マガジンのカバー画像

思考のアウトプット

49
日々思うことを文章にすることで、頭の中を整理しています。 アウトプットの練習といった感じです。 徒然なるままに書くことが多いので、読みづらい部分もあるかと思います。
運営しているクリエイター

記事一覧

『インターネットの敵」とは誰か?』

インターネットの敵」とは誰か? サイバー犯罪の40年史と倫理無きウェブの未来 テクノロジーの進化のスピードはとても速い。 インターネットが社会のインフラとして機能し始めるにはそれなりに時間を要したが、スマホの登場とその進化によって、それはかつてのテレビのように一般化した。 私の親の世代(団塊の世代)では、幼少期にテレビがあった家庭は少なかったようだ。 私が子供の頃、サブテレビとして白黒テレビがまだあったことを覚えている。 カラーテレビはお茶の間に一台で、チャンネルは回す

わたしを離さないで(小説)

ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの小説を読むのはこの『わたしを離さないで』が初めてでした。 同タイトルの映画があり、気になっていたのですが原作を読んでから観ようと思い、積本の中から引っ張り出し、朝の通勤電車内のお共にしました。 映画はまだ観ていませんので、小説の感想を書き留めておきたいと思います。 ノーベル賞作家というバイアスが無いとは言えませんが、とても含蓄のある、語りがいのある自分好みの作品でした。 この作品はネタバレはしない方がいいので、内容にはあまり触れないでおきま

戦争と病と不都合な真実

終戦(敗戦)記念日ということで一筆。 2006年に『不都合な真実』というドキュメンタリー映画が公開され、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。 脚本と出演をこなしたのは、クリントン政権で副大統領を8年間勤め、2000年のアメリカ大領領選でジョージ・W・ブッシュに敗れたアル・ゴア氏。 彼は環境問題のスペシャリストで、映画公開翌年の2007年にノーベル平和賞を受賞している。 不都合な真実、とは中々上手いタイトルだと思うが、得てして真実というものは不都合なものが多い

木を見て森を見た先にある世界を思考する

「木を見て森を見ず」とはよく耳にする言葉で、自分のことか、その周辺のことしか見えていないこと、全体が見えていないことを意味します。 世の中はそんな単純ではないし、もっと視野を広げましょうということですが、森はどこまで広がっているのでしょうか。 森は山となり、山は地形を形成する一つの要素で、他に平地や川や海があって、それはやがて地球という一つの天体としてある空間に存在することが科学的に明らかです。 その天体もまた、銀河と呼ばれる集団の一つでしかなく、その銀河が無数に存在する空間

『力』から考えるジャニー氏問題

故ジャニー喜多川氏の問題についてはネット上でも色々と言説が流れており、私的にはArc Timesで語った宮台氏のお話がとても分かりやすく、また問題の根深さを感じさせてくれるものであった。 私は『力』という観点からこの問題を考えてみたいと思う。 まず、問題の本質は何かと言えば、ジャニー氏は未成年に対して性的な行為を行ったことだろう。 故マイケル・ジャクソンも同じ疑惑を抱えていた。 欲求は人間が生きるために必要であるが、それは手にした『力』の量によってさまざまな形に変化する

『火花』(又吉直樹)読書感想@エッセイ風

つい先日、又吉直樹さんの『火花』を読みました。 穢れの無い理想を体現し続ける神谷という先輩と、そこに憧れながらも現実に順応する部分を残し、わずかな成功とその先に予感された諦念によって収束した徳永の関係性がとても面白かったです。 この二人の交流から、現代社会の理想と現実の大きな壁や、生きることの意味、幸せの定義についてなど、考えることができます。 以下、私事を含めて少々語りたいと思います。   私、先月コロナに罹りました。 症状は軽症の中の軽症と言っていいかと思います。

便利の裏と未来

一定水準の生活環境を手に入れた国において、”便利”とはどんな概念だろうか。 インターネットは便利。 それは一つの真実であると思う。 一個人でもこのように全世界に向けて言葉を発することができる。 IT 革命とは産業革命以来の、社会構造を変えるほどの大革命であろう。 かつて情報は一部のメディアに独占されていた。 インターネットはそれを一個人にまで解放した。 解放したテクノロジーが末端まで浸透するのに多少の時間を要したが、スマートフォンの登場によってそれは加速した。 インター

