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よろしくね、(18年目の)始まりだよ~UNICITY ONLINE LIVE at 7/23・24

 7月23日&24日、我が最愛のバンドUNISON SQUARE GARDENのファンクラブ「UNICITY」会員限定オンラインライブが開催された。世間はオリンピックで盛り上がっていたが、我々UNICITY市民はこっちの方が断然気になる。なんとライブの1日目は「アコースティック編成」でやるというのだ。またまた予想の斜め上の展開。いつもノンストップでバッチバチにロックをかましてくれる彼らがアコースティック? ……想像できない!
 事前にUNICITY市民に募集した『聴きたい曲ランキング』もアコースティックside・バンドsideそれぞれで発表された。バンドsideは事前特番で触れられていたガチ勢が頑張ってた。まぁどの曲が来てもウェルカムですよね! 一方アコースティックsideは「がちがちのロック曲をアコースティックでやったらどうなるんだろう?」勢と「あの名曲をアコースティックで聞いてみたい!」勢がせめぎ合っている。わたしは後者の目線で投票したけれど、前者の趣向も面白そう。なんにせよ、彼らが期待を裏切ったことなどあっただろうか、いやない! わくわくしながらその日を迎えた。

  初日(7/23)はアコースティックDay。と言われてもライブやバンドに全く詳しくないので、ギターにアコギがあることぐらいしか知らない。ベースとドラムどうするのかな、とずっと思っていた。
 暗めの照明の中、アコギの音が響く。あー、最初から『黄昏インザスパイ』! 投票したやつだ。いつもとちょっとアレンジが違う。語りかけるような斎藤さんのボーカル。いきなりやられて涙目である。早すぎる、ちょろすぎるぞ、私。まだ1曲目なのに!

 ベースもドラムもアコースティック用のものがあると初めて知った。あのシンバルも手でたたくドラム、カホンというのですね。総じて電気での音の増幅が少ない分、田淵さん・貴雄さん両人のコーラスの美しさが際立つ。いつもの疾走感がない分、歌詞がよく聞き取れるから、改めてその趣深さに唸る。『夏影テールライト』『春が来て僕ら』そして『スカーズデイル』と、耳に心地よい、優しい曲が続く。

 今回、UNISONのライブでは非常に珍しく、1曲ごとに御三方のお喋りが入った。いつもMC担当なのでちゃんと話そうとする斎藤さん、ぼそぼそだけどけっこうおしゃべりな田淵さん、お二人に絶妙にツッコミを入れたり茶化したりしながら、普段見れない表情を引き出してくれる貴雄さん。いつもこんなふうにして曲を作ったりレコーディングしているのかな。まるで彼らと一緒に音楽を作っているような気持ちになる。ファンにとってはたまらない「特別感」だ。

 今までアコースティックをやらなかったことについて、田淵さんは「全く別物だから」と言っていた。アレンジも変わってくるし、そうなると普段何気なく歌っている曲も歌詞が出てこなくなっちゃったりするそうである(斎藤さんもしょっぱな間違ってたね)。貴雄さんが「100m走の選手が障害物走をしているようなもの」とたとえていて、なるほどなぁ、と思った。練習も大変だったようで、田淵さんはこの日のために購入したアコベを、このライブが終わったら1名様に差し上げる、もういらない、なんて言っていた。
 そういえば田淵さんはライブ中ずっと座ったまんまだった。途中で立っちゃうんじゃないかと内心ハラハラ(期待?)していたのだが、事前番組で「立ったらロックになっちゃうからね」と言っていたとおり、立たない、暴れない、荒ぶらない、でとっても新鮮な印象。アコースティックで行こうと決めたから、いつものスタイルじゃない形で全うした、そんな彼がとてもかっこいいな、と思った。

 やっぱりやるか、お気に入りだもんね! の『静謐甘美秋暮抒情』。ジャズかボサノヴァか、というアレンジが秀逸だった『お人好しカメレオン』(ライブでは舞洲に続き2回目のお目見えですね)。合間にお試しでワンコーラスだけ、アコースティックで『Phantom Joke』。いや無理では? と思ったけどちゃんとできちゃうんですねぇ、これが。すごいテクニック。
 そしてラストは「え、この曲をアコースティックで?!」と思ったけれど、間奏のスキャットがめちゃくちゃ楽しそうな『シュガーソングとビターステップ』だった。以上、全7曲。

 初めて聞いたアコースティックな彼らは大人っぽくて素敵で、その引き出しの多さに今更ながら驚いた。いつもと違うアレンジで曲の別の顔を見せてくれる田淵さん、そのアレンジでより透明感のある透きとおったボーカルを響かせる斎藤さん、その二人をカホンで、ドラムセットで、そしてツッコミで下から支えてくれる貴雄さん。絶妙のトライアングルである。
 楽しかった。多分田淵さんも楽しかったんだろう。だってアコベ、あげませんって言い直してたものね。気が向いたらぜひまたやっていただきたい、そんなアコースティックライブだった。

