クのつく抒情詩|親友Nとの往復書簡より
19才からの親友の男の子が27才で結婚した時、しばらく往復書簡を交わしていた。
私とNにおいては男女の友情は成立していて、どちらかがどちらかに淡い気持ちを抱くようなことも一切なかった。
とてもドライな関係だった。
ただ、演劇という創作の場で知りあった仲だから心の結びつきがとても強く、Nが結婚するときにああ、何かが終わったな、と思いすごく淋しくなった。
向こうもそうだったのだろう、新橋の焼き肉屋で2人で飲んだ帰り道にNが「往復書簡をやらないか?」と持ちかけてきた。
あいうえお作文みたいに、お互いに順繰り短い小説を交換しようというのだ。
確かいちおう「ん」までいったのだと思う。
「く」は私の番で、この頃どんな生活をしていたのかは思い出せないが、察するに無茶な恋愛でもしていたのだろう。
官能小説を書いていた。
題名は「クのつく抒情詩」。
27才の若く青い魂を成仏させると思って、軽く読んでみてほしい。
勇気を持って(?)加筆訂正なしで出してみる。
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