ポジティブな未来像を描くには

地球の未来を想像するとき、ポジティブなイメージを抱ける人はどれくらい存在するだろうか。そんな疑念が真っ先に頭の中をよぎるほど、現代社会はネガティブな情報で覆われていると感じている。 時は止まることなく進む。 未来は誰に対しても分け隔てなく訪れる。 その未来の実像は、10代、20代、30代……と、各人が体験した時代や出来事によって大きく異なることだろう。 ネガティブな情報が氾濫するにはそれ相応の理由があるはずだ。 そこに至るまでの文脈を丁寧に観察することで、それは浮かび上が

『原発再稼働』と『報道の自由度ランキング』

原発が再稼働するようです。   私がこれまで生きてきた中で忘れられない『事件』はいくつかありますが、福島の原発事故は中でも一番の衝撃であったかと思います。 それは事故自体もそうですが、自分が原子力発電、ひいては電力という当たり前にあると思っていたエネルギーについての構造に関し、無知であったからです。   地震や津波は自然災害ですから、『事件』ではありません。 しかし、原発事故は『事件』です。 ただ、個人的にはオウム真理教が起こした一連の事件が、それに匹敵するくらい衝撃的でし

『新聞記者(Netflix)』『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』

2019年公開の劇場版『新聞記者』(第43回日本アカデミー賞作品賞他受賞)とは別に、Netflixで全6話の『新聞記者』が制作され、今年公開されました。 映画の尺では描き切れなかった部分をしっかり入れ込み、フィクションとしての人間関係をエンタメとしてうまく表現できていたと思います。 奨学金を受け取る苦学生男女(新聞配達のバイトをしている)の就活事情、改ざん事件の発端となった”忖度”をした若手官僚の葛藤、自死した財務局職員が慕っていた上司の葛藤、いい意味でも悪い意味でも目立つ主

とりあえず近代を学び直しましょうか

私は『近代』に拘っています。 学生時代(大学ではない)の得意教科は歴史でした。 しかしその時分は、多くはテストのための暗記が主となり、文脈について深く考えていたとは言えません。 『歴史』とは何でしょうか? 歴史を専攻し、研究する人は何をしているのでしょうか。 基本的には一次資料を読み解いて、物語を紡ぐことではないかと思います。 友人は歴史を『ナラティブ』と言いましたが、まさにそうなのかと思いました。 『歴史修正主義』という言葉がありますが、歴史はそもそも新たな資料が出てく

メタバース元年に思うこと

『メタバース』という言葉をよく耳にすることが多くなったのは、Facebookが社名を『メタ』に変更してからのように思う。 私もその一人だが、どうやら『メタバース』という言葉はSFの世界ですでに使用されていた言葉のようだ。 今回、メタバースに興味を持ち、2冊の本を購入。 『メタバース さよならアトムの時代』(加藤 直人著) 『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』(バーチャル美少女ねむ著) どちらもVR界における当事者で、加藤氏は『クラスター

オトナが歴史を読み返す意味とは

書店に行くと、学生時代に学んだことをオトナになって復習する、といったシリーズは色々と目につく。 学生の参考書、ではなく、やはりそれはオトナが見て楽しめる要素があったりする。 懐かしさでそれらを楽しみながら復習するのも一つの学びであることに違いはない。 今回は『歴史』にスポットを当てて考えてみたい。 学生時代には大体の大きな流れを掴むことが主な目的だと思うが、オトナになると、興味を持った時代について深く知ろう、と思い本を手にすることが多いと思う。 歴史は事実なのか、と

ウクライナ問題で考える『情報』

スマートフォンの普及によって『情報』の意味も質も大きく変わりましたが、そういった節目に起こる『戦争』という行為は、その実像をより鮮明に映し出していると感じます。 誰が何を見てどう影響され、どんな考えに至っているのか、それを特定することはとても難しいと思います。 そしてすべてを網羅することはメディアウォッチャーでない限り無理でしょう。 著名な評論家や批評家もコネクションを手繰って効率よく情報収集をしているかと思います。 彼らはそれが仕事ですから、さすがに想像で断定的なことは言え