演劇関係者へのアンケート集計結果_後編
こんにちはYu_Seと申します。
さて、演劇関係者へのアンケート集計結果の後編です。私がなぜ演劇関係者へアンケートを取っているのかについては、「演劇関係者へのアンケート集計結果_前編」をご覧下さい。
一応ここでも軽く説明をしますと、コロナの自粛期間中に演劇に特化したWebアプリ開発を進めていこうと思っており、その際になるべく演劇活動をされている方の意見を反映したいため、アンケートを行うに至りました。
アンケートの対象期間や、対象者に関する情報については「演劇関係者へのアンケート集計結果_前編」に記載しています。
【2-0】「演劇をする」に関するアンケートについて
ここからは、「演劇をする」に関するアンケートについて集計した結果をお見せします。
アンケート項目は、以下の12項目です。
・演劇経験年数
・演劇参加時の立場
・演劇に参加する頻度
・参加したい舞台ジャンル
・演劇に参加する決め手
・演劇参加情報の入手方法
・知っている募集情報サイト
・利用している募集情報サイト
・演劇参加時の困りごと・悩みごと
・公演・ワークショップメンバーの募集方法
・稽古場・本番を行う劇場の探し方
・演劇企画・ファシリテート時の困りごと・悩みごと
「演劇を見る」に関するアンケートでアンケート対象者は72人いましたが、「演劇をする」に関するアンケートで、「演劇に参加する」と回答した人数はそのうちの33人だったので、そちらを本アンケートの母集団としています。
ただし、アンケートの冒頭で「演劇に参加しない」と回答した人の中にも、「演劇をする」に関するアンケート項目に回答している人が一部いたので、必ずしも100%の人数が33人にはなっていません。
【2-1】演劇経験年数
まずはアンケート対象者の演劇経験年数について見ていきます。
ご覧の通り最も多いのは、5〜10年の13人で全体の1/3以上を占めています。前編のアンケート対象者の年代分布が20代で最も多かったことから、高校・大学の部活動で演劇を始めて社会人になっても演劇活動を続けている人が多いことを示していると思います。
【2-2】演劇参加時の立場
次に演劇参加時の立場について見ていきます。
まず、「役者」と回答した人が35人とこの質問に回答した人全員が答えています。アンケート対象となった演劇コミュニティに所属している方は普段役者をされている方ばかりなので当然ですよね。
次に多かったのが、「音響・照明以外のスタッフ」と回答した人が14人と全体の40%を占めています。ここでいう「音響・照明以外のスタッフ」とは、受付業務などを行う制作スタッフや、舞台上の大道具を作るスタッフ、役者の衣装を用意するスタッフなどです。
特に制作スタッフは、存在しないとそもそも公演を企画出来ない必須のスタッフなので経験者は多いのかもしれません。
それに続いて、「演出家」が11人、「脚本家」が10人、「舞台監督」が9人と全体の25%〜30%を占めています。
演劇を企画する側の方も意外と多かったという印象です。
【2-3】演劇に参加する頻度
次に演劇に参加する頻度について見ていきます。ここでは、1公演参加することを1回と計上して集計しています。
最も多いのが「年に1回程度」演劇に参加する人で11人と全体の1/3程度を占めています。働きながら演劇活動を続けるのはなかなか時間も取れず難しいので、年に1回程度が妥当なのかもしれません。
次に多かったのが、「半年に1回程度」演劇に参加するで10人と全体の約30% 、その次に「数ヶ月に1回程度」演劇に参加するで8人と全体の約1/4程度でした。
つまり、演劇に参加する人のほとんどが数ヶ月のに1回から1年に1回程度の頻度で、それ以上多い頻度で演劇活動をしている人は少ないようです。
【2-4】参加したい舞台ジャンル
次に参加したい舞台ジャンルについて見ていきます。
最も多かったのが、「現代劇」と回答した人で21人と全体の60%以上を占めています。次に多かったのが「コメディ」と回答した人で19人と全体の約55%、次が「会話劇」と回答した人で16人と全体の半数弱でした。これは、前編の演劇を見るの視点での「好きな舞台ジャンル」の順位とあまり変わりませんでした。
現代劇、コメディ、会話劇、どれも観たいというニーズも参加したいというニーズも高いのでしょう。
その後に続くのが、「即興劇(インプロ)」「不条理劇」「アングラ劇」で12〜13人と全体の1/3以上の人が回答していました。
