【村から町へ②】 感情のすがたを町にするときにどうしてここにある精米所/浅野大輝
「モー娘。」のよっすぃーが好きだった。かなり好きだった。
本気でオタクをやっていた友人からすると激甘のニワカだったけれど、僕にとっては確かな炎だった。学生である僕の日々はとても地味で、マッチ売りの少女のように凍え死ぬほどの過酷さも無く、なにも無さすぎて漠然と寒かった。「モー娘。」はプロの仕事をするチャッカマンだ。悪い意味では決してない、真逆だ。はちゃめちゃに輝いているのに、いつも僕らの生活の側にいる。とびきりポップな色をして、必ず火を灯してくれるチャッカマンだ。漠然と寒い夜