 さて、翌日(7/24)はバンドDay。『絵の具』で始まり、ギターのイントロとともに『さよなら第9惑星』、間髪を入れずに『サイレンインザスパイ』。歌う彼らの後ろに、「通・常・運・転!!」の4文字がでっかいゴシック太字でみえるようだ。昨日の大人な彼らもよかったけれど、いつもの元気いっぱいなロックバンドは、やっぱり安心感がある。
 などと思っていたら、次の『流星航路』で斎藤さんの「♪入り間違えた~」事件発生。UNICITYのみんなが目撃者となってしまう。その後何事もなかったように「UNISON SQUARE GARDENでぇす!」って言ったけど、田淵さんも貴雄さんも笑ってた。
 斎藤さんいわく「今日はいつものUNISON SQUARE GARDENで、いつもじゃないセトリを」とのこと。確かに入りの3曲は最近あまり演奏されてない、だからこそのランキング上位曲たちだ。どの曲が来てもオッケー何ならレア曲の方が来てほしい、そんな私たちの気持ちを見透かすように、斎藤さんが言う。「ほら、今日見てる皆は仲間というか、家族みたいなもんだから!」だから安心感で歌詞間違っちゃった~みたいなこと言って、貴雄さんに「甘えるなー!」と突っ込まれていたけれど、昨日に続いてまたもや浴びせられる「特別感」攻撃にここにいるUNICITY市民(私)はやられっぱなしである。

 MCはここまで、あとはひたすらランクインした曲が演奏される。『CAPACITY超える』からの『セク・カラ・シソンズール』は、この2曲ガチ勢のウチの娘がぶちあがっていたようである(今回諸般の事情により別々の場所で参戦した)。事前特番でガチ勢が多数出現した『エアリアル・エイリアン』も『シューゲイザースピーカー』もきた。画面の前でこっちは踊る踊る。エアコン点けてるのにだんだん暑くなってきたぞ!
 いつの間にか家人は自室に消え、リビングには私だけが残されていた。「あなたの知らないワタシ」が出現していたと思われる。そんなンどーでもいい。こんな楽しい時間、めいっぱい満喫しなきゃもったいない!

 ラスト前のMCで、斎藤さんが<17年前の7/24はUNISON SQUARE GARDENの誕生日で、そこから17年間、この3人で続けてこられたのはひとつの「才能」だし、飽きずにやってこれたのはこのメンバーでやるのが「向いてた」からだ>というようなことを話した。「飽きさせないように歌詞間違えたんだね」と貴雄さんにまぜっかえされたりしていたけど、そんなわけでまだまだ続けていくから、引き続き「よろしくぅ!」といつもの口調で言われた。もちろん画面の前で「了解です!」と最敬礼。
 最後の”オマケ”『Micro Paradiso!』では3人とももう大騒ぎ。ステージから降りて走り回って、客席側にマイクを持ってきてコーラスをつけてる人もいた。2日間のオンラインライブは、お祭り騒ぎの中、とびきりゴキゲンな音楽でその幕を閉じた。

 ボキャブラリーが足りなくて同じことばかり言ってしまうけれど、本当に、本当に楽しかった。いろんな理由でライブの現地に行けない、いろんな場所のいろんな人たちが、この楽しい時間を一緒に共有できたと思えば、オンラインライブもいいものだ。UNISONに限らず全てのエンターテインメントの方々に、これからの新しい届けかたのひとつとして、続けていってほしい形態である。

 あと、ひとつだけ言わせてもらっていいだろうか。
 私、『夢が覚めたら(at that river)』ガチ勢なのだ。もちろん投票した(アコースティックの方で)。今回こそ聞けるのではと期待してた。なのに、何でですか? トップテンに入ってるのに? 「MMM」でライブでやってないの、この曲だけですよ。『お人好しカメレオン』ポジに入っちゃったんでしょうか。ちょっとしょんぼり。「Patrick Vagee」ツアーでは聴けるといいな。

 現在彼らは「CIDER ROAD」リバイバルツアーの真っ只中だ。サイダーなんてさわやかな単語を冠していながら、そのセトリは起承転結結結、カルビとかハーゲンダッツとか言われるくらい濃いと聞く。わかる。今回参戦できない代わりに、「CIDER ROAD」から順番にアルバムを聞いてみて「そうだろうなあ」と納得した。思ったことは色々あるのだが、ずいぶん長くなってしまったのでここではやめておく。(後日機会があれば)
 世の中は流行り病が爆発的な勢いで何度目かの猛威を振るっている。そんな中でツアーを敢行していることに、いろんな意味で逆風が吹きまくっているのではないかと思う。今はただ、無事の完走を祈ることしかできない。
 とても不自由な時代だけど、それでもやり方を探しながら、彼らは彼らの音楽を届け続けようとしてる。
 それならば私たちもその音を分かち合えるよう、田淵さんに言われた通り、ちゃんと自分で考えながら、18年目のあなたたちを追いかけよう。「CIDER ROAD」リバイバルも、「fun time ACCIDENT3」も、地元じゃないから残念だけど見送る。その代わり、できると信じて「Patrick Vagee」ツアーを待つ。チケットはもう、確保済みだ。

 バンドDay、”オマケ”の前に流れた『101回目のプロローグ』。
「約束は小さくてもいいから よろしくね 始まりだよ」
 18年目が始まる彼らからのメッセージ。UNISON SQUARE GARDENの新しい1年は、もう始まっている。
 お誕生日、おめでとう。
 そして今回も、素晴らしいライブをありがとう。


 

 

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