

鶴岡八幡宮から少し離れた辺りで、若い外人男性が、何か困っているような様子でキョロキョロと周りを見ていました。うっかり目が合ってしまいしょうがなく彼の前に行くと、びしょ濡れになりながら、鶴岡八幡宮に行く道を教えてくれと言っていました。私は中髙と横須賀なので、ある程度は聞き取れました。ちゃんと?英語で行き方を教えてあげられた様でした。彼女の私を見る目が変わったのも恐らくこの時でしょう。友達に話しまくったみたいですから。

彼女の通っていた学校は、ちょっと変わった女子高でいわゆる被服の専修学校でした。完全に女の園で、親兄弟でなければ男は入れない筈でしたが、その年の文化祭に招待されて、ファッションショー目当てに行ってみました。何故かすんなり入れたのですが、やはり男は私1人だけでした。開演まで時間があったので、喫茶の模擬店で、コーヒーを飲んでいたら、廊下側の窓が女の子の山になっていました。何か彼女は誇らしげにしていましたが、私はすごく恥ずかしかったです。

鎌倉の話しですが、たしか紫陽花が見たくて行ったはずですが、見た記憶がありません。横浜の元町とか、赤レンガ倉庫にも行ったのに、覚えているのはあの外人だけです。でもあれがあってから程無くして、彼女と進展があったので、頭の中で結び付いているのでしょう。

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