刺さることばは、「見えないつながり」と「くすぶり」から生まれる
先日(実は去年のイベントです)、下北沢にあるB&Bという本屋さんで、「うわのそらたち」という3人組のイベントが開催されるということで、今回コピーライターの阿部さんにお誘いいただいたので、いそいそと行ってきました。
▶ 木下龍也×阿部広太郎×石神慎吾「うわのそらたち"無名と有名の間"」
誘っていただいた理由は、前回、宣伝会議で阿部さんと作家の白岩さんが話した内容で心に残ったことをブログに書いたことがきっかけなようです。そのブログが こちら 。
今回も、例に漏れず今回話していた中で気になったところをメモを取っていたので、このイベントでぐっときたところをまとめてみたいと思います。
◎ アイデアを貯めておく貯蔵庫をつくる
短歌って、これまで学校の授業でしか習わなかったし、ましてや、周りに短歌を詠んでいる人がいないので全くと言っていいほど免疫がなかったのですが、木下さんの以下の短歌を見て、「こういう短歌いいなぁ」と思うようになりました。一言で言うと、短歌の見る目が変わったということ。
今回のイベントで、7つのテーマで「これまで詠んだ中でオススメな短歌」をピックアップしてもらいながら、その意図について他の2人が深掘りするという形式でやっていました。
SF・お笑い・アクション・ドラマ・ホラー・サスペンス・恋愛
自分が一番グッときたのは、これ。
あの虹を
無視したら撃て
あの虹に
立ち止まったら
撃つなゴジラを
最初、「?」が頭の上をふわふわしていたんですが、何回も見ながら、木下さんの説明を聞いたときに「!!」となりました。
意味合いとしては、「虹を美しいと思って立ち止まるのは、人間の特徴。だから、虹を無視したら人間ではないからゴジラは撃て。でも、虹に立ち止まったら人間だから、ゴジラ撃つな」という感じ(だったはず)。
この短歌の真意が分かった瞬間、ことばの使い方って本当にたくさんあるんだなーと実感しました。自分だったら最初にゴジラを持ってきてしまいそう。何だろ何だろって思わせて最後にゴジラを使うのは、もう長年の積み重ねが生むセンスなのかもしれません。「!」となったとき、謎解きができたみたいでうれしくなったので、短歌って、作者の謎解きゲームみたいだなと思いました。
31文字で、全ては伝え切れないから、必要最小限に文字を減らす。そして、自分が伝えようと意図した内容が伝わるギリギリのラインを探す。それって、普段自分がこんなふうにつらつら書いているブログやインタビュー記事ではできない、「捨ての極み」だなと感じました。
でも、そもそも捨てるにはたくさんの「もの」が必要。いいアイデアがパッと思いつくわかけでもないからこそ、木下さんは、常に思いついたことを書き留められるメモ帳を持ち歩き・書き留め、頭の地下倉庫にいつか使えそうなアイデアを貯蔵しているのだそうです。
これに似た話、菅俊一さんがどこかで書いていた or 話していたような…、と思って、菅俊一さんに関連する記事を探していたら、(自分が想像していたものは見つからなかったけど)こんな記事を見つけました。
▶ 「見えないつながりを発見する」、3331熱中教室(2015冬)に行ってきた
まず人生において、新しいアイデアを生み出すことは重要です。そうでないと、他人のアイデアにのっかって生きていくだけになってしまい、自分の人生のイニシアチブがとれなくなってしまうからです。それなのに、新しいアイデアを生み出すことって、何かしら才能がある人たちのやることだとか、才能が無いから自分にはできないとか言い訳してる人が多い。けど本当にそうなのか? 実は、新しいアイデアを生み出すことには才能なんか必要なくて、鍛えてのばしていくスキルなんじゃないかと思うんです。では、どうやって新しいアイデアを生み出すのか、それが『見えないつながりを発見する』ということです。
