きもので補整をする?しない?着付け師の考え方
出張着付けのお仕事をしていると
「(もう充分お肉があるから)補整はしないで」
と言われることがあります。
「太って見えたくないの」
と補整を躊躇する方もいらっしゃいます。
果たしてそうなのでしょうか。
補整ってなんでしょう?
まず最初に。“ほせい”を変換すると
補正と補整の二種類の漢字が出てきます。
※補正→足りないところを補い、間違いを正すこと。
※補整→足りないところを補い、整えること。
着付け師の考える“ほせい”は勿論、
後者の“補整”です。
人の体は千差万別、それに間違いなんて勿論ありません。
その様々な体に、より美しくきものを纏って頂くために少しだけ補う、
それが補整です。
私の考える補整のメリットを挙げてみます。
①着姿に余計な皺が入らない
きものは直線断ちの衣服です。
体の形に布を断ち、縫製された洋服のように、
ただ着るだけでは体には添いません。
体の曲線を埋めるように、少し補整を足すだけで
きものはピンと張り体に添います。
そして無駄な皺がない、というのは結果、
すっきりとスマートな着姿につながります。
(勿論、補整のしすぎは太って見えますが)
②体にあたる紐の締め付けを和らげてくれる
慣れない方にとっては特に
紐が体にあたる感覚は辛いものです。
補整のタオルが一枚あるだけで、
体へのあたりは随分と和らぎます。
見た目を整える以外の効果ですね。
③汗がきものに移るのを防いでくれる
夏場以外でも、案外汗はかくものです。
きものは洋服のように頻繁に洗う衣服では
ありません。
補整のタオルが汗を取ってくれていれば、
きものをクリーニングに出す頻度も少し
抑えられます。
最後に。
補整で得られる効果を3つだけ挙げました。
ただ、補整というのはとても難しいもので
一概にこうするのが正解とは言い切れません。
その日着るきものの種類、
着る方の年齢やお好み、体型…。
様々なことを念頭に置いて過不足なく整えること、
それが補整です。
もし今後着付け師に着付けを依頼される場合は
補整はいらない、と最初から断るよりも
どんな補整が必要ですか?と
聞いてみるのもいいでしょう。
着付け師ならきっと、自身の考えを答えてくれると思います。
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