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紅林弘太郎の現在地と今年の目標

 どうも、yoです。社会人生活が始まりました。仕事を頑張りながらもこのnoteの活動も頑張りたいですね。さて、今回ですが、見出しにもあるようにオリックスの若きホープ、紅林選手について書いてみました。

 紅林選手がどのように成長しているのか、そして今年どのような起用が予想されどのような成績を期待したいのかについて書いていきます。もし良ければお読みください。

1.去年の紅林選手について

 はじめに去年の紅林選手についておさらいしましょう。2019年ドラフトで2位で指名された紅林選手はキャンプから2軍キャンプで汗を流しました。その後、経験を積むという意味もあり、2軍戦ではショートを中心に全試合の86試合に出場。終盤には、1軍に体験昇格として上がり5試合に出場、プロ初ヒットも放ちました

 そんな紅林選手の昨シーズンの2軍成績は以下のようになります。

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 試合に出場して体力をつけることが目的であり、全試合出場は素晴らしいの一言です。その一方で、成績面では全体的に物足りない成績でした。

 中でも問題と言われていたのがIsoPです。昨季の紅林選手のファームでのIsoPは.049。これは1軍選手で比較すると、去年のG増田選手やM鳥谷選手に近い数値であり、高校通算40本塁打を放った紅林選手としては非常に悪い数値でした。

2.オフシーズンでの紅林選手の取り組み

 1年目のシーズンを通じて長打力不足を痛感した紅林選手。インタビューでも次のように語っています。

「去年1年間、プロの世界でプレーしてみて一番に感じた課題というのは、自分のスイングがまったくできなかったこと、それと長打が打てなかったことでした。ファームでずっと試合に出してもらったんですけど、毎日の試合のなかで、捉えたはずの打球がフェンスの手前で失速したり、ホームランだと思った打球がフェン直(フェンス直撃)止まりだったり......『えっ、これが行かないのか』という打球がけっこうあったんです。疲れもあったし、もちろんパワーが足りてないこともあったと思いますけど、とにかくそれが悔しくて、どうやったらもっと打球を遠くへ飛ばせるのかと、そればっかり考えていました。
2021年3月24日付 Sportiva

 1年目の反省を踏まえ、紅林選手はオフに主に2つの取組みを行いました。それは「増量」と「フォーム改造」です。

 まず、「増量」についてです。飛ばす力試合に出続ける体力をつけるために、本人が「めちゃくちゃ食いました」と語るようにかなり食事量を増やしたのでしょう。結果として、1年目と比べて11キロの増量に成功

 また、吉田正尚選手からの助言も受け、瞬発系のトレーニングも取り入れた結果、身体は大きくなりながらも、動きのキレは維持されたパワーアップに成功しました。

 次に、「フォーム改造」についてです。本人が憧れているメジャーのスター、ミゲル・カブレラ選手のフォームを参考にした。と語るように右肘が上がったフォームになっています。

 昨シーズンのフォームと比べれば違いは一目瞭然です。

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 上が去年の初安打の時。下が今年の初本塁打の時のスクリーンショットです。右の肘が見えていることがわかりやすいです。

 紅林選手本人はフォーム改造について、次のように語っています。

 見た目、ヒジが上がっているところが目立ちますけど、ヒジを上げるというより、打ちにいく時に右ヒジをグッと締めるための距離を取ろうとすると、結果的に右ヒジが上がった形になるんです。バットを出す時に右ヒジを右の脇にぶつける感じで締める、その力を最大にするためには距離があったほうがいいし、その距離が長ければ長いほどバットのヘッドが走ります。
2021年3月24日付 Sportiva

 あまりフォームについて触れることはしませんが、長打を増やすために大きく改造したことがわかります。(自分が技術的に話せないだけです)

 中嶋監督からはなんちゃって中田翔などと呼ばれています。笑

 このようなオフシーズンの取り組みが功を奏し、今年の紅林選手は大きくパワーアップしました!

3.今年の紅林選手について

 宮崎キャンプ中の実戦ではチームトップの4本塁打を放ち、そのままOP戦も1軍に帯同。

 OP戦では打率.176、1本と苦しんだものの、不動の正遊撃手である安達選手が某ウイルスにより離脱したことや、他の遊撃手候補の大城選手や宜保選手がアピールできなかったこともあり高卒2年目で初の開幕1軍入りを達成しました。

 しかし、開幕後はOP戦で見せていた溌剌とした動きが緊張のためか失われ、守備でのミスが多く「安達待望論」が多く見られました。その一方で開幕3戦目ではプロ初本塁打を放ち、そこからは打撃の調子も復調しました。 そして、安達選手が復帰した後も、サードやショートで起用されています。

 ここまでの成績は以下のようになっています。(2021年4月5日時点)

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 ルーキー時の成績が似ているC堂林選手(OPS.550、2年目1軍出場なし)や、紅林選手よりも上の成績を残しているBs,T-岡田選手(OPS.645、2年目1軍出場なし)と比較すると十分頑張っているという印象です。

