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都市部の人から見た身延町移住の魅力とは何か

1.はじめに

 私たち箕浦ゼミでは2023年に身延町でフィールドワークを行い、4人の身延町への移住者の方へインタビューを行った。そこでお話を聞いた4人全員に共通していたのが都市部からの移住者であったということだ。4人のうち2人は横浜、もう2人は東京からの移住者であった。その他にも身延町へは都市部からの移住者が多いということが分かった。
 「都市部の人から見た身延町移住の魅力とは何か。」
 インタビューをさせていただいた4人の移住者の方のお話と、東京出身の私が身延町のフィールドワークで気づいたことをもとに考察していく。

2.田舎暮らしを求めて

 都市部出身の人が移住をする目的として多いのが「田舎暮らし」を求めてというものである。都会でのせわしない生活に疲れ、田舎でののんびりとした暮らしに憧れる人は多いと思われる。田舎暮らしの魅力としてよくあげられるのは「自然の豊かさ」と「人付き合いの多さ」である。
 フィールドワークやインタビューを行っていく中で、身延町はそのような田舎暮らしの魅力を持つ地域であるということが分かった。

2-1自然の豊かさ

 身延町はとても自然豊かな地域である。1000メートルを超える多くの山に囲まれ、中心には日本3大急流の一つである富士川が流れている。また、身延町にある本栖湖から見える富士山の景色は千円札のデザインに使用されている。自然豊かな身延町は漫画「ゆるキャン△」の舞台にもなっている。
 横浜から移住された方は、「通勤中に車から見える景色に心を洗われている」と語っていた。また、東京から移住された方も「自然豊かな環境に惹かれた」「緑が多く空気がキレイ」などと語っており、インタビューをさせていただいた移住者の方全員が身延町への移住のメリットとして自然の豊かさを挙げていた。
 実際に私もフィールドワークで身延町を訪れて自然の豊かさを感じることが出来た。山に囲まれ、川が流れ、住宅地には地域の名産品である「あけぼの大豆」などの畑が広がる。マンションやビルなど高い建物がないことで空が広く、さわやかな風を感じる。自然の豊かさに伴い、鳥のさえずり、虫の鳴き声、風の音などを聞くこともできる。人が多く、せわしない感じのする都市部に比べて、身延町ではゆっくりと時間が進んでいるような印象を受けた。

本栖湖から見える富士山

2-2人付き合い

 田舎暮らしの魅力として「人付き合いの多さ」もよくあげられるが、身延町も住民同士の交流がとても盛んである。私が身延町を訪れて一番驚いたことも、住民同士の交流の多さである。誰がどこに住んでいるのか、何の仕事をしているのかなどを詳しく知っており、住民同士の距離の近さを感じた。
 インタビューをさせていただいた方も「人のあたたかさ」というのを身延町移住のメリットとして挙げており、農業についての情報交換や、近所の人が野菜をくれたりという交流、移住者同士の交流会もあるという。横浜からの移住者の方は「農業の経験がなく不安だったが近所の人たちが教えてくれた」と語っており、東京からの移住者の方も「近所の人が気にかけて声をかけてくれる」「町内に友達がいなくて不安だったがあたたかい人が多かった」などと語っていた。このことからも身延町の人のあたたかさを感じることが出来た。
 12月に行ったフィールドワークでは身延町の西嶋地区で行われているイルミネーションを訪れた。このイルミネーションは地域の人たちの発案で始まったという。住民が協力して家の壁や庭を装飾し、住宅地の中でとてもきれいなイルミネーションを見ることが出来た。
 私の地元の東京では近所付き合いはほとんどなく、隣の人の顔は分かっても、年齢や何をしているのかまではよく知らない。都市部ではそのような人が多いと思う。そのため身延町の人たちの、顔見知りがとても多く、すれ違い様に挨拶や立ち話をする人の多さに驚かされた。人とのつながりや交流を大事にしたいという考えから田舎への移住を考える人も多くいると思うが、そのような人たちにとって身延町は魅力的な移住先だと考える。

身延町西嶋地区で行われているイルミネーション

3.もう1つの魅力

 これまで身延町には、田舎暮らしを希望する移住者が求める「自然の豊かさ」と「人付き合いの多さ」という2つの条件が満たされているということを述べてきたが、身延町にはそれに加えて、「都市部への移動のしやすさ」という魅力があり、これが身延町に都市部からの移住者が多い理由の1つとなっているのではないかと考える。
 身延町は甲府市から車で1時間かかることなく行くことが出来る。また、新宿駅までも車で2時間ほどで行くことができ、新宿駅行きのバスも身延町から出ているということも分かった。田舎へ移住する際の不安として交通の便が悪いということが考えられるが、身延町は比較的都市部から近く交通の便もさほど悪くないと感じる。実際にフィールドワークで身延町のあけぼの大豆の直売会にお手伝いとして参加させていただいた際も、東京や千葉、埼玉など県外からもとても多くのお客さんが来ていた。
 都市部に近いということで、都市部に実家があったり友達がいたりする人にとって、遠く離れた場所に移住するのに比べて不安が少ないということがあるのではないだろうか。また、移住前に身延町に足を運びやすいというメリットもあると考える。インタビューをさせていただいた方の中には、身延町での野菜の収穫体験に参加したことがきっかけで移住をしたという方もいた。移住する前に何度か足を運ぶことで地域の雰囲気が分かったり、住民との繋がりが出来ることで移住しやすくなるということもある。
 田舎暮らしをしてみたいが、都市部から遠く離れるということに不安を持つ人にとって都市部に比較的近い身延町は移住先として魅力的なのではないだろうか。

あけぼの大豆の収穫体験

4.まとめ

 この文章では都市部の人から見た身延町の魅力とはなにか考察してきた。私は身延町の「自然豊かさ」「人付き合いの多さ」「都市部への移動のしやすさ」の3点が、移住を考える都市部の人にとって魅力的なのではないかと考える。
 身延町では都市部で起こり得る満員電車や交通渋滞、騒音などによるストレスが少なく、豊かな自然の中で落ち着いて暮らすことが出来る。さらに都市部では人付き合いが少なく孤独に感じることもあるが、身延町では近所付き合いが多く、地域の人たちの温かい雰囲気を感じられる。このような自然の豊かさと人付き合いの多さという条件を持つ地域は多くあると思うが、都市部から比較的近いという特徴のある身延町は、都市部の移住希望者にとってより良い移住先となっているのではないだろうか。

(担当:飯沼)

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