前編の「演劇を見る」に関するアンケートでの「好きな舞台ジャンル」では、この上位にミュージカル系が入ってきましたが、参加する側の視点に立つとミュージカルを差し置いて「不条理劇」「アングラ劇」といったジャンルに出演したいという人の方が多い結果でした。
これは私の推測ですが、ミュージカルに出演することに対するハードルが高いことが上げられるのではないかと思っています。ミュージカルに出演するためには、歌って踊れて演技が出来ないといけない訳で、それらを全て熟せる役者って数少ないと思っています。だからこそミュージカル俳優・女優って、物凄く重宝されるのでしょうね。
また、「不条理劇」「アングラ劇」が演劇に参加するで高かった理由でみていくと、日頃の日常生活で感じている理不尽さや苦しさを「不条理劇」や「アングラ劇」で表現したいというニーズもあるのかもしれません。
グラフの結果に戻りますが、「特にこだわりはない」と回答した方も少数ながら5人いました。ジャンルにこだわらず演劇に参加したいと思う人もいるようです。
【2-5】演劇に参加する決め手
次に演劇に参加する決め手について見ていきます。
演劇に参加する決め手で最も多かったのが、「演出家・主催者」で24人と全体の3/4近くの人が回答していました。
役者として演劇に参加する場合、自分がどういった演出を受けたいのか、演出家との相性といった部分はかなり気にするといった印象です。自分がどんな演出を受けるのかによって、役者が積める経験値も変わってくると思うし、学べるスキルも変わってくることでしょう。
次に多かったのが「劇団」で20人と全体の約60%ほど、次に多かったのが「脚本・内容」で18人と全体の半数以上が回答していました。
一方で、「舞台のジャンル」は15人と全体の半数弱とそれほど多くはありませんでした。
また、少数ですが「社会貢献」を決め手として演劇に参加する人もいました。
演劇参加の決め手としては、舞台ジャンルというよりも自分がどういった演出が受けられるか、経験が積めるかといった観点で演出家や主催者が重要であるといえるでしょう。
【2-6】演劇参加情報の入手方法
次に、演劇に参加する際にどこで情報収集をしているのかについてアンケートを取りました。
最も多かったのが「Twitter」で25人と全体の3/4程度の人が回答していました。「演劇を見る」に関するアンケートでも公演情報の入手方法で「Twitter」が最も多く回答されていました。
そして、次に続くのが「劇団員・出演者の紹介」で20人と全体の約60%、次が「知人の紹介」で17人と全体の半数以上、次に「折り込みチラシ」で12人と全体の1/3以上と続きます。
この順序に関しても、「演劇を見る」に関するアンケートでの公演情報の入手方法と同様で、「Twitter」以外はアナログ媒体の入手方法が上位を占めているということです。
やっと5番目に「団体HP」が11人と全体の1/3程度を占めたWeb媒体の入手方法が入ってきますが、「Webサイト」に関しては6人と全体の20%以下しか回答していませんでした。
演劇を見る際の公演情報の入手方法と同様に、演劇参加情報の入手方法に関してもアナログ媒体の入手方法が主流で、Webサイトがほとんど活用されていないことがいえます。
また、「Twitter」は自分がフォローした団体や知り合いの情報しか入ってこないので、自分の知らない団体や演出家が役者の募集を行っていて、仮にその内容が凄く自分に合った条件だったとしても情報として入ってこないといえます。
【2-7】知っている募集情報サイト
演劇参加情報の入手方法では、Web活用があまりなされていないことが分かりましたが、もちろん役者の募集を行うWebサイトはいくつか存在します。
それらがどのくらい認知されているのかを見ていきましょう。
最も知っている人が多かった募集情報サイトは、「CoRich舞台芸術! 掲示板」で17人と全体の85%の人が知っていると回答しています。
それ以外の募集情報サイトはあまり知られておらず、「CoRich舞台芸術! 掲示板」の次に知っている人の人数が多かった「劇団員になろうよ!」でさえ5人と全体の1/4程度の人にしか認知されていませんでした。
つまり、募集情報サイトで知られているのは「CoRich舞台芸術! 掲示板」くらいで、他のWebサイトに関してはそもそも認知すらされていないという現状でした。
【2-8】利用している募集情報サイト
次に各募集情報サイトに対して、利用人数はどのくらいかを見ていきましょう。
