YouTubeという麻薬

2年前の決意

YouTuberという言葉が、一般の方々に浸透して結構経ちました。

多くの人や企業が、ここ数年以内に「YouTubeを始めよう」とか、
「YouTuberになろう」とか熱い前向きな決意をしている傍らで、

私の2年前の決意は、皆さんとは真逆の方向でした。
「YouTubeから独立しよう」という解放宣言のような決意。
YouTubeをやめるというよりは、YouTubeに支配された人生をやめる、
というニュアンスの決意です。

この決意に至るまで、実に多くの苦痛を味わってきました。
YouTubeを始めたばかりの人も、YouTuberになりたい人も、
YouTuberとして成功した人も、その栄光の先に何があるのか、
なかなか赤裸々に書く人はいなかったので、言語化しておきます。

何かの参考になれば、と思うところです。

YouTuberという苦痛

結論から書くと、
YouTubeは地獄であり、YouTuberは地獄の住人です。

皆さんが、YouTuberという職業や仕事や収益に対して抱く、
憧れや、物珍しさや、どこかワクワクした感情とは裏腹に、
多くのYouTuberは精神的に参っている状態です。

私は、かれこれ10年ほどYouTubeでメシを食ってきましたが、
得られた収益による喜びと、それ以上の苦痛を味わってきましたし、
10年間で精神的に最も不安定だったのは、最も再生数も収益も多い時でした。

「仕事がうまくいってる時の方が鬱っぽくなる」という
意味のわからない状態をずっと過ごしてきました。
この意味不明な憂鬱さに蓋をするように、旅行したり消費したり
何かしらの金銭的な浪費をして、鬱を紛らわせる状態でした。

多くの成功したYouTuberが、不眠や肩こりや頭痛を抱え、
不安感や謎の焦燥感を感じて暮らしています。
これは、再生数や収益が良くても起こる現象です。

職業病かなぁと思っていましたが、
明確な理由やメカニズムがあることがわかりました。

ドーパミン中毒

結論から言うと、私たちYouTuberもまた、
YouTubeに依存していたのです。

YouTube依存というと、1日に何時間も試聴し続ける、
視聴者側に起こる現象をイメージしやすいのですが、
投稿者もまたYouTube依存に陥るのです。

ものすごく参考になったのが、ドーパミン中毒という本です。
この本は、快楽を感じる時に脳で起こることをわかりやすく
的確に説明しており、依存症や克服の仕方も書いてあります。
YouTuberはもちろん、仕事中毒の方にもぜひ読んでほしい。

娯楽にありふれた時代、みんな何かしらに依存して生きています。
タバコやアルコールやギャンブルなどの分かりやすい害悪だけでなく、
SNSやゲームや動画や推しや掲示板や夜職の疑似恋愛など…
あらゆるコンテンツが溢れていて、

それぞれのツボにハマると
快楽を感じてズブズブと沼っているのです。

俺たちは、YouTubeから味わえる快楽に依存して
その反動で苦しんでいたのです。なんてこったい。

YouTubeって、ドーパミンドバドバ出るよな

脳が快楽を感じると、ドーパミンがドバドバ出て
それを受け取って「気持ちいい」状態になります。

YouTuberも、動画がヒットして、
再生数がぐわーーーんと伸びたり、
収益がドッカーンと上がったりすると、
ロケットが飛んでったような大興奮状態になります。

脳内麻薬ドバドバしてるんだと思う。
これ快感だしすごく楽しいんだ。

でも、依存のメカニズムをもっと詳しく見てみると、
「不確定性」と組み合わされたときが、
最も依存しやすい状態とのこと。

つまり、「当たりが出るかどうか分からない」状態でも、
この上なくワクワクして興奮してドキドキしてるのです。
これは、ドーパミンが出るのを待ってる渇望状態で、
「ドーパミンがほしい」って状態もまた快楽なのですね。

ガチャや競馬や競艇などのギャンブルが、
ものすごくイメージしやすいと思う。

ガチャが回ってる瞬間、舟や馬が走ってる瞬間、
まだ結果が確定していない段階の方が、結果自体よりも
盛り上がって白熱しているケース多いよね。

あれがYouTuberでも起こってまして、
「動画がヒットするか分からない」状態が
この上なく楽しくて、せっせと動画を作るんだ笑

成功するYouTuberに、
元パチンカスやギャンブラーが異常に多い現象、
ものすごく腑落ちする形で説明できますね。

私も不確定性の刺激が大好きな人間でして、
元ポーカープレイヤーです。
YouTubeに依存するメンタルが、もう仕上がってたんだ。

快楽と苦痛がセットになっている

YouTuberって、動画を作る過程でも快楽を感じて
結果でもドーパミンドバドバなのに、
なんでこんなに苦しいんだろう…と不思議になりますね。

本来楽しいはずなのに。
面白いはずなのに。嬉しいはずなのに。
なんで憂鬱なんだろう。眠れないんだろう。

の中で、非常に面白いのは、
「快楽と苦痛」が脳の同じ場所で処理されるもので、
セットになっているという説でした。

快楽というものは、脳にとって負荷がかかる感情のため、
快楽を感じた後には、同じ量の苦痛を感じることで
精神を平穏な状態に持っていこうとする、
免疫のような作用があるらしいのです。

そして、さらに面白いのは、快楽には耐性ができてしまうので、
端的に言えば「喜びに慣れる」現象が起こることです。

一度目の感動と同じ量の快楽は、二度目三度目と同じ体験をしても、
脳の仕組み上、味わえないということです。

なのに、快楽の後にくる苦痛の量は同じだけくるし、
苦痛には慣れないというアホ仕様らしいのです。

あー、腑落ち。腑落ちオブ腑落ち。

ギャンブルやアルコールの依存症の患者は、
ギャンブルや酒の快楽なんてとっくに脳が飽きていて、
もはやそのリバウンドの苦痛しか感じてないのに、
その苦痛を少しでもマシにするためにドーパミンを出すのです。

YouTuberに襲いかかる虚無の正体も、これですね。
もうとっくにYouTubeで味わえる快楽には慣れていて、
その反動でくる精神的な苦痛の方が大きいのに、
惰性でYouTubeやってしまっていたんだ…

YouTube以上に刺激があるものも分からないし、
YouTubeでメシ食っちゃってるし、
やめようと決意するの普通はできない。

仕事がうまくいってるときほど鬱になる

本当に意味がわからない現象だった、
「仕事がうまくいってる時の方が鬱っぽい」
という現象、もう完全に末期症状でしたね。

自分には仕事が向いていないんだとか、
YouTubeが嫌いなんだとか、
思っていたのですが、

ドーパミン快楽の反動の、苦痛でした。
大きな快楽には、大きな苦痛がセットでやってくるのですが、
そんなこと聞いてねぇw
教えてくれよ人生の最初に。

大富豪の本に書いてあった、稼ぐほどに憂鬱になるし、
大富豪のほとんどは幸福を感じていないっていう現象も、
たぶん快楽の反動の苦痛のことや。

YouTubeで成功してドーパミンドバドバ出てる人、
それあと3年以内に耐性できて苦痛の大きさ増えるから、
そういうもんだと思って飲み込むか、YouTube依存を自覚した方がええ。

YouTube依存からの脱却

私は、自分のプライベートが忙しくなったのと、
もうマジで苦痛の限界がきていたので、
YouTubeを休みました笑

動画の投稿頻度を極限まで低くして、
日常生活をYouTubeのことを考えないようにして
暮らしてみたんですね。

そしたら、毎日が本当に楽しくて幸せで、
(人生ってこんなに彩りに満ちたものやったんや…)
とびっくりしました笑

過去10年で、最も精神的に安定していたのは、
ここ1~2年です笑 

YouTube依存から脱却するためには、
YouTubeに触れる時間を減らすのが一番です。
びっくりするくらい、毎日が楽しいですね。

おそらく人に説明しても全く理解されない感覚ですが、
娘の習い事の送迎で、毎週なんの変哲もないただの道を歩くのですが、
その角を曲がるときが、今一番幸せを感じるんですね笑

ドーパミンドバドバ出さなくても、心地よい薄さの快楽って
世の中には無数にあって、そういうのを集めていく作業の方が
よっぽど楽しいぞ…と気づき始めたんですわ。

大昔、YouTubeを始める前は、
2歳の息子と毎日公園にいってまして、
ベンチに座って息子を眺めてるときが
ものすごく楽しくて幸せだったんですね。

あの幸福感、YouTubeやってからは
快楽の刺激の強さで脳が麻痺しちゃってて、
同じことをしても、なかなか感じることができなくなってたんです。

ハワイや沖縄の海辺でも高級ホテルでも、
どこ行っても楽しさの度合いが増えないというか。
あの公園で感じた幸せを超えられなかったんですわ。

YouTubeで稼いだお金や、得られた経験や、
学んだことはものすごく有益だし、
この10年は本当に感謝しかないけど、

YouTubeってのは、ある程度稼いだら、
卒業するというか、依存をやめる方向にもってかないと、
人生の大きな部分をガッツリ持ってかれる魔物だな…
と、思うわけです。

これは、快楽の代償の苦痛からの虚無をみた私の感覚なので、
多くの人には、何言ってんだかわからないと思うw

普通の仕事して、普通に生きて、普通に楽しいって感じる
その感覚、すごく大事にしてほしいと思うし、
YouTuberは一般的な仕事の人や経済的に劣る人のことを
決して下に見るべきではないんだ。

一般的な幸せを、ちゃんと感じる人の方がよっぽど幸せや。
もしかしたら、YouTuberだけでなく、芸能人やスポーツ選手や
会社経営者など、人より多くの快楽と経済的成功を得た人も、
同じように思ってるかもしれませんな。

ドーパミンのドバドバに溺れずに、
自分の人生をちゃんと自分で感じて生きるの、
すごく大事ですね。

では!







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