人生模様のかぎあみ 1


©猫寝来緋伽
猫寝来緋伽(@NenekiHitogi)さん / X (twitter.com)
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――――――
不思議な話をしっているだろうか。
住宅街をすこしいったところ
坂道をのぼって、神社をすぎて
川沿いをあるいていくと。
緑につつまれた洋館がある。
そこには、救いがあるという。

このご時世に救いとは新手の宗教かと問えば。それはちがうというし。
きれいな景色でもみれるのかと問えば。それは近いようで遠いという。

そんな書き込みをみてから、どうにも頭から離れない。

心から信じているわけではないが
そんなわずかな情報と、スマホをたよりにここまでやってきた。
チャイムを鳴らすと、人の好さそうな女性が顔をのぞかせる

「あのー・・・」
しまった。何しに来たっていえばいいんだ?
不思議な話をききました?たしかめに?なんで?どうして?
女性は、柔らかく笑うと、庭のほうへと案内した

大きな敷地ににあわない 小さいサンルーム
そこに老婆が座っていた
様子をみるに、目もちゃんとみえてないんじゃないかというくらいだが…
案内した女性はもう向こうへいってしまった
飲み物は2人分。
どうぞごゆっくりとの手紙が添えられている。

促されるように座って、お茶を飲む。
ほっとしたら自然と、心の奥にしまったものが、ほつれだした。

悪いと思っている。
これは本心だ。
当たり前のこともできなくて。
泣かせた。
それがきっかけで、楽になりたくて。
考えるだけ考えたら逃げたくなった。
でも、後々を考えるなら。逃げることは選択肢としてまちがいだった。

「それで?」

そこに老婆の姿はなく。幼女がいた。
不思議には、思ったが、あふれてくるものには勝てなかった。
幼女はうんうんと頷く。それがとても心地よい。
「あ、そのまま続けてね!」
とてとてと走ってかぎ編み道具を持ってきて。
隣に座って編み始めた。

大人なのに、こんな子供に聞かせる話でもないだろうにとも思ったけれど
気にしなくていい。そうおもわせた。

日差しがこんなに怖い日はなかったこと。
こんな毎日が続くと思った恐怖。
謝ったらいいのか。どこで。どんなふうに。…誰に?
俺は、わからなかった。

「大変だったんだね・・・できたよ。あなたの」

幼女の手から渡されたかぎ編みをみて、俺は泣いた
これでもかというほどないた。
なぜかわからないが。これが俺の悩み。俺の人生の模様だとわかったから。
涙が止まるころには、幼女はきえていて、老婆が日差しの中。大きな木をみあげてわらっていた。

ここに救いはあった。
たしかに、救いはあった。

これを見ている人がいたら、あの書き込みは本当だ。
少しでも変えたいなら、行くといい。
ちゃんと体験しきたから、ここに書いて置く。

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