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ジェンダー平等を、青森県の基本戦略に(一般質問から:下)

11月30日の一般質問では、「私なりのARE(青森レボリューション=青森大変革)」の提案の一つに、ジェンダー平等を提起しました。
壇上の質問に続き、再質問でさらに問う予定にして原稿を準備していたんですが、時間が足りずに質問できなかったので、その時、準備したもの再構成して紹介します。


人口減少とジェンダー平等の課題をどう認識しているのか?

ハッキリさせておきたかったことの一つは、人口減少の問題を考えるうえで、ジェンダー平等の課題を解決することが絶対に必要だ、ということです。

■「若い女性が、日本の地方からいなくなっている」
これは、豊岡市の前市長=中貝宗治さんの本を読んで痛感しました(なぜ豊岡は世界に注目されるのか – 集英社新書 (shueisha.co.jp))。
中貝さんは、豊岡市の人口動態のデータから、若者回復率(10代で流出した人口と20代に流入した人口の割合)が、男性より女性の方が低下しているという事実をふまえ、ジェンダーギャップ解消戦略を策定した、と書いています。男性より女性の方が地方から流出している、という事象は、豊岡市だけではなく全国でひろがっており、「若い女性たちは、スーッと日本の地方からいなくなっているのです」(中貝氏)。
青森では、20代でも人口流出が続いているのですが、その割合が、近年、女性の方が高くなっていることは、壇上で紹介しました。

■「職場の迷惑」を考えて出産できないだけではなく、出産したらしたで生じる「チャイルド・ペナルティ」
宮下知事が10月、こども未来県民会議の委員と対談した様子が報道されていて、その時に印象的だったのが、次の意見です。
「職場に迷惑をかけられないから出産をためらっている」
こどもを生みづらい社会の障害が目の前にあることを聞いた知事は、男女共同参画の課題を家庭内だけで閉じ込めていいとは思わなかったはずです。まさに、ジェンダー平等の課題は、社会全体に問われています。
他方、男女の賃金格差として広く指摘されているのが「チャイルド・ペナルティ」ということです。
こどもを産めば産んだで、賃金格差が生じ、これがペナルティのように錘になっている…。これも、社会が抱えている障害そのものです
これだけでも、男女共同参画を家庭内だけの課題にしちゃだめだと分かります。
 
■人口減少の課題に立ち向かうなら、ジェンダーギャップ解消を正面に据えるべき
さらに紹介すると。
実証経済学の立場からジェンダー格差を研究する牧野百恵氏は、人口減少の元凶として考えられるエビデンスは、「女性は家、男性は外」といったジェンダー規範だと指摘し、少子化に歯止めをかけるには、ジェンダー規範を真剣に考える必要がある、と強調しています(ジェンダー格差 -牧野百恵 著|新書|中央公論新社 (chuko.co.jp))。
 人口減少ということを考えると、出生率のこともそうだし、移出入ということを考えても、ジェンダー平等は大きな課題だという認識はありますか?(という質問をする予定でした)

新しくつくる基本計画に、「ジェンダー平等」の旗を高く

もう一つ再質問しておきたかったのは、新しくつくる基本計画に、ジェンダー平等を高く位置付けることです。

現行の案では、男女共同参画を家庭内におけるものとしかしていません。
答弁では、「男女共同参画の理念を十分に考慮した」と言っていましたし、それは否定しませんが、それでもなお、基本計画の理念部分にジェンダー平等を位置付ける必要があると思います。
それぐらい大事な課題だからです。
例えば今回の基本計画案には、「対話」は、「青森大変革」のための3つの基盤の一つに位置付けられています。しかし、その先の記述にはあまり出てきません。「『対話』の必要性を十分に考慮した」からだと思います。それは、基本計画案の最初にしっかり位置付けられているからわかるわけです。
一方、ジェンダー平等(「男女共同参画」と、今回は便宜上読み替える)は、そういう位置づけがありません。やはりこれでは不十分です。

青森県のジェンダーギャップ指数は、経済と教育は中位ですが、行政40位、政治43位となっています。(あなたの地域のジェンダー平等は?都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 (kyodonews.jp)
――県の管理職の男女比は0.076で全国最下位
――県審議会委員の男女比は0.452で全国41位
まさに、率先して自らの課題としてジェンダー平等を高く掲げることが求められている位置にあります。
だからこそ、ジェンダー平等の旗を高く掲げるべきです。
 21世紀に入って20年も経てつくる基本計画に、ジェンダー平等が高く掲げられていないのは問題だと思います。ジェンダー平等――男女共同参画ということでもいいですが、を基本計画案に位置づけるべきだと思います。あらためて見解をうかがいます。(と質問する予定でした)

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