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クラウド型電子カルテ市場について


2010年以降に市場が形成

クラウド型電子カルテは、2010年に診療録の外部保存が解禁されたことを受けて市場が形成され、普及が進んでいます。クラウド型電子カルテのメインターゲットは一般診療所および中小規模病院となっており、当該施設での電子カルテの普及に貢献しています。

新規開業の診療所では、クラウド型の電子カルテ採用が過半数

一般診療所では、新規開業の診療所におけるクラウド型電子カルテの採用率が急速に拡大しています。弊社ライフサイエンスグループが2022年9月~12月に実施した、2020~2021年に新規開業した診療所(継承等は除く純粋な新規開業のみが対象です)へのアンケート調査では、クラウド型電子カルテを導入した施設は51.5%と過半数を占めています
2018年以降、クラウド型電子カルテの専業企業の市場参入や、従来オンプレミス型電子カルテを展開していた企業によるクラウド型電子カルテの販売開始が相次いでいます。電子カルテ主力企業の多くがクラウド型電子カルテをラインアップするようになったことが、背景のひとつと考えられます。

新規開業クリニックに関する法人アンケート調査を実施(2022年)より


中小規模病院に加えて、大病院や大学病院でのクラウド型電子カルテ普及の兆し

また、中小規模病院でも、経営状態が厳しい中でも医師や看護師等の人材確保の観点から電子カルテ化のニーズは高いです。院内にサーバーの設置が必要ないため人的負担が抑えられることも、クラウド型電子カルテを採用する背景のひとつとなっています。
近年では、大規模病院向けクラウド型電子カルテの上市や、大学病院におけるクラウド型電子カルテの採用も複数見られます。

クラウド型電子カルテの市場規模は93億7,900万円

このような状況の中、2022年度のクラウド型電子カルテ市場規模(一般病院向けおよび一般診療所向けの合計)は93億7,900万円と、電子カルテ全体の7.2%を占め、その割合は徐々に拡大しています。

医療情報システム(EMR・EHR)市場に関する調査を実施(2023年)より


クラウド型電子カルテは、医療ICTツールの側面も

なお、一般診療所向けのクラウド型電子カルテは、Web問診や診療予約、オンライン診療といった機能(オプション機能としての提供を含む)を搭載していることも多く、医療ICTのツールとしての側面も持ちます。クラウド型電子カルテの普及は、医療におけるICT導入を後押しするとも考えられます。

〈※以上の内容は、2023年6月~9月に渡って弊社が実施した調査(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3388)および2022年9月~12月に渡って弊社が実施した調査(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3169)を基に記載しました。内容は調査時点のものです。〉

☆弊社ウェブサイトでは、様々な市場調査結果のサマリーを公開しています、ぜひご覧ください!


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