こちらも最も人数が多かった募集情報サイトは「CoRich舞台芸術! 掲示板」で8人と全体の2/3でした。
それ以外の募集情報サイトに関しても順位は変わらない上、2位の「劇団員になろうよ!」ですら僅か3人しか利用経験がありませんでした。
これらの結果から一目瞭然なように、役者の募集を取り扱う情報サイトは「CoRich舞台芸術! 掲示板」以外は知られていないサイトがほとんどで利用されていないことが分かりました。
【2-9】演劇参加時の困りごと・悩みごと
次に演劇に参加する上での、役者たちの困りごと・悩みごとについて見ていきます。
こちらの困りごと・悩みごとの項目も、あらかじめこちら側で設定して当てはまる場合に回答者にチェックを入れてもらう方式を取りました。
困りごと・悩みごとで最も回答者が多かったのは同立で3項目あり、「スケジュールが合わない」「参加してみたいと思う舞台・ワークショップを探しにくい」「知らない団体の演劇に参加するハードルが高い」で18人と全体の半数以上の人が回答していました。
「スケジュールが合わない」は、とてもイメージは湧くのですが解決するのは非常に難しい問題です。社会人をしながら演劇活動をしている人が多いので、どうしても日程が合わないものですし、演劇は全員が揃わないと成り立たないものでもあるのでスケジュール調整は非常に重要になってきます。
しかし、「参加してみたいと思う舞台・ワークショップを探しにくい」「知らない団体の演劇に参加するハードルが高い」に関しては、Webアプリで上手く解決できる可能性があるのではないかと思っています。
これも、観劇時の困りごと・悩みごとで「今まで観たことない団体の公演を観劇するハードルが高い」「自分の好みに合う公演情報を獲得しにくい」という項目が上位にあったのと同様の問題だと思っていて、演劇Webサイトをもっと演劇活動に特化して充実させたものにすれば、「この団体の元で演劇が出来たら楽しそうだな」とか「あなたにオススメの募集情報はこちら」とか、もっと自分の出演したい・出演できそうな募集情報に出会いやすくなるんじゃないかと思います。
決して順位は高くありませんが、意外と回答者が多かったという印象を受けた項目があります。それは、「ファシリテータの評価が分からない」という困りごとで9人と約30%近くの人が回答していました。
確かに、演劇に参加する決め手で最も多かったのは「演出家・主催者」なわけで、彼らの過去の評価が分からなかったら参加しにくのは頷けます。
ここも解決できる余地があると私は思っています。たとえば、過去のオーディションやワークショップに関する評価・レビューが演出家・主催者単位で遡れるようなアプリを作ることができたら、今度その主催者の元でワークショップを申し込もうか悩んでいる人の判断材料になると思っています。是非この問題は少しでも解決できるように取り組んでいきたいです。
【2-10】公演・ワークショップメンバーの募集方法
ここからは、演出家・舞台監督・ファシリテータの人に質問した項目です。
まず公演やワークショップメンバーの募集方法ですが、基本的には自分で告知する人がほとんどでした。Webサイトを利用することはほとんどないというのが回答でした。
【2-11】稽古場・本番を行う劇場の探し方
稽古場の探し方に関しては、コミュニティセンター・公民館を利用する人が圧倒的に多かったです。理由は、スタジオを借りて稽古するとなるとどうしても割高になってしまうので、なるべく安く利用できる地域の公民館を選ぶのだそうです。
ただし、地域の公民館となるとその地区の住民でないといけなかったりと色々制限があるそうなので、利用する時には注意が必要とのこと。
次に本番を行う劇場の探し方ですが、「劇場に問い合わせる」や「会場の予約システムで確保する」場合が多いそうですが、演劇祭など企画側が数々の団体を取りまとめて劇場を確保する場合もあるので一概には言えないようです。
【2-12】演劇企画・ファシリテート時の困りごと・悩みごと
次に、演劇企画・ファシリテート時の困りごと・悩みごとについて見ていきます。
最も多い困りごとが「人員を確保出来ない」で11人と全体の80%以上、次に「時間を確保することが難しい」で9人と全体の70%近く、次に「十分な集客を確保できない」で8人と60%以上の人が回答しています。これだけでも演劇企画の難しさ・大変さがよく伝わってきます。
人員をスムーズに確保できたり、十分に集客を確保できるようにするためには、もっともっと演劇企画に関する情報を多くの人に発信することからといった所でしょうか?
