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2019/10/25 映画「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」鑑賞

映画タイトル:「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」
鑑賞方法:Netflix
監督:押井守
個人評価:★★★★★★★★★☆

神山監督のSACシリーズを見終わった後もう一度見直してみたが、新発見が沢山あって2回観た甲斐があったのと、やはりこの作品は不朽の名作だと改めて実感出来た。攻殻機動隊の世界観を熟知してから再鑑賞すると、光学迷彩や電脳といった概念に対する驚きよりも、より哲学的な「生命体の定義」や「アイデンティティとは何か」という問いに深入りして鑑賞できた。
また、公安9課と外務省の立ち位置も意識することが出来てより包括的に内容を掴めた気がした。



↓以下はネタバレを含むレビュー

【鑑賞動機】
SACシリーズを観終わった後に再度鑑賞することで、新しい発見や気づきがないか確かめたかった。

【世界観】
電脳に繋がった時のあのエフェクトのかかった声の演出が、CG技術の発達した現代では絶対表現しない一昔前のSF映画特有の雰囲気があって凄く好みであることを再認識した。光学迷彩の表現も同様でこの映画の魅力を際立たせてくれている。

【内容・ストーリー】
今回再認識したのは、SAC同様に国家機関が深く物語に関与していること、この辺は難しかったので初見時はあまり把握出来なかった。国家機関が秘密裏に世界中の情報を集積し人工知能を作ろうとしていたが、突如そこから意識が芽生える(ゴーストが宿る)ことで生命体らしきもの(人形使い)が誕生し、国家は手に負えなくなってしまった。近未来に現実世界で起こりそうな設定がよりこの物語の魅力を引き出している。
そしてかなり理解が進んだのはラストのシーン。最終的には人形使いと少佐は融合し、少佐は今までの少佐というアイデンティティに加え、人形使いのようにネットにダイブすることで世界中の情報を取り入れることができるようになった。物語中盤の少佐が海に潜るシーンでは、自分自身のアイデンティティの崩壊を危惧する台詞が多く恐怖を覚えていたが、ラストでは人形使いと融合したことで変容した自分のアイデンティティを受け入れ成長する過程を描いている点が面白い。

【キャスト・キャラクター】
2回鑑賞して初めて認識したが、荒巻課長がSACシリーズと比較して存在感が薄く感じた。外務省のナカムラが9課に赴くときに光学迷彩の2人が侵入していることに気づかなかったり。

【作品の深み】
やはり「生命体の定義」で深く考えさせられる点。今後新しい技術が発達していってサイボーグや人工知能が当たり前となった時代にとって、生命とは何か?、アイデンティティとは何か?という問いはますます重要になってくると思う。そんな時代を1990年代の段階で予見しているって凄い。

【印象深いシーン】
少佐が海に潜った後バトーと会話するシーン、中盤の民族っぽいサウンドが流れながら世界観を映し出す(マネキンが多い)シーン、そして人形使いと少佐が融合するシーン。

【総評・レビュー】
結論から言って2回鑑賞して良かった。そしてやっぱり SACシリーズより押井監督版の攻殻機動隊の方が好き。SACシリーズも奥が深く非常に哲学的なのだが、押井監督版の方が少佐や人形使いの台詞一言一言に物凄く深い意味があって、それを敢えてしっかり本編で解説されていない部分に魅力があるのだろうなと感じる。SACシリーズの方がドラマ性があるので、多くの人はSACの方が取っつきやすくファンが多いような気がするが、抽象論や哲学的な描写が好きな私は圧倒的に押井監督版を押す。

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