 しかし、紅林選手としては開幕からかなり悩んでいて、初本塁打を放った後には「おかしくなりかけてた」と中嶋監督が発言するなどかなり精神的にキていた様子がわかります。

中嶋監督は紅林について「チャンスで打てず、おかしくなりかけていた。1本が出たのは大きい」と評価。
3月28日付日刊スポーツ

  本人も繊細な性格と自覚しているように悩みやすい性格であることから、この本塁打は安堵したでしょう。

4.現在、紅林選手が1軍に帯同している理由

 今紅林選手が1軍に帯同している理由は主に2つあると思います。

(1)1軍のレベルの高さを手土産にさらなる成長を期す
(2)レギュラー不在のサード+安達選手休養時の遊撃手

 (1)は「投資」という側面が大きいです。紅林選手は去年2軍でシーズン通して出場したとはいえ、決して1軍に満を持して上がるような成績ではありませんでした。

 そこからオフシーズンでビルドアップしたとはいえ、今年すぐに1軍で活躍できるかと言ったらなかなか難しいです。そのため、大きな壁にぶつかる機会があるでしょう(今もぶつかっているかもしれません)。その際に登録抹消して経験したことを2軍で活かすということです。

 (2)は「戦力」という側面です。安達選手は持病の影響で週2日程度の休養が必要です。去年は開幕時は廣澤選手、その後は山足選手や大城選手が代役を担当しましたが、十分な働きをできたとは言えませんでした。

 また、サードは宗選手や福田選手などが今ひとつアピールできていません。そこで、実力を比較してもほぼ互角なら一番若い紅林選手が良いということでサードで起用している面もあると思います。

 ある意味、「一番若いから優先起用する」も投資的側面を含んでいるでしょう。笑

5.今後の起用法の予想

 では、今年紅林選手はどのように起用されていくのでしょうか。安達選手が復帰した際に登録抹消されなかったことを考えると、2つの起用方法が想定されます

①どんな成績でも1年間サード・ショートで起用を続ける
②調子が落ちたタイミングで2軍に降格させ、課題解決に当てる 

 ①のイメージは2008年のG坂本選手です。開幕を8番セカンドで先発すると、二岡選手が怪我したりモナったりしている間にショートのポジションを奪い、開幕戦を除く143試合でショートを守りました。5月には打率が1割台となるなど苦しみましたが、原監督が辛抱強く起用を続け、1年間完走しました。その後の活躍は言わずもがなです。

 最近では、去年のM安田選手をイメージするとわかりやすいでしょうか。

 ②のイメージは2019のM藤原選手です。開幕は1番センターで出場して初安打を放ったものの、6戦で打率1割前半と苦しみ、登録抹消されました。その後はファームで82試合に出場して多くの経験を積みました。そして、今年は満を持して1軍に帯同。窮地を救う守備などで活躍しています。

 では、紅林選手はどのような起用になると予測されるでしょうか。これは、ある程度の成績を残せば①、残せなければ②となるでしょう。笑

 先程の起用面でもわかるように、紅林選手を起用している背景として「投資」「戦力」という2つの側面があります。そして、現状としては「投資」の側面が大きいように感じます。

 しかし、いくら投資を多くしたいとはいえ、結果を残せないと起用を続けることはできません。

 そこで、成績が残せなければ、2軍で1軍での経験を活かして課題解決に取り組んでもらうことになります。本人も「良い経験をしたい」と語るなど、自分が今1軍にいる理由について理解しているように感じます。

 1軍でシーズン終了までプレーすることができたら、それこそ100点中200点のシーズンなので1軍に残り続けた際の目標は設けません。むしろ、1軍で出場を続けることが目標になると思います。笑

 では、どのレベルまで紅林選手を起用し続けるのでしょうか。

6.紅林選手の起用水準について(1軍固定時)

 ここでは、過去に1軍で固定され続けた若手選手と比較しながらどこまで起用を続けるのかについて予測していきます。

 守備面での比較は月ごとに大きな差があるので割愛します。おそらくホークス戦での連携ミスなどがなければ多少の守備面については目を瞑るのではないかと思います。笑(下のシーンです)

 やはり、注目するのは打撃面です。今回は先程紹介した2008年G坂本選手2020年M安田選手から比較します。 

 まずはじめに2008年の坂本選手です。

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 次に2020年の安田選手です。

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 こう見ると坂本選手、安田選手共にOPSが.800近くになる月があるんですね。

 ここで自分が判断した紅林選手の最低限は「OPS.550」です。ここで坂本選手のOPSはそれよりも低いじゃないか!と思う方もいるでしょう。

 坂本選手が自分が設定した基準値よりも低い値であるにも関わらず起用を続けたと考えられる理由、それは「強力打線」です。

 2008年の巨人打線は、OPS、本塁打、打点共にリーグ1位の数値を記録しています。さらに、中軸の小笠原選手、ラミレス選手が両者ともリーグ上位5傑に入る打力を有するなど、どっしりと固定されていました。そのため、坂本選手が下位打線で多少打てなくても起用を続けることができたと思います。