6番目に「新規顧客が確保できない」という困りごと、7番目に「口コミが広がっていかない、知り合いが大半を占める」といった困りごとがあることから、やはり演劇企画の情報の発信の仕方には課題はあると思うので、そこに関してより良いシステムが作れたら幸いだと思っています。
【3-0】普段の仕事と演劇に関するアンケートについて
次に普段の仕事と演劇に関するアンケートについて集計した結果を見ていきます。
アンケート項目は、以下の3項目です。
・「仕事:演劇」の時間配分
・演劇活動が仕事に活きたことがあるか?
・演劇と仕事の両立についてどう思うか?
【3-1】「仕事:演劇」の時間配分
まずは、普段仕事をしながら演劇活動をしている方から「仕事:演劇」の時間配分がどれくらいであるかを集計したので、そちらの結果を見ていきます。
グラフの見方としては、左側のパーセンテージが仕事の時間配分、右側のパーセンテージが演劇活動の時間配分を意味します。
最も多いのは「仕事:演劇 = 90%:10%」の、ほとんどを仕事に時間を費やしている人で、9人と全体の30%近くを占めています。
週5勤務で定職に就いていらっしゃる方が多いと思うので、演劇活動にそこまで時間を割けない方が多いのだと思います。
次に多いのが「仕事:演劇 = 75%:25%」と「仕事:演劇 = 60%:40%」で、どちらも仕事の比率の方が高いことからも、どうしても仕事の方に時間を取られてしまう人が多いことがいえます。
【3-2】演劇活動が仕事に活きたことがあるか?
次に演劇活動が仕事に活きたことがあるか?という質問に対して、「活きたことがある」と「活きたことがない」の2択で回答して頂きました。
こちらはなんと「活きたことがある」と回答した人が27人と全体の90%を占めることが分かりました。ほとんどの人が演劇活動が仕事に活きたと実感しているようです。
続いて「活きたことがある」と回答した人に対してその理由を聞いたところ、「企画のファシリテーション、対人スキルの向上」「発表の際などに褒められるようになった」「接客スキル」「プレゼンテーション」といったコミュニケーションスキルの向上があったと答えた人が多かったです。
それ以外では、「表情が豊かになる」といった表現力が豊かになった点を挙げている人や、「人の繋がりが生まれた」「職場以外での交流の機会の確保」といった新たなコミュニティを作ることができた点を挙げている人も何人かいらっしゃいました。
演劇は教育現場で使われたり、臨床心理学における治療法や認知症の治療法としても使われるくらい人間の心・感情に非常に良い効果をもたらすものです。
そしてこれだけ多くの人が演劇が仕事に活きたと実感しているので、演劇をすることのメリットは計り知れないと思っています。
もっともっと演劇をすることの魅力を発信していって、多くの人が演劇に身近に触れられる環境作りをして行けたらと思っています。
【3-3】演劇と仕事の両立についてどう思うか?
今度は、演劇と仕事の両立についてどう思うか?という質問に対して、「厳しい」「普通」「容易い」の3択で回答して頂きました。
最も多かったのが演劇と仕事の両立について「厳しい」と回答した人で14人と全体の半数近くを占めています。
また、演劇と仕事の両立について「容易い」と回答した人はたったの3人で全体の10%でした。
やはり、仕事をしながら演劇活動を続けている方の多くは、両立に関して簡単なことではないと捉えているようです。
続いて「厳しい」と回答した人に対してその理由を聞いたところ、「ツアー作品、ロングラン作品に出演する上ではスケジュール管理が難しい」「時間の確保が大変」といったスケジュール的な難しさを挙げる人や、「演劇活動の場が生活圏外」「勤務先から演劇ができる場所までが遠い」といった活動場所の問題を指摘する人、「あまり体が強い方ではないため」「自分の体力や気力が少ない場合の両立は厳しい」といった体力に関する問題を挙げる人が多かったです。
また「普通」「容易い」と回答した人に対してその理由を聞いたところ、「演劇に関わる仕事をしていて、仕事と演劇を分けて考えることがあまり無いため」といったように演劇関係の仕事をしていたり、「やりたいペースでやれているから」といった仕事と演劇のバランスが取れている人や、「職場に理解があるため」といった周りからの理解を得られている人が多かったです。
ご覧の通り、演劇と仕事の両立に関してはなかなか厳しい印象を持っている人が多いという結果でした。理由はそれぞれですが、この問題を解決していくことは非常に難しい印象を受けます。仕事環境は転職しない限り簡単に変わるものではないので。
ただ、活動場所が遠いから両立が厳しいと回答した人は、今こそzoomなどのオンラインを使って体を動かしたり発生練習をするのもアリかもしれません。オンラインで行えば場所の制限を受けずに演劇を楽しめるのではないかと思っています。
【4-0】新型コロナウイルスの影響に関するアンケートについて
次に新型コロナウイルスの影響に関するアンケートについて集計した結果を見ていきます。
コロナ禍によって世界中の大小様々なイベントが中止・延期となりました。演劇公演も例外なく影響を受けたので、それによって演劇活動者がどんな状況になっているのかをまとめています。
アンケート項目は、以下の3項目です。
・演劇活動は増えた?減った?
