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きものへの憧れ 大人の学び

思い返せば私の中にはずっと
きものへの憧れがあった。
でもずっと遠くにある気がしてた。

実家の箪笥にきものが数枚入っているのは
何となく知っていたけど
母がそれを着た姿を見た事はほとんどなかったし、手入れをするのも見たことなかった。
それでも一応母は自装出来るというし
(出来栄えはさておき)、
高校では授業で浴衣を縫ったと話すので
そういうものかと思っていたら
自分が大人になってみて驚いた。
30過ぎても私はきものを着るどころか、
畳むことすら出来ない。
何ならどっちが上前かも怪しい。
(左前という言葉だけは知ってた)。
私世代(40代)から下の人達の多くは同じ感覚なんじゃ無いかと思う。

先日きもの屋さんの奥さんが
「今の人は和箪笥も知らないのよ」
と嘆いていたけど
そりゃそうだろうなと思う。
母が若い頃そうしたように
着物をぎっちり詰めた
和箪笥をもってお嫁にいくというのも
今時ないだろうし、
都会の住宅事情を考えれば
そもそも家にきものがあるのかどうか。

ではきものはみんなの中ですっかり
過去のものなのかというと
それは全然違うようで
昔の私とそのまま一緒の感覚で
見てるんじゃないかと想像する。
すごく素敵だけどうんと遠くて 
興味はあるけどきっとお金が無限にかかる。
(当たり前だけど無限じゃない。
強引な押し売りや看板代とかのイメージか)

次男の入学式に私はきもので出席した。
(喪服以外のフォーマルスーツは持ち合わせてない)
顔見知りがほぼいないクラスだったのに参観日では
「次男くんのおかあさん?やっぱり!
入学式できもの着てらしたのが素敵だなと
思って印象に残ってたの」
と沢山声をかけて頂き、そこから
親しくなれたおかあさんもいた。
みんなの中にある、
きものというファッションに向ける良いイメージが
そのまま私の良いイメージに繋がったのか、
本当に助かった。

私も着れたらいいのにな、とよく言われる。
でもお金かかるよね…も。
確かにユニクロで洋服を買うようにはいかないし、
一番最初は着物と帯だけじゃない。
下着も足袋も履き物も。
紐一本だって全てをいちから揃えるハードルはある。
私自身、そこにまず躊躇したのでよくわかる。
これは無駄遣いにならないか?
このお金でよそ行きのワンピース買う方が
確実じゃない?

でも今きものを着れる人生選んでよかった。
セレモニーに限らず、何を着ようかと迷えば
きものを選べばいい。
百貨店で慌てて探して来た新品のワンピースを着て出掛けるよりも、
自分の箪笥から出してきたいつものきものを着た方がずっと自信を持って振る舞えることもある。
きものは小物が色々必要だけど、
(また欲しくなるものだけど)
一度に揃えなくても、コツコツとお気に入りを
ひとつひとつ手にいれる喜びだってある。
きものは長期戦。
学ぶのも、揃えるのも。
その道もまた、楽しい。

これを全部口に出して言えば
面倒くさくて重いヤツと思われるでしょう。
熱さ、深さはひた隠しにして
きものって可愛いし綺麗やん?楽しいで?
って伝えたい。
こっちにおいでや、たのしいで?
着れなかった時代の私が、
私のお客さま像。




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