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還るところ

長くてもあと100年で死ぬのか。

そんな気持ちにふと包まれた。
何気ない日常のひととき。
この生の儚さに僕は触れた。

尊さを奥に秘める虚しさ。

それをうっすら感じるけれども
決してまだ死を美しく感じることはできなかった。

知っているはずなのに知らなかったこの事実。
当たり前のことをそのまま見つめられた。

その存在そのものに触れようとする感覚。
それ自身とつながる感覚。

それを人は愛と呼ぶのかもしれない。

死という目を背けたくなる不の象徴のような存在を
僕はどのくらい愛することができるだろうか。

 

おわりを観ずる時
この今の味わいを知る。

愛おしくてたまらない
ぎゅっと抱きしめたくなるような気持ちが
じわっとどこからか込み上げてくる。

この何とも言い難い
温かすぎもせず柔らかすぎもしない何かが
きっと僕の居場所なんだろうな。

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