・収束後、演劇活動はどうなると思うか?
・収束後に向けて準備をしているか?
【4-1】演劇活動は増えた?減った?
まずは新型コロナウイルスの影響で演劇活動がどうなりましたか?という質問に対して「大幅に増えた」「増えた」「変化なし」「減った」「大幅に減った」の5択で回答して頂きました。
最も多かったのが「大幅に減った」で23人と全体の半数以上が回答していました。次に多かった「減った」の8人と合わせると全体の約80%を占めることになります。
コロナ禍によって自粛を余儀なくされた期間ですから、演劇活動が減ったと回答する人がほとんどである結果は当然と言えるでしょう。
一方で、演劇活動が増えた、大幅に増えたと回答した人も僅かにいるようです。その理由まではアンケートしなかったのでこの真相に関してはよく分かりませんが笑
【4-2】収束後、演劇活動はどうなると思うか?
次に、新型コロナウイルス収束後に演劇活動はどうなると考えていますか?という質問に対して、「再開出来そうである」「再開出来なそうである」「再開は不透明である」の3択で回答して頂きました。
最も多かったのが「再開は不透明である」で26人と全体の2/3程度を占めていました。
コロナ禍の中で、いつになったら外出できるようになるか分からない状況で演劇活動の再開は読めないという意見が大多数なようです。
一方で、残りの1/3は演劇活動が「再開出来そうである」と回答していました。
続いて「再開は不透明である」「再開出来そうである」と答えた人にそう答えた理由を聞きました。
まずは「再開は不透明である」と答えた人の理由は、「収束すら怪しいから」「今後どのような演劇活動を行えるかビジョンが見えず不安に感じているため」など、収束時期が分からず不安であるという理由が大多数を占めていました。
また、「現在オンライン演劇や過去作の配信などが無料で行われているのをよく目にするので、劇場に足を運ぶ人は減るのではないかと思ったため」といったコロナ禍による生活様式の変化に不安を抱く人もいらっしゃいました。
次に「再開できそうである」と答えた人の理由は、「演劇で生計を立てていた訳ではないので、自粛解除されればこれまで通り再開していける」や「収束後、順次他の経済活動が通常通り再開されていくと予想し、その際演劇活動のみが再開できない理由が思いつかないため」といった自粛が解除にさえ向かえば、演劇も必然的に再開出来るという希望的観測を持っているようでした。
このアンケートを取った時期が5月中旬で、まだ自粛期間が明けていないタイミングだったのでいつ演劇活動が再開出来るか分からない状態でしたが、この記事を執筆している6月中旬では徐々に演劇活動も再開に向かいつつあるので、ひとまず演劇がずっと出来なくなることは避けられたと思っています。
しかし、コロナ禍以前と同じように集客を集められるのかといった問題は残されると思います。客席を空ける、まだ外出が怖いから不要不急の外出を避ける人は多いと思うので、集客面の問題とどう向き合っていくかは課題となるように感じます。
【4-3】収束後に向けて準備をしているか?