菅さんもかなりのメモ魔だった気がするんですが、木下さんが話していたこととリンクするところが多くて、どちらも「見えないつながり」を発見する能力が高いのかもしれません。ただ、これはすぐにつくセンスではないので、もっと日常に意識的になるしかないなと思いました。
(自分も、Day Oneというアプリを使って、気になった記事、街角で見つけたアイデアふと思い浮かんだメモを適当に書いています。iOSアプリもあるしMacアプリもあるしiCloudで同期できるので、場所を問わないところもオススメです)
◎ イベント参加者にやさしい配慮をする
よくあるイベントで、最後に参加者に質問を求めるあの時間。でも、なかなか手を挙げられずシーンとしてしまい、ちょっと気まずい雰囲気になってしまうことあるあるだと思うんですが、このイベントは、その悩ましい時間をなくすアイデアがすごくいいなと思ったので紹介します。このやり方、他のイベントでも絶対使えると思う。
それは、「事前にノートを用意し、1人1つ質問を書いてもらうこと」。イベントが始まると同時に、ノートを参加者に渡して1つずつ質問を書いてもらうんです。これのいいところは、ざくっと考えても5つはありそう。
・手を挙げなくてもいい
・同じような質問が減る
・登壇者が質問を選べる
・参加者分の質問が集まる
・登壇者への期待が分かる
最後に、もらった質問以外何かあるかを一応聞くことで、だいぶニーズをくみ取れるんじゃないか? と思いました。すごく参加者のことを考えていて、おもしろい取り組みです。
◎ 自分の「おもしろい」を信じて言葉にしてみる
これは阿部さんが話していたことですが(ちょっと違ったようなことを言っていたかもしれません)、自分はこの言葉を胸に、今年はブログをがんばってやってみようと思いました。
自分で言うのも何ですが、「おもしろいもの」を早くに見つけてくる嗅覚は多少するどいと思うのですが、いかんせん、それをそのままEvernoteに入れてお終いにすることが多いので、今年はどんどん発信したいと思っています。
理想は、阿部さんが不定期にやっている「#広告空論」のツイート。じぶんがなんでこれをおもしろいと思ったのかを言語化しているのがすごい。じぶんは感覚で生きているので、もう少し言葉で説明できるようになりたいと思っています。おもしろいを、言語化しようとしてみます。
▶ #広告空論
◎ いつまでもくすぶり続ける
最後の掛け合いで、「くすぶる」という言葉が何回も出ていて、「これでいいのだ」と傲慢にならないように、ずっと上を向いていろよという風に聞こえて、3人の関係性を少しだけ垣間見れたような気がしました。
以前株式会社リヴァにWantedlyの採用事例の取材に行ったんですが、そのときにも同じく「くすぶっている」という言葉を使う募集を出していて、この言葉いいなぁと思ったのを思い出しました。
▶ 社員数25名の会社が300名もの応募を集めた?募集の作成から活用秘話まで伺いました
メンバーで話し合ったところ、『くすぶっている』には何かもやもやしている火種があるはずで、その人の中にある燃えそうなくすぶりをポジティブに転換したいと考えている方を募集したいね、という結論が出ました。
沸々としているくすぶりは、次なる爆発を生むための燃料なのだ、と。そこまで意図して話していたのかは分かりませんが、いつまでもくすぶり続けていきたいなと思いました。
今回、ざざざっと取ったメモです。改めて見てみると、斜めに書くクセがあるなー。ちなみに、木下さん曰く、「コピーはジェダイ、短歌はダークサイド」らしいです。理由はぜひ考えてみてください。
あと、イベントに登壇した3人がつくった「うわのそらたち DIGITAL BOOK」は、下記リンクからすべて見ることができます。
3人の個性が溢れてて、思わず全部見ちゃいました。特に好きなのが、これ。
この短歌を見て、「短歌っておもしろいなー!」と思った。短歌に書いてある内容はよくある日常のことなのに、なんでこれまで気がつかなかったんだろう?
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