 それに加えて、頼りになるベテラン選手が坂本選手をしっかりフォローすることで伸び伸びとプレーすることができたのでしょう。

スペシャルワンの才能。当時のチームメイトたちにもそのポテンシャルは衝撃的だったようで、現DeNA監督ラミレスは自身の本で「2年目の彼を見て、将来はジャイアンツを代表する選手になると直感した」と書き、08年夏場に坂本がスランプに陥った際は原監督から頼まれ、自ら打撃のアドバイスを送り手助けまでしている。そして、今は亡き木村拓也も当初エラーが多かった坂本の遊撃守備を酷評する周囲の声に対して、「勇人の守備範囲を見たことがあるのか。ほかの選手が触れないような打球まで追い付くからエラーが多いんだ」とかばったと同僚の古城茂幸は自著で明かした。
文春野球コラム 2018年7月9日付け

 しかし、今のオリックス打線は、4月5日時点でのwRC+はパ・リーグ最下位と破壊力に欠けています。(去年のロッテはwRC+パ・リーグ4位です)

 そのため、オリックスとしては坂本選手のようにどん底の状態でも起用を続けるのは難しいと思います。そのため去年の安田選手の1番低い時の数値であるOPS.550がボーダーラインになると自分は考えました。

7.数値以外での1軍にいるべき水準

 ここまで1軍で起用することができる成績面について述べました。次に精神面についてです。

 ここで注目したのは、中嶋監督の発言です。開幕前に悩める若手選手たちに向かって次のようなエールを送っています。

「これからは前を向いていくヤツしか使わない」
 ミーティングでナインを集め、選手に語り掛けたという。若手だけに、ミスは出る。失敗が続くこともある。それでも、何度も立ち向かっていく気持ちが大事。キャンプ中には「誰もレギュラーは決まっていないよ。そういう気持ちでやってくれ」と呼びかけ、ハッパをかけていたという。
2021年3月14日付 サンケイスポーツ

 ここにあるように、「後ろ向きにプレーする選手は使わない」と常に前向きにプレーする姿勢を求めています。

 エラーをしても、チャンスで打てなくても常に前を向くことはとても難しいことだと思います。しかし、中嶋監督が大切にしている、楽しんで野球をすることにおいては非常に重要なことです。

 その状態が失われた時は、容赦なく2軍に落とされるでしょう。

8.2軍降格時に期待する成績

 では、もしその2つの水準を下回り、2軍に降格した場合はどれくらいの成績を期待するべきでしょうか。ウエスタンリーグという投高打低の環境で有ることを考慮すると、SB江川選手のルーキー時代の成績(打率.252、OPS.703、IsoP.126)くらいを残すことができれば素晴らしいなと感じます。ロバートさんのnoteによると、この数字は過去3年のウエスタンリーグでの平均打撃成績のやや上の値になります。(ロバートさんの下のnote、かなり面白かったのでぜひお読みください)

 今回、ここで三振率ではなく、IsoP(長打力)の目標を掲げた理由としては、将来中軸を担うべき選手である紅林選手に、小さなヒットを求めるような選手に成長してほしくないという想いからです。

 そのため、打率やOPSだけではなく、長打力の期待も記載しました。

 正直、紅林選手の去年の2軍成績を考慮すると、ここまで1軍でプレーできてる時点で満点に近いです。おそらく2軍に落ちる時はスランプに近い状態になるでしょう。そこから、自分が期待してる目標まで成長してくれたら、来年こそ1軍でレギュラー戦線に殴り込みをかける時です。(ちなみに、去年の太田選手の2軍OPSが.698です)

9.まとめ+個人的な感想

 ここまで読んでいただきありがとうございました。太田選手とともにオリックス打線の将来を担うことを期待されている紅林選手。今年はプロスペクトが代走要員などとして使われるようなこともなく()、1軍でも2軍でも怪我しない限り試合出場を続けるでしょう。

 このnoteで書いた紅林選手の目標は以下のようになります。

①1軍を完走したら100点中200点

②2軍降格の水準はOPS.550or後ろ向きな姿勢を取ること

③2軍に降格したら打率.250、OPS.700前後、IsoP.100以上

 紅林選手の将来像としてはF中田翔選手2010年のG坂本選手のような打率.270〜.280、30本塁打のクラッチヒッターを目指してほしいなと感じています。

 自分が期待している成績を残し、ショートを守ることができたらそれこそ鬼に金棒でしょう。太田選手との二遊間は球界屈指の破壊力となります。

 このように、ファンやチームからも大きな期待をかけられており、苦しいと感じる場面もあると思います。しかし、ここを乗り越えたら大きな糧となり、必ずやチームの幹となる選手として成長してくれることを確信しています。

 オリの「ベニー」が日本の「ベニー」として成長する過程をしっかりとファンで見守りましょう!!

・出典

 また、所属しているサークル「ネクストバッターズサークル」ではロバートさんシュバルベさんからアドバイスを頂きました。本当にありがとうございます。 

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