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2019/12/14 舞台「浅草六笑」観劇

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公演タイトル:「浅草六笑」
劇場:浅草 東洋館
劇団:ロクディム(6DIM+)
公演期間:12/14〜12/15
個人評価:★★★★★★★★☆☆

【総評】
実は即興劇は苦手であまり期待はしていなかったのだが、物凄く面白かった、良かった。老若男女みんなが笑って過ごせる90分間だった。
やはり特徴は、ペーパーズにお題に対する一言を書いて、それを用いながら即興劇を行っていく点だが、やっぱ偶然から出来るストーリーって観ている側もワクワクして良いものだなと思えた。また、最後に自分がペーパーズに書いた一言を小田篤史さんが読み上げてくれたことが良かった。
確かに時間は90分ぐらいの尺でちょうど良かったのだが、観客のエピソードやモノを使ったり、上手にあったお題をもっと使って欲しかった。1インプロがもっと短いと気持ちの切り替えができたり、さらに飽きずに見れたと思う。でもとても充実した90分間でまた観たいと思えた。

【鑑賞動機】
友人が以前ロクディムに所属する小田篤史さんと共演してご縁があり、友人が私を観劇に誘ってくれたので拝見することに。前情報を見ると、お笑いライブのような雰囲気に見えたので、かなり内輪な内容も多かったら初見にはちょっと流れに乗れない側面もあるのでないかと少し心配だったので、期待値は著名な劇団の芝居を観にいく時よりもやや低め。

【ストーリー・内容】
予め決まっていることは、最初に乾杯をすることだけ。あとは全部インプロ(即興劇)でライブは進行していく。

公演が始まる前に、観客にペーパーズと呼ばれる紙が配られ、お題に沿って自分が思う一言を書き記し、キャストへ渡す。キャストはその紙を回収して公演が始まったら舞台上にばら撒き、即興劇を行いながらペーパーズをランダムに読み上げて台詞の一部とするという特殊な演劇構成だった。

公演内容は、客席の方にインプロのテーマ設定をしてもらって(今回はスーパーのバイトだった)即興劇を行ったり、予めネットで募集をかけていた「〇〇(キャストの名前)の△△」というお題で集まったものの中から一つ選んで(今回は「名古屋淳の助っ人」というお題)それを演じてもらう企画や、客席の方のエピソード(今回はアメリカで芝居をして陰口のように外国人に罵られた話)から着想を得て即興劇をしたり、客席の方の所有物(今回はイナゴの甘露煮)から連想される即興劇を行った。最後には、キャスト6人全員がペーパーズを引いてその一言に沿って、しかも今までのインプロで得た話の伏線も上手く使いながらシーズンらしく、クリスマスで終わる。

キャスト陣の発想の幅広さと、対応力に関して本当に見事な作品だと思った。例えば、客席の方のエピソードで外国で日本人一人という言葉の壁を、周りに訳のわからない言葉を喋る人々を演じて言葉の壁を表すという置き換えがとても柔軟な発想で好きだった。
あとは、イナゴストーリーでイナゴが合体して人化する発想もとても好きだった。
また、ペーパーズの「ムチムチ」を間違えて「プニプニ」と言ってしまった時にちゃんとフォローするという対応力も、なかなか普段訓練していないと出来ない芸をやっていてとても凄さを感じれた。

【世界観・演出】
舞台は素舞台。軽い照明が天井に4〜5つほど、それと下手側にキーボードピアノ奏者が一人と、舞台美術に関してはほとんど無しと言って良い。

この公演の演出部分のポイントは、やはりペーパーズを使ったインプロと、それを上手く使ってストーリーを展開していくキャストの発想力の柔軟性と対応力に尽きる。これだけでここまで面白い公演が出来るというのが、演劇というものの無限の可能性を引き出していた。
また、名前を忘れてしまったが、キーボードピアノ奏者がすごくて、即興劇に対して即興でピアノ演奏を行ってくれる。しかもその曲調がシーンにとてもよく合っている。この方も、キャスト陣と同じくらいの発想力と柔軟性を持っていて凄いと思った。

受付でベビスターラーメンを配っていたり、飲食しながら観劇できるのも今作の特色で、家でテレビを見るようにライブでお笑いをみているような感覚がとても良かった。

【キャスト・キャラクター】
今回の公演に出演されたロクディム所属の6人皆素晴らしかったが、個人的には渡猛さんとりょーちんさんを推したい。

風貌としても目立つ2人だが、まず渡さんの演技力の幅の広さが際立っていたと思った。小学校の頃好きだった映画(タイトル忘れました)に登場する内気なキャラの真似をして会場を沸かせたり、どこの国の言語か分からない言葉を即興で喋って演じられたり、イナゴおばけを演じたり、本当に発想力もすごいのだがそれを実際に演じられちゃう凄さがあった。
りょーちんさんは、とても顔の表現力が凄いなと思っていて、ムチムチちゃんの顔とか、イナゴを取る少年の顔とか、本当に七変化するなという表現力の豊かさを感じられた。
あとは、カタヨセさんのロクディムメンバーの中では異色を放つキャラや、小田さんの落ち着いた安定感、名古屋さんの頭の良さ、宍戸さんの爽やかな感じみんなが一つになって仲良くやっている姿にとても感動した。

【舞台の深み】
この作品を通して自分が感じたことは、勿論前述したようにインプロは発想力、対応力(柔軟性)の勝負でもあるが、それをちゃんと観客に伝えられる演技力の高さも求められるんだなと思った。
癖のあるキャストだったら、こういうキャラクター設定は得意だけどこういう設定は苦手みたいなものが存在する。しかしそれでは、今回のような作品では活躍できない。
ある程度下積みを積んで自分の殻をいつでもどのようにでも破れるようになって初めて出来る芝居だなと思った。

【印象に残ったシーン】
人間をオーブン(レンジ?)に入れてしまうシーン、イナゴが合体して人型になるシーン、それとムチムチちゃんの元へサンタがやってくるシーン。

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