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早川町の山村留学制度

 山梨県早川町では山村留学という制度があり、この制度に関して役場職員の立場で山村留学に携わってこられた望月一彦さんにお話を伺いました。お話しいただいた内容をもとに、早川町で取り組まれている山村留学制度の概要や利点、サポート内容について紹介していきます。(担当:萩原)

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制度の概要

 早川町の山村留学制度は、早川町の小学校中学校で子供を学ばせたいと考えている家族を受け入れる制度で、学校の生徒の人数が減っているため移住者を受け入れるという目的で平成13年に始まり、平成15年に初めての受け入れをしました。子供だけが留学するのではなく家族で留学する仕組みです。利用する方は必ず1年はいてもらって、その後は何年でもいることができます。
 山村留学制度の利用希望者は、電話・メールで問い合わせると、山村留学要綱等の書類が送付されます。山村留学を前向きに検討する場合は、書類に必要事項を記入して教育委員会に提出し、町を訪問する日程を決めます。後日、町内施設や様子の見学、教育長・教育課長、校長先生との面談、集落の皆さんとの交流等をして、最終確認をおこない、契約合意へと至るという流れとなっています。
 望月さんが携わっていた時は、上記の対応の他にも、山村留学者が集落や町になじむことができるように、集落住民への顔つなぎをおこなったり、契約締結後に転入学予定の学校や在校の保護者、居住予定の集落の区長に周知したりしたそうです。さらに、生活に関する支援もあり、例えば、引っ越し等の日程の調整や町営住宅の契約の付き添いをおこなったり、住宅契約後に町営住宅の不具合や生活についての相談を受けたりすることもありました。

支援

 早川町に移住すると、費用の面や住宅の面で支援を受けることができます。子育て支援における費用の面では、修学旅行やスキー教室、問題集などの義務教育費は無償、学校給食費も無料となっています。また、義務教育が終了するまで子供の医療費は町が全額補助するかたちをとっています。そして、町で山村留学専用住宅や空き家の紹介をするなどの住宅支援もおこなっています。
 山村留学希望者へのサポートは教育委員会や役場だけでなく、町全体で取り組んでいます。特に早川北小学校の保護者が立ち上げた「北っ子応援団」という団体は、見学者と昼食・お茶会・飲み会などを開催して不安を取り除いたりしていて、北っ子応援団あっての山村留学というくらい重要な存在となっています。

制度によって生まれる利点

 山村留学がもたらしている良い点について、望月さんに伺いました。
 まず望月さんが挙げたのは少人数教育の効果についてです。早川町の小学校・中学校での教育の特徴である少人数教育によって、子供達が積極的な姿勢になっていきます。また、学校でおこなわれる全校児童の前でのスピーチにおいて、来た当初は話せなかった子供が1・2週間経つと話せるように成長します。
 さらに学年関係なくみんなで遊んだり給食を食べたりするなどの異学年交流が生まれていることや、家族間での交流が増えたことで、距離感が近い関係が楽しいと感じる人が多くなりました。他の家族間や他者間の関係だけでなく、家族同士で過ごす時間も増えたという声も聞かれています。
 移り住みに来る立場の人にとって良い点があるだけでなく、受け入れる側にとっても良い点は存在するようです。望月さんが挙げたのは、まず、人数が増加するので活気が出て、より学校行事が盛り上がるということです。そして、毎年のように移住してくる子供を受け入れているゆえに受け入れる側の児童・生徒の対応力が上がっていて、突然新しい児童・生徒が来ても慌てることなく接することができるという点もポジティブな要素であるようです。また、良い効果は学校以外のところにももたらされているようで、山村留学でやってきた家族が集落の清掃活動などに一役も二役も買って出てくれていることで集落全体にも活気が出ている他、早川町内での働き手が増えたという効果も出ていると語ってくださいました。

おわりに

 今回お話を伺って、山村留学世帯に対して契約合意までの期間や契約合意以降も町で精力を傾けてサポートをおこなっているという点から、早川町の山村留学の強みは山村留学で来町してくる家族に対して町全体が寄り添って、子供達が十分に学校教育を受けられる環境を整えているところだと私は考えました。さらに、山村留学制度は移り住んでくる子供だけでなく、受け入れられる家族や受け入れる立場の子供達、集落の住民も成長できる取り組みだと思いました。

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山梨県立大学国際政策学部・箕浦ゼミ(環境社会学・地域社会学)のnoteです。ゼミ活動の報告を中心に投稿します。