最後に、新型コロナウイルス収束後に演劇活動を再開出来るように何か準備をしていますか?という質問に対して、「準備をしている」と「準備をしていない」の2択で回答して頂きました。
多かったのは「準備をしている」の方で20人と全体の60%近くがそう回答していました。
残り40% の人は「準備をしていない」と回答していました。
次に「準備をしている」と答えた人に具体的にどのような準備をしているか聞きました。
「時間があるうちに企画を煮詰める」「収束に合わせた企画を立案中」「公演企画の準備」といった、自粛解除後の演劇活動再開時の準備をしている人が最も多かったです。
また、「メンバーとのオンラインでの交流」「オンラインでのミーティングや読み合わせ」といったオンラインを使った演劇活動を行っている人も多かったです。zoomなどを使って遠くにいるメンバーとやり取りが出来るので
台本の読み合わせなども出来て非常に便利な世の中になりましたからね。
さらに、「脚本の執筆」や「基礎練や作品鑑賞」といった、何か明確な企画や目的はないけれど、今後の演劇活動のための準備ということで活動を進めている人もいるようでした。
これは個人的な感想ですが、思った以上に自粛期間も演劇活動再開に向けて準備をしている人が多かったという印象です。コロナ禍による自粛期間で先行き不透明な状況でも、今出来ることを探して演劇活動を行ったり、自粛解除後の演劇活動について企画したりと非常に前向きな方が多かったと思いました。
それだけ演劇活動者にとって、演劇というものはその人の生きがいになっているのかもしれません。
アンケート結果全体のまとめ
アンケート集計結果は以上となりますが、読者のみなさんいかがだったでしょうか?特に演劇をするに関するアンケートというのは、Web上にもほとんど存在しなかったので、個人的には貴重な記事が書けたのではないかと思っています。
前編のアンケート結果も踏まえて、アンケート結果全体について振り返ってみます。
個人的には演劇活動には魅力が沢山あって、演劇活動をする方たちは前向きに頑張り続けていることを感じました。
「演劇活動が仕事に活きたことがあるか?」という質問に対して、90%の人が仕事に活きたことがあると回答していたことがそれを証明しています。コミュニケーションスキルを向上させてくれたり、表現力を豊かにしてくれたり、そして社外のコミュニティを形成できる上で多くのメリットがあると答えていました。
しかし一方で、演劇活動が全般的にアナログに寄り過ぎていてデジタル化に乗り遅れている感じが否めませんでした。
公演情報や演劇参加情報の入手方法の多くは、Twitterを除いてほとんどが知人の紹介やDM、折込チラシといったアナログ媒体が主流でした。Twitterも自分がフォローしている団体や役者の情報しか入って来ないので、どうしても自分が今まで知らなかった団体や役者の情報が入ってきません。その結果、演劇を企画しても口コミは広がっていかず新規顧客の獲得が難しい状況となっています。
また、公演情報にしろ演劇参加情報にしろWebサイトの利用者が多くない結果、演劇Webマガジンに関して全く知らない人が多かったり、演劇業界の情報がそもそも出回っていない状態となっています。
その結果、いざ知り合いの伝手(つて)以外で観劇したり演劇に参加するとなるとどう情報を探したら良いか分からず、自分の好みに合う公演情報(もしくは参加してみたい舞台・ワークショッップ)を探しにくかったり、観劇・参加することに高いハードルを感じてしまったりするのだと思います。
そんななんとも虚しい演劇業界の状況が如実に現れた結果となってしまいましたが、逆に演劇業界には(大袈裟にいうと)変革を起こせるチャンスは十分残されていると強く思っています。
理由は、現在の演劇業界にはWebの利活用が進んでいないという大きな伸びしろがあるからです。これがWebを駆使してこの結果でしたというのなら絶望的ですが、演劇のプラットフォームをしっかり作って、そこに情報を集めていくようにすれば演劇活動のしやすさは飛躍的に伸びるのではないかと感じています。
今回のアンケート結果を通して、演劇のプラットフォームはやはり必要だと改めて強く感じました。そしてそれは決して実現不可能なことではないと感じています(というか実現可能な構想を抱いています)。プラットフォームがあれば、探したい公演情報や演劇参加情報が見つかる、それによって演劇企画側も口コミが広がって新規顧客が増えてウィンウィンになる。そんな明るい未来を作ることは不可能ではないと感じています。
そのため私は引き続き、演劇Webアプリの開発に取り組んでいこうと思います。先述したように、演劇を観ることやることにはとても人間活動にとって良い効果がありますし、それがもっと手軽に経験できるような社会の実現に向けて動き出そうと思います。
そして次回は、ユーザーの好みに合わせて公演情報を提示できる仕組みを作ることが出来るのかについて実験を行った結果をnoteで共有しようと思っています。
そちらの結果まで今しばらくお待ちください!
それでは、ここまで記事をお読み頂きありがとうございました。
P.S.
アンケートにご協力頂いた72人の皆様、今回はアンケートにご回答頂き誠にありがとうございました。お陰様で、前編・後編の2部に渡る充実したアンケート結果記事を書くことが出来ました。
これからも演劇Webアプリ開発へ精進して参りますので引き続きよろしくお願いいたします。
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