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『仕事の8割はつまらない』No.16

「私はお飾りの管理職なんで、その仕事はできません」
同世代の女性同僚が発した言葉だ。
お飾りの管理職?自虐ネタか?


その言葉を投げられた時、胃液が逆流するような、吐きそうな気持になった。
どれだけ頑張っても、昇格できなかった私には誰かに仕事ぶりをきちんと認められ、女性活躍の波に乗って、人生のほとんどを仕事に打ち込んできた結果が、今のポジションなのではないのか?と思ったからだ。
単純計算でも、給料は2倍なはず・・・。
一緒に仕事をするようになって気づいたことだが、業務内容はほぼ、私と同じだった。

過去の徹夜で仕事をしたことや、残業時間が月に200時間は当たり前だったとか、家に帰れずにホテルに泊まって仕事したとか、同世代の男性と同じことをさりげなく自慢して、今の若い人を下に見るような発言が気にはなっていた。

そう、私たちの世代は、男女雇用推進法は名ばかりで、女性が出世するには、男性と同じ働き方を求められた。
「飲み会を断らない女」しか、出世ロードを駆けあがることはできなかったのだ。

21世紀もそのままでいいのだろうか?
いいはずはない。男性も育児への参加を求める時代の空気の中で、共に働き、共に育てることが求められているはずだ。

でも、冒頭の発言をした彼女は、間もなく定年を迎える。
これでは、同世代の男性と同じではないか?そんなこと、今の若い世代はロールモデルにするのだろうか?
よく、男性管理職が女性社員に、昇進の話をもちかけると、たいていの女性は断るという話を聞くが、本当だろうか?少なくとも、私の周りにはいないし、聞いたこともない。
だれの発言なんだろうと思ってしまう。


女性管理職の「ロールモデルがいない」という言葉もよく耳にする。
でも、男性は上司をロールモデルにして、仕事を頑張っているのだろうか?
たくさんの「?」が、私の心からあふれ出して止まらない。
私は認められたかった。
仕事で「認められる」=「昇進」だと思ってきた。
だから、順調に昇進してきた同世代の彼女が羨ましかったのだ。
それなのに、「お飾りの管理職」と言ってしまう。
後輩がこの女性を見て、ロールモデルにするだろうか?

彼女の側に立ってみれば、「管理職」とは名ばかりで、思うような活躍ができないまま今日まで来たのかもしれない。
男性管理職と同じように、若い世代を育成しプロジェクトリーダーとなり、業務を遂行したかったのかもしない。
そう考えると「働く」って空しく、寂しく、でも手放せないものなのだ。

あと数年で迎える定年を、彼女はどんな風にむかえるのだろう。
そして、いつまでも一般社員のままの私もだ。
定年後はお互いに肩書をもたないのだ。

組織は一部の力を持つ男性で構成されている。
そこから零れ落ちたたいていの男性社員、そして多くの女性社員は、ガラスの天井を突き破ることなく、静かに組織を離れるのだろう。
働くことは、誰かに認めてもらうことではなく、誰かの役に立つことで得られる満足感に価値があるのだ。
そう、仕事の8割はつまらないと、私が思う根拠はここだ。
だから私は、明日も働くのだ。


では、また次回。
明日も自分から挨拶をしよう!


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