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ひらめき☆マンガ教室第6期チームA同人誌『キラキラ眼鏡女子』の感想

ひらめき☆マンガ教室というマンガスクールでは、受講生が3チームに分かれて同人誌を制作してコミティア(オリジナル作品のみの同人誌即売会:https://www.comitia.co.jp/)で販売し、その売り上げを競う『同人誌売り上げレース』が開催されています。
制作された同人誌は、ゲンロンショップ(https://genron.co.jp/shop/products/list?category_id=22)で購入することができます。

今回は、第6期チームAの同人誌、『キラキラ眼鏡女子』の感想です。

まず、各作品の感想の前に、大まかな印象から述べようと思います。

表紙は、赤と黄色の明るい色合いで、星の模様がちりばめられているのが、華やかで目を引かれました。眼鏡をかけた女の子のキラキラした瞳が印象的でした。クイッと口をあげている笑顔がかわいかったです。
タイトルの「キラキラ」が、眼鏡の形の枠に入っているのも、遊び心を感じられて、楽しそうでした。

裏表紙には、作品タイトルとイラストが載っているので、どんな感じの作品が収録されているのかパッと見て分かるのも、いい点だと思いました。

ザッと読んでみると様々なジャンルの話があっておもしろかったです。バリエーションが豊かなのが魅力的だと思いましたが、『キラキラ眼鏡女子』のタイトルと表紙から、なんとなく想像していたイメージと、ギャップも感じられました。メガネをかけた女の子が登場する明るめの作品がもっとあってもよかったかなと、そんな風にも思いました。

途中に挟まるsns風のイラストが、登場するキャラクターの日常を見るようで、親近感がわきました。ほのぼのとしていてよかったです。

軽くですが、大まかな印象はこんな感じでした。
ここからは、各作品の感想を書いていきます。




藤原ハルさん『透明な君との距離は』


「近い」「近い」のモノローグとともに、矢野川さんのキラキラとした瞳がアップになっていく場面は、「近い」の文字が大きくなり、彼女に引き込まれていく津村くんの気持ちの高まりが伝わってくるようでした。
矢野川さんが透明になる展開は予想していなかったので、驚きました。かなりすごいことが起きているはずですが、「意外と平気かもよ」とのんきな様子の矢野川さんが、おもしろかったです。
「別に私の顔くらい見えなくても」「誰も困らないのに」と話す矢野川さんは透明で表情は分かりませんが、ふと彼女の本心というのか、秘めていた気持ちがうかがえて、印象深かったです。どんな顔をしているのか、どんな気持ちでいるのか想像を促されるような場面でした。
次のページの津村くんの告白もよかったです。「矢野川さんの顔が見たいよ」「君のことが好きだから」という真っすぐな言葉がいいなあと思いました。
津村くんが手をつかんで、矢野川さんの姿があらわれる場面も魅力的でした。透明化が解けて顔が見えることで、矢野川さんの気持ちが分かるのが、いいですね。彼女の照れたような表情がかわいらしかったです。
最後のコマの「顔の距離は遠くなったままなんだ」というモノローグと、二人の表情から、関係が変化が起きて、まだその変化に慣れていないような初々しい感じが伝わってきました。



ひむかさん『レンズとまたたき』


紺野さんは、初めの方のシーンでは険しい顔つきな分、星を見て「まぶしいんです」「とても」と言った時の柔らかな顔や、「それで・・・紺野さんの事」「これからたくさん教えて・・・」の柳田さんのセリフの後の明るい笑顔が印象的でした。特に、ラストシーンのパッと光ったような背景と表情が、とてもよかったです。
紺野さんは、メガネと接することがなかったようですが、なかなかメガネと出会わずに生活するのは難易度が高そうなので、どんな風に人間界で暮らしていたのか、そこを知りたくなりました。
メガネをかけて夜空を見るシーンは、ページいっぱいに夜空と星が描かれていて、きれいでした。大きく描かれた驚いたような表情から、夜空がどれだけ紺野さんにとって感動的なものだったのかが、分かるような気がしました。
メガネをしたキツネ姿の紺野さんも、かわいらしかったです。キツネ姿と人間姿との顔立ちが、ちゃんと似ているのがいいですね。パッと見て、このキツネが紺野さんだと分かりやすかったと思います。



ぼんち。さん『片目、凝らして、歪。』


悲しい別れのシーンから、ページをめくると、「藍理ちゃんを忘れた日は一度もない」のコマの伊藤くんがヤバい感じで、不穏な雰囲気になって、ここからどうなるのか興味を引かれました。伊藤くんの虚ろな感じの目が、怖かったです。最初に読んだ時に、「藍理ちゃんを忘れた日は一度もない」のモノローグをタイトルと勘違いしてしまったので、もっと1p目に書かれたタイトルを目立たせてもよいかなと思いました。
狂気的な雰囲気から、「あっれー?!」と明るい藍理ちゃんが登場する場面への変化がおもしろかったです。どう展開していくのかが予想できず、怖そうな話にも、コミカルな話にもなりそうな感じがして、どうなるんだと楽しく読めました。
「全然キラキラしてないでしょ」のコマでは、かわいらしい絵柄であるからでしょうか、傷ついた体の痛々しい感じが、より強く伝わってくるようでした。
「・・・よかったぁ」と濁ったような瞳で笑う伊藤くんと、真っ黒いフキダシの「大丈夫これからはぼくが守るからね」のセリフが不穏さがいっぱいで、二人が周りから孤立していってしまいそうで、これからどうなるのか想像するのが少し怖い気がしました。



はやしなおとさん『マリとハンナの外回り』


メガネを見つけて「のぼ太になれる・・・」と発想するマリの無邪気でオタクっぽい感じがいいですね。「ワーイ」とバンザイをして、ノラエモンごっこを楽しんでいるのが、かわいかったです。
ハンナが「マリがいつもと違って・・・この感じは何・・・」と、自分の感情が何なのか分からない感じで、「このまま眼鏡かけてよっかな」と目をそらすマリは、ハンナからの視線にちょっと照れているようで、見られているのを少し気にしているところがあり、お互いが少しずつ相手を意識しはじめているのかなと思いました。
はっきりとした変化ではないかもしれませんが、二人の関係が変わっていくはじまりを見ているような感じがしました。
最後のページでのハンナの「目も治してあげない」とちょっといじわるなセリフも、仲のいい感じが出ていていいなと思いました。顔が見えないのでハンナの表情は分かりませんが、楽しそうな様子が伝わってくるようでした。



藍銅ツバメさん『目猫』


「目猫」という、謎めいたタイトルとともに恐ろし気な怪物が黒々とした背景に描かれているので、ホラーなのかなと思っていると、次のページで一転して和やかになるのが意外性がありました。普通にペットとして一緒にいるのが不思議な感じで、占い師さんが「すっごい懐いてる」と驚いているのがおもしろかったです。
「大きめの子だと嬉しいです」と友達が完全にペットを選びに来ていて、それに対する占い師さんの「怪異をより好みすんな」のツッコミがいいですね。おまけ四コマで怪異の様々な特徴が分かってくるので、まだまだ隠された能力がありそうですね。もっと飼い主と怪異との、ほのぼの生活を見てみたくなりました。



高月晃太さん『だてめがね』


座間さんが表情豊かで、かわいらしかったです。「やったぁ!」のポーズと表情がいいですね。
「このままでは俺たちつきあってしまう!!」と一人で先走ってしまっている長崎くんがおもしろかったです。黒い背景だったので、長崎くんは付き合うことを怖がってたりするのかなと、ちょっと思いました。「長崎くんつきあってくれない?」と座間さんが言うシーンでは、長崎くんの反応を見てみたかった気もしました。
「中学に入ってから一番幸せ」とにやけたような表情が、かわいらしかったです。「座間成分が付着しているぞ!」というセリフが、ちょっと変態っぽくて、ここもおもしろく思いました。
「彼女かと思ったのに」と暗闇から手だけを出した弟が大きく描かれたシーンは、ホラーっぽく感じました。姿を見せない弟が怖かったです。
「・・・文化祭が終わっても」「思い出してほしいから」と、勇気を出して気持ちを伝えた長崎くんが、どんな表情でこのセリフを言ったのか知りたいなと思いました。そのセリフを受けて、「・・・なんか緊張してきた」と座間さんの照れたような表情が魅力的でした。



赤い氷さん『とにかくあなたが好きです』


どちらが影島さんで、どちらが主人公なのか、途中まで迷いながら読み進めた感じなので、そこがはっきりすると、より読みやすくなる気がしました。どことなく童話や、おとぎばなしのような雰囲気で、独特の魅力がありました。「・・・キモっ」と言う影島さんがかわいらしく、怖そうな雰囲気もありながら、ところどころにかわいらしさもあるのが、おもしろく感じました。
「ちょっといい?」と話しかける人に目と鼻がなかったり、最終ページの前の巨大な目の生き物がずらりと並んでいる場面は、ドキッとしました。目がぎっしりと描かれた壁に囲まれて、主人公がメガネに穴を空けているシーンも、迫力があって、狂気的な雰囲気が強く感じられました。
「また新しい眼鏡買おう」と主人公が言った次のページの影島さんの泣き顔は、影が入っていて、丁寧に描かれている感じがして、印象的でした。



アキオさん『似たものどうし』


ふとしたことで出会った二人が、少しずつ元気を分け合うような物語がいいですね。中学生の女の子と大人の男性とが、特別親しくなるわけではないのだけれども、お互いに労わり合うのが素敵でした。
「黙らないでください」の女の子のセリフのあと、お兄さんの口元のアップのコマが来て、一呼吸おいて話し始めるので、言いにくいことを打ち明けている感じが出ていてよかったと思います。言葉を口にする前の気持ちの揺れがあらわれているように感じました。会話が丁寧に描かれているのが、いいなと思いました。
最後のページの女の子の微笑むコマで場面が和やかになり、二人が同じ方向を見ながら話しているのが、仲良くなった感じがして、よかったです。何でもない会話で終わるのが、この物語の雰囲気と合っているなと思いました。



東京ニトロさん『NEXO』


NEXOの、「来るぞ!」のセリフから、物語が大きく動きそうな感じになり、そこでドンッと大きく描かれたタイトルの文字がくるのが、タイミングがよく感じました。
ユウキちゃんがNEXOから事情を説明してもらっている途中で、市川くんが割り込んでメガネをとってしまったり、「わたしのメガネが救ってみせる!!」とユウキちゃんがいい感じの表情で覚悟を決め、NEXOが再登場し、「俺が全部守ってやる!!」と、リミナルとの戦いが始まるかと思いきやレンズが割れてしまったりと、格好いいシーンが、なかなかバシッと決まらないのがコミカルでおもしろかったです。
ちょっとNEXOがリミナルと戦うシーンも見てみたかった気もしました。
二人がどうやってリミナルに対抗するのか、また、NEXOやリミナルは何者なのかなど、これからどうなっていくのか興味を引かれました。




以上になります。
紙の本になったものを読むのは、ひらめき☆マンガ+のサイト上で見るとはまた違った感じで、とてもおもしろかったです。紙の本で読む楽しさを再確認した気がしました。
ここまで、読んでいただき、ありがとうございました。





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