ずっと前に同級生が殺人で逮捕されていたかもしれない

小中学校時代には特にいい思い出はなく、とはいえそこそこ仲の良い友人がいなかったわけでもないのだが、今付き合いのある友人は全くいない。とはいえその頃仲が良かったかはともかくFacebookなどで繋がっている同級生は数人おり、そういう付き合いの希薄な自分と繋がろうとするような奇特な人は、他の同級生と繋がっていたりもするもので、たまにそこから様子を伺ったりする。

最近では友人以外に公開していないようにしている人も多く、友人の友人の友人くらいになると名前くらいしかわからないものだが、さすがに同級生の名前くらいは覚えているもので、少しの痕跡を見つけては、まだ死んでないんだなあとか苗字が変わったなあとか、この会社に勤めているんだなあとか、名前を見つけてはその人の思い出してみたりもする。ああそういやこういう人いたなあとか、隣のクラスだったかなあとか、この辺に住んでたよなあとか、浅く思うくらいである。住所とか地図とか見た目とか子供の頃のことはわりと覚えているものだが、だいたいの人は情報を知っているだけで特に深い思い出はないのが少し切ない。

そんな数ヶ月に一度とてもヒマなときにやる探索を、休みの日にやっておこうと思ったことをだいたい終えた後の連休の最終日の夜に行っていたのだが、友人登録している人がたくさんいるにもかかわらず、全く更新がないアカウントが目についた。地元周辺に残っている同級生の多くが、地元の同級生近辺としか繋がっていない中、同級生以外の友人が100人以上いるのもわりと不思議だ。それは、大人になって付き合いが広くなったと解釈できるのだが、がんばって拡げたネットワークに対してに全く更新がされていない。

彼はわりと実家の近所に住んでいたはずだが、一度も同じクラスになったこともなく、他の人と同じようにそれほど親しいわけではなかった。いわゆるヤンキーグループに属していたような気はするのだが、身体は細身で小さく、授業中に暴れたり、喧嘩で警察が来たとか、放火したとか、そういう目立つことをした不良というほどでもなく、だからといっていじめられているわけでもなく、グループにはいるけど、ああそういう奴いたよなあくらいの、何というか目立たない方の不良だった気がする。

なので、中学を卒業してからどうなったのか気にしたこともなかったし、他の人が彼のことを気にしていた話を聞いたこともなかった、不良でも中学浪人した奴とか、高校に行けなくてそのへんをフラフラしていたような奴らには登下校の際に偶然出くわして、これからどうしたらいいのかなあみたいな立ち話なんかをしたり、不良なのに同じ高校に来てて、中学のことは頼むから黙っておいてくれとか言われたような思い出もあるのだが、そういう場面でも彼は現れることはなかった。30年以上自分にとって忘れていた存在だった。バカだったらそっちの方で話題になるはずなので、そこそこのヤンキーの行く学校に行ってたに違いないとは思うのだけど。

昔Facebookが流行り始めたときに、登録して、浮ついた気持ちで知ってる人とかファンだった人に友だち申請しまくったんだろうけど、今はなにしてるのかな、他のSNSで活動したり、友人となっている人が多い団体の仕事してたりするのかなと思ってGoogleで検索してみたら一番最初にニュース記事が目に入った。

○○組系組員の○○がトラブルから××さんを殺害したとして逮捕。犯行を認めている。

ですって。

年齢も若いし同姓同名なんだろうなあと思って見てみると、逮捕されたのはもう10年以上前で、足してみると同じ年だ。現場もわりと近所で、そういうことする人だったんだと思ったが、よく考えるといい人とか悪い人とか、そういうことしそうだとかやらなそうだとか、そう考えられるほどの関係でもなかった。授業中に暴れた話は聞かなかったけど、家では暴れていたのだろうか。どっちだったんだろう。
戦争に反対してる団体に所属していた高校の同級生が道で人を刺して逮捕されたのも驚きではあったが、まさか知人に殺人犯が出るとは驚いた。学年に200人くらいいれば一人くらい殺人犯がいてもおかしくはないのかな。

組員といえば別にもう一人、その昔自分が浪人生だった頃、受験の帰り道、わりと仲が良かった小中学校の同級生が、偶然にも家の近所で警備員のバイトをしてて話をした際、「△△ちゃんがヤクザになったんだよなあ、止めたんだけどなあ」と、ちょっと頭と気の弱い全く不良ではなかった友人のことを悲しそうに話していたのを思い出した。警備員をやっていた奴は、今ではわりと成功して、検索すれば顔写真が出てくるようになっているが、ヤクザになった方はどうなっているのだろう。彼も逮捕されたりしているのだろうか。足抜けしてそいつのところででも雇われて幸せになっていればいいんだけど。

刑期を計算してみると、逮捕された彼は最悪でもそろそろシャバに戻ってきているはずだ。50才の前科持ち暴力団員が、長い刑期を終えて、出所した後どのように生活していけばいいんだろう。中で技術を身につけたりしているのだろうか。野垂れ死ぬしかないのだろうか。




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