見出し画像

受賞の向こうがわ⑩……書籍情報とタイトルのこと

6月頭に無事ゲラを戻し、2週間ほどたったころ、突如、知り合いから連絡が来ました。

「発売日決まったんだね! おめでとう!」

こちらとしては、まさに寝耳に水。どこでどう知ったのか、逆にききかえしてみたところ、「Amazonに出てたよ!」とのこと。

早速確かめてみると、おお! たしかに書籍情報が掲載されていました。『波あとが白く輝いている』、8月31日発売予定、272ページ、定価(本体)1500円……しっかりと詳細が公開されています。

ついに発売が決まったのか! と驚き、喜び、編集Nさんに確認したところ、やはり内容に間違いはないとのこと。併せて、決まったばかりの初版部数も教えてもらえました。

意外だったのはタイトルの変更がなかったことです。今作のタイトル『波あとが白く輝いている』は、受賞した当初から発売時に変更する可能性をほのめかされていました。

作品タイトルは、すんなりと出てくるときは出てくるものの、今回は非常に苦しんだ方です。

執筆中もとくに決めず、自分の中では便宜上『(仮)海辺の街』として扱っていました。もちろんそれでは弱すぎるため、完成後、もう一度考えるつもりでした。

けれども、いざ書きあがってからも、なかなか良いタイトルが浮かんできません。こういうとき、前々回の記事でも書いたとおり、私はとにかく数で勝負するようにしています。

今回はちょうど100タイトル考え、そこから10本に絞りこみ、身近な人にも意見を聞き、どうにかこうにか『波あとが白く輝いている』というタイトルをひねりだしました。

受賞後の周囲の反応は賛否両論。すごく気に入ってくださる方もいれば、正直、そうでもないという方も(全否定という方はさすがにいなかったです)。

自分のなかでは100点満点中85点くらいの手ごたえで、「もしほかに売れそうないいタイトルがあれば変えていただいて構わないです」とNさんには伝えていました。

ただ、その後、年末の受賞者オンライン懇親会のなかで、前年度『黒紙の魔術師と白銀の龍』(本当に完成度が高い作品です。オススメです!)で講談社児童文学新人賞をとられた鳥美山さんが、タイトルをほめてくださったんです。

「候補作に残っているときからきれいなタイトルだと思っていました」とまでおっしゃってくださり、これが本当にうれしくて、うれしくて……!

なので、できればそのままのタイトルでいけたらな、とひそかに思っていた中での、正式決定。うれしい驚きでした。

『波あとが白く輝いている』

今はとてもいいタイトルだと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?