一周忌

母が亡くなってから一年になる。

母は私が物心ついたときにはすでに床に臥せっていることが多く、父と兄を含めた3人とは東京に来てからは25年間ほぼ関わりがなかったこともあり、冷たい話になってしまうが、まだ実感がない。年月がそれほど思い入れがない存在にしてしまっていたのだろう。

それでもコロナの前の年までは、年に1〜2度は会って話をする機会もあったのだが、帰省と母の入院が重なったりもして、5年ほど会えずじまいだった。
会ったところで、毎年、実家(自分が家を出た後引っ越したのでそういう気もしないのだが)に数時間いて、少しの近況を話して、母の主に宝塚OGの話を聞き、特に今年も何もなかったな、という感想を持って帰路に就くという、家族としての最低限の体裁を整えた以上の意味はない帰省が続いていたので、何か思い出が増えたと言うことはなかったのだろう。

そして、遺産の話。

母は祖母が亡くなった際、実家を高値で売却し、それを兄弟姉妹で分け、そのお金がわりと入ったと言っていた。生活に関しては障害年金ですべてのことを賄うことができたため、私が最後に聞いたときでも、全く手つかずだと言っていた。

結局あのお金はどうなったのだろうか。金に触れさせてはいけない父には絶対に秘密ということで、彼は知らないはずなのだが、遺産があるとわかったときはどんな反応だったのだろうか。

葬式の時、相続は放棄するつもりだけど、とにかく連絡だけはくれ、と兄には伝えている。
最初、書類を送るとか、戸籍を取る必要があるから少し待ってくれとか、連絡があったのだが、銀行から預金相続の手続に関する書類が届いたので記載して返送して以来、全く音沙汰がない。勝手に書類もなく相続放棄したことになっているのだろうか。

実はいくらだったのか、父と兄で使い果たしたのか、まだ書類が解決していないのか、二人が争っているのか、いろいろと楽しみでならないので早く顛末を伝